■SUV戦国時代、勝つのはどのSUV?
2019年4月に発売されたトヨタ「RAV4」。国内市場へは約3年ぶりに復活を果たします。以前の国内SUV市場では、同じトヨタのコンパクトSUV「C-HR」が販売台数ランキングで首位を獲得することが多く、それをホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」が追いかけるという状態が続いていました。
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しかし、2019年5月以降は、C-HRとヴェゼルを追い抜きミドルサイズSUVのRAV4が登場から1位となっているのです。日本の道路事情にマッチしたコンパクトSUVよりも、大きなボディサイズのRAV4が売れている理由とはなんなのでしょか。
RAV4は、2019年4月の発売後、翌月5月には月間6817台(登録車7位)を売り上げて国内のSUV新車市場で月間販売1位を獲得。6月には7822台(登録車11位)、7月は8646台(登録車10位)、8月で6277台と販売台数を確実に伸ばしています。
従来、新型モデルの発売当初は事前の予約受注などの影響もあり、販売台数が伸びる傾向にあります。しかし、最初の2か月ほどで欲しいユーザーにはある程度行き渡ることから、その後の販売台数は落ち込むことが多いです。
それでも、強豪ひしめく国内SUVジャンルで1位を維持する理由について、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「これまでSUV新車市場をけん引してきたのは、C-HRやヴェゼルなどのスタイリッシュな都会派クロスオーバーのコンパクトSUVでした。
対して、RAV4はミドルサイズSUVで、デザインもワイルド系です。機能面では世界初の4WDシステムを採用するなど、これまで売れ筋だった都会派コンパクトSUVとは方向性が異なるモデルです。
また、この3車種の価格帯も大きく販売台数に影響しています。C-HRとヴェゼルは約230万円から約300万円です。RAV4は、ひとつ上のセグメントですが約260万円から約380万円となり、C-HRとヴェゼルの上級グレードを検討すると、RAV4は比較対象になりやすくなることと、方向性の違う新しいSUVという点などが、売れている要因といえます」
※ ※ ※
RAV4の購入層は特徴的で、トヨタの発表では2019年5月時点で、受注のうち9割が4WD車となっています。RAV4は、4WDをメインとしたモデルですが、2WDガソリン車の価格(消費税込、以下同様)が260万8200円からに対し、4WDガソリン車が283万5000円からと、4WD車は20万円以上の高値です。
2019年8月のトヨタ第一四半期決算説明会で、副社長の吉田守孝氏は、販売好調なRAV4に触れて、「とくにクルマ離れがすすむ30代以下の若いお客様が、購入層の45%を占めていることをうれしく思います」と述べています。
30代以下の若い世代は、子育て世代とも重なるため、ファミリーカーとしてミニバンではなく、さらにコンパクトSUVよりも広いミドルサイズSUVを選択するという図式が出来上がります。
また、2019年上半期(1月から6月)のSUV販売台数で、それまで不動の1位だったトヨタ「C-HR」から首位を奪取したホンダ「ヴェゼル」の担当者は、SUVブームについて次のように話しています。
「SUVはすでに一時的なブームではなく、カテゴリとして定着したものと考えています。ボディ形状もハイブリッド用の電池を置く場所が、セダンなどよりも確保しやすく、将来的な展望も立てやすいのではないでしょうか」
■マツダ「CX-30」、ダイハツ「DNトレック」この先のSUV市場はどうなる?
最近の国内市場では、さまざまなSUVの新型モデルやフルモデルチェンジが相次いでいます。2017年12月の3列シートSUVとしてマツダ「CX-8」の登場を皮切りに、2018年にはスバル「フォレスター」、スズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」、ホンダ「CR-V」、レクサス「UX」が発売されました。
2019年は、前述のRAV4が既に販売されていますが、2019年の秋から年末に掛けてはマツダ「CX-30」やダイハツ「DNトレック」が登場する予定です。また、国内導入は未定としていますが、9月には日産の新型「ジューク」が欧州で公開されています。
CX-30は、マツダが国内で展開するコンパクトSUV「CX-3」とミドルサイズSUV「CX-5」の間に位置づけされるコンパクトSUVです。また、2019年10月末に開催される東京モーターショーでのお披露目が噂されているDNトレックは、C-HRやヴェゼルよりもコンパクトなSUVとして登場するといわれています。
このように留まることを知らないSUVブームですが、直近ではコンパクトSUVが目白押しとなることが予想されるため、C-HRやヴェゼルはより苦戦を強いられる可能性も出てきました。
SUVジャンルで王者だったC-HRが首位を奪還する日は来るのでしょうか。
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