いまのクルマ界、ややこしいカテゴライズの仕方だったり、名前の付け方だったりがけっこうある。
それぞれに込められた意味をここで一度整理して「スッキリ!」してみたい。
【スクープ】トヨタ直6モデル増殖計画|ベストカー6月26日号
※本稿は2019年4月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年5月26日号
■BMWの「Xで始まるSUV」問題&ベンツの「GLで始まるSUV」問題
世界的潮流とはいえ、ドイツの2巨頭ブランドにはSUVが増殖中。まずは、気づけば1から6まできれいに並ぶBMWのSUVシリーズ「X」ラインナップ。
まず、「X●」の数字に意味がある。奇数は「クロカンタイプ」、偶数は「クーペタイプ」で差別化されているのだ。ふむふむ。
で、数字が大きくなるほど車格が(価格も)上がるわけだ。が、しかし…このように同サイズで写真を載せると……実に似ている。特にX3とX5。
●奇数ナンバリング(クロカンタイプ)
BMW X1。「全長×全幅×全高」は4,455×1,820×1,600mm。423万円~
BMW X3。4,720×1,890×1,675mm。657万円~
BMW X5。4,935×2,005×1,770mm。920万円~
●偶数ナンバリング(クーペタイプ)
BMW X2。4,375×1,825×1,535mm。439万円~
BMW X4。4,760×1,920×1,620mm。767万円~
BMW X6。4,925×1,990×1,700mm。979万円~
次はメルセデスベンツのSUVシリーズ「GL」。車名の「GL」の後に続く「A~S」で、車格と価格アップ具合がわかるのだが、リアガラスが寝るクーペタイプには「クーペ」という名前が付いているのでわかりやすい。
ベンツGLAクラス。4430×1805×1505mm。414万円~
ベンツGLCクラス。4660×1890×1645mm。621万円~
ベンツGLCクーペ。4735×1890×1605mm。652万円~
ベンツGLEクラス。4825×1935×1795mm。896万円~
ベンツGLEクーペ。4905×2015×,730mm。918万円~
ベンツGLSクラス。5130×1935×1850mm。1113万円~
こう並べてみると意外とデザインも異なり、特に「GLE」はリアピラーのデザインがほかと大きく違いますね。
■ボルボ V40「英語の言葉が付く多彩なグレード」問題
ボルボのなかでもヒットモデルとなっている「V40」。グレード名に「キネティック=動的」「モメンタム=弾み」(※いずれも直訳の英語です)などという名称が付いているので、ちょっとややこしい。
なので、5枚の写真を並べて整理してみた。まず「キネティック」はベーシックグレードで、シートやオーディオ関係の装備が簡素化されている(もちろん安全装備は標準設定)。
「モメンタム」は量販モデルのベースグレード。北欧をイメージしたファブリックシートながら、運転席パワーシートは標準設定。
「インスクリプション」は上級グレード。運転席&助手席がレザーのパワーシートで標準化。大型のタイヤ口径も特徴。これのSUVスタイルが「クロスカントリー」で、それに「サマム」という名称が付く。
最後は「Rデザイン」。スポーティグレードで、「R」はRacingでなくRefinement(洗練)の「R」。スポーツ性だけを狙うのではなく専用の内外装、専用サスペンションなどが特色。これでバッチリ整理できた! ハズ!
「キネティック」。いわゆる“素”のベーシックグレード。4370×1800×1440mm。299万円~
「モメンタム」。量販モデルのベースグレードがこれ。4370×1800×1440mm。384万円~
「インスクリプション」。内装やシートも上品な上級グレード。4370×1800×1440mm。414万円~
「クロスカントリーサマム」。インスクリプションをSUV仕立てに……。4370×1800×1470mm。459万円~
「Rデザイン」。スポーティグレードだが「洗練」は忘れず。4370×1800×1440mm。455万円
■MINI「種類ありすぎでチンプンカンプン」問題
現在、日本で売られているMINIのモデル、これも整理したい。まずMINIの3ドアモデルのなかでグレード違いを3台取りあげたが、グリルの違いなど微妙に雰囲気が違う。このさじ加減の妙が素晴らしいではないですか。
そして、5ドアONE、クラブマン、クロスオーバーという5ドアの3タイプ。これらもパッと見は似ており、特にクロスオーバーはモデルチェンジでクラブマン寄りのスタイルに…。
でもこの3台、ボンネットの形状がそれぞれ異なり、それ以上に大きさが違うので(写真では同サイズで載せたが)実は区別がつきやすかったりする。
たとえば、クロスオーバーの場合、全幅は1820mm(トヨタクラウンより20mmでかい)、全長は4315mm(スバルXVより150mm短いだけ)と、もはや「MINI(小さい)」とは呼べない堂々たる体格です。
MINI ONE
MINIクーパー。294万円~
MINIクーパーS。354万円~
MINI 5ドア「ONE」。271万円
MINIクラブマンクーパーS。416万円
MINIクロスオーバークーパーS。459万円
MINIコンバーチブルクーパーS。425万円。あえて同サイズの写真で載せたので、「MINI、どれも同じじゃ~ん」とつい思いがち。コンバーチブル(クーパーS)だけはオープンということで、見た感じの違いは歴然
以上、7枚の写真を載せたが、すこし前までクーペやペースマンなどのモデルもあったので、その時よりはまだ整理がつきやすい。
■ランドローバー「違いがよくわからないSUV」問題
見た目ですぐ違いがわかる「イヴォークコンバーチブル」以外の、日本に導入されているランドローバーのSUVがこの6台。いずれも高級車で、高級車のなかでキャラとヒエラルキーが構築されている。
ディスカバリー。4970×2000×1890mm。850万9000円~
ディスカバリースポーツ。4610×1895×1725mm。。443万9000円~
イヴォーク。4,355×1,900×1,660mm。502万円~ ※価格・寸法は初代のものです
ヴェラール。4820×2041×1685mm。705万3000円~
レンジローバー。5005×1985×1865mm。1409万円~
レンジローバースポーツ。4855×1985×1800mm。873万円~
法則としては名前に「スポーツ」がついているモデルが、つかないモデルより価格設定は低めだ。
■トヨタヴィッツGRやらGRMNやら「トヨタのGで始まるスポーツシリーズ」問題
ヴィッツの「GRブランド」は旧G’sが細分化され、“チューンの濃さ”で上から「GRMN」「GR」「GRスポーツ」と3つのラインでピラミッド構成。どれもGで始まり若干ややこしいが、3タイプ、どう違うの?
頂点の「GRMN」はトヨタ入魂の本格スポーツ。3ドアモデルで、全体にこだわりのチューニングが施されており、目玉は直4、1.8L+スーパーチャージャーというパワートレーン。212psを発生し、パワーとシャシーのバランスが絶妙。欧州ホットハッチに負けませんよ。
「ヴィッツGRMN」。下の2台との見た目の違いは3ドアの部分。212ps発生の1.8Lスーパーチャージャーを搭載。さすが頂点に君臨するGRMNだ
中間に位置する存在が「GR」で、パッと見のスタイルの違いは5ドアボディ。1.5L NAに変更はないが、10速シーケンシャルシフトCVT採用など本格的スポーツ性能を味わえる。
「ヴィッツGR」。「GRスポーツ」と外観はほぼ同じ。走れば違いはすぐにわかる!?
3つめの「GRスポーツ」は主にボディ剛性アップなのだが、標準ヴィッツよりはスポーツ度合いは数段アップ!
「ヴィッツGRスポーツ」3番目位置のライトチューンでも、走りは熱い
……以上、3つのキャラ、明確に違いがあるのですよ。
* * *
いかがだったろうか。
BMWやランドローバー、MINIは実際のサイズ感ではなく、同じ大きさの写真で並べてみるとホント似ている。それゆえ、本企画のように一度整理してみてよかった。心底、そう思います。
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