ABB FIAフォーミュラE世界選手権は、3月30日にシーズン10第5戦東京E-Prixを開催する。このレースは初めて日本で初めて開催されるフォーミュラEのレースだ。2018年から参戦する日産にとって、初めての母国E-Prixとなる。
日産自動車は28日、東京都内で記者会見を開催した。会見にはニッサン・フォーミュラEチームのゼネラルマネージャー兼チームのマネージングダイレクター、トマソ・ヴォルペ氏、ドライバーのオリバー・ローランド選手、サシャ・フェネストラズ選手、チーフパワートレインエンジニアの西川直志氏が登壇した。
フォーミュラE 東京初開催を振り返る…独特の予選方式は新鮮味大、やはり待たれるのは日本人選手の参戦
ヴォルペ氏は「日本のOEMメーカーで唯一参戦するのが日産だ。日産は市販車ラインナップの電動化を進めている。フォーミュラEで活躍することによって、電動化をワクワクした、エクサイティングなものとして進めたい。東京E-Prixでは33%の人が日産を応援しているそうだが、まだニッチなカテゴリーだ。日本開催を機に日本の皆さんにもフォーミュラEを知ってもらいたい」とあいさつ。
ローランド選手は直近2戦を連続3位と好調で、現在ランキング7位、東京E-Prixでも表彰台を狙う勢いだ。「好調はチーム全体のおかげだ。東京でも好調を再現したいね。それにはリズムに乗る必要がある。東京は気温が低いので、温まるまでのタイヤの使い方が難しい。高速と低速のミックスで構成されるコースも難しい」と自身の好調と東京E-Prixについて語る。
日本でモータースポーツのキャリアをスタートさせたフェネストラズ選手の来日は、当時のファンには嬉しいところ。「会見の会場には知った顔もあるよ。フォーミュラEと内燃機関のレースとで違う点は多い。特にフォーミュラEではエネルギーマネジメントが難しく、乗り換えた当初は苦労した。内燃機関のレースでは感じたことなかった」とコメント。
東京E-Prixを走るドライバーでは、やはり日本で実績を持つベテランレーサーでランキング1位の、ニック・キャシディ選手(ジャガーTCSレーシング)に注目だ。キャシディのチームメイトでランキング3位のミッチ・エバンス選手も、自身とチームの100回目の選手権レースを記憶に残るものにしようと意気込んでいるという。注目の選手としては、日産パワートレインを使用しているサム・バード選手(NEOMマクラーレン)も、フォーミュラEで12勝を挙げている実力者だ。パスカル・ウェーレイン選手(タグ・ホイヤー・ポシェ)も現在ランキング2位で15戦連続ポイント獲得中と強敵の一人だ。
西川エンジニアは、市販車とフォーミュラEのエンジニアリング開発では制約が違うという。「市販車では乗り心地のNVH(騒音、振動、荒々しさ)が大切だ。レーシングカーのドライバーの快適性を考える必要はない。性能の見極という点で、モータースポーツは役に立つ」という。
また西川エンジニアはエンターテイメントとして、フォーミュラEは見どころが難しいという。「全車同じバッテリーを積んで、限られたエネルギーで早く走らなければならない。そのマネジメントが見どころだが、上級者向け。また『どうせ音がしないんでしょ』とフォーミュラEを避けるレースファンもいるが、フォーミュラEのマシンもそれなりの音があり、カッコよく聞こえるようになってくる。東京開催で迫力を感じてもらってフォーミュラEの認知度が上がってくれるといい」という。なお第4世代のマシン「Gen4」の仕様詳細は未定だが、日産にはe-4ORCE技術があるので、四駆化を望んでいるそうだ。
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