この記事をまとめると
■ランチアのコンパクトハッチであるイプシロンの新型が公開された
なぜか「沼る」人だらけ! 「イタフラ車」に一度乗ると「抜け出せなく」なる理由
■新型イプシロンはコンセプトカー「プーラ」のデザインを取り入れた超美車に変身
■歴代イプシロンを振り返りながら新型の魅力を解説
歴代すべてのモデルがエレガンスを携えるランチア・イプシロン
2024年2月14日、イタリアのミラノで初公開されたランチアの新型「イプシロン」が超スタイリッシュと話題だ。13年ぶりのモデルチェンジとなった新型のエクステリアの魅力はどこにあるのか? 今回は、公開となった写真と動画をもとにじっくりチェックしていく。
まずは歴代のイプシロンを振り返ってみると、やはり初代のスタイリングは衝撃的だった。アルファロメオで164やGTV、スパイダーを手がけたエンリコ・フミア氏によるエクステリアは、フロントグリルを起点に引かれた数本の曲線によって構成された超異色作である。
完全に「想定外」でありながら、その絶妙なバランス感はいまでもまったく旧さを感じさせないのだ。
2代目は、アッと驚く意外性こそ減ったものの、Bセグカーとは思えない上質な佇まいが印象的だった。初代に準じる後ろ下がりのキャラクターラインと縦長のテールランプの組み合わせや、まるでスイーツのような甘さを感じるツートンカラーは、初代とは違ったエレガントさを発揮したのだ。
クライスラーの名前が入った3代目は、サイズこそ拡大しなかったものの、大きなグリルを含めて随分と大味なスタイリングとなった。
下がり気味の独特なテールランプなどは2代目を想起させるが、上質さは感じられず、このあたりが日本での販売終了を早めたのかもしれない。
歴代イメージに新しいモチーフを持ち込んだ新型イプシロン
先代比で245mm長く、85mm広くなったものの、いままでと同様に欧州Bセグメントとして再出発する新型は、昨年発表されたコンセプトカー「Pu+Ra HPE(プーラ)」のモチーフをとり入れたもの。すなわち、ピュアでラジカルという相当に尖ったデザインテーマを投下したわけだが、よく見ると基本のシルエット自体は、意外なほど常識的なことに気付かされる。
では、新型のデザインは退屈なのか? といえばそんなくことはなく、新しいデザインテーマによる「味付け」が見所といえそうだ。
フロントから見ていくが、ここではコンセプトカー同様にランチア伝統の楯形グリルを再解釈した「カリス」と呼ばれるブラックのパネルと、Y字形のシャープなデイタイムランニングランプが特徴だ。
このカリスは、円をモチーフとしたコンセプトカーほどのインパクトはないが、実用的なコンパクトカーの「顔」としては十分個性的であろう。左右に離されたヘッドライトはカリスを邪魔しないため? と思えるが、これが新生ランチア共通の顔になるかは、今後のお楽しみとなりそうだ。
ボディ側面は、何といっても大きくカーブを描くショルダー面が見所だ。歴代も後ろ下がりのラインだったので、リヤビューにはその面影が残っている。コンセプトカーほどの張り出しはないし、特徴的なフロントフェンダーの黒いパネルもないが、ここも実用コンパクトとしてはいい落としどころだと思える。
この張りのある豊かな面は、同じく余計なラインのない滑らかなボンネットと組み合わさることで、クラスを超えた優雅さを感じさせてくれる。
最後に、リヤの尻下がりの面に突き出すブラックのガーニッシュと丸いテールランプはコンセプトカーのイメージをうまく再現しているように見える。このランプは「ストラトス」をオマージュしたそうだが、フロントのブラックパネルと相まって、ボディ全体の引き締め役にもなるはずだ。
さて、あらためて新型イプシロンのエクステリアをチェックしたが、読者の皆さんはどのように感じられただろうか? コンセプトカーが魅力的だと市販版でガッカリ……なんてことが多いなか、トータルイメージの再現としては巧くまとめているのではないだろうか。
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