現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 開発ストーリーダイジェスト:ホンダS660

ここから本文です

開発ストーリーダイジェスト:ホンダS660

掲載 更新 33
開発ストーリーダイジェスト:ホンダS660

前回「開発ストーリーダイジェスト:ホンダ・ビート」を紹介した。ビートは軽オープンカーという新境地を開拓したものの、1996年には販売が終了してしまった。しかし、その独創的なキャラクターと走り味にはファンが多かった。そして、2015年に後継として「S660」が登場した。約20年のブランクを経ての開発に伴った苦労とは?REPORT:ニューモデル速報編集部

 「ホンダ・ビート」が開発された経緯を簡単に振り返ると、R部門と称するコンセプトチームが“遊び”のためのクルマとしてまとめていたアイデアが社長の目に留まったことから開発がスタートしたのだが、実は「S660」も似たような経過を経て開発がスタートした。

開発ストーリーダイジェスト:ホンダ・ビート

 本田技術研究所の設立50周年を記念した新商品提案企画というコンテストが行なわれたのだが、これに当時はモックアップ製作を担当するモデラーだった椋本陵が応募したのがはじまりとなった。ホンダがもっと元気になってほしいことと昔のようにカッコ良くてワクワクするスポーツカーが欲しいという想いから提案した企画は、応募総数約800件の中で1位に輝いた。そのご褒美として1/1のモックアップをつくったが、パイプフレームにカーボンのボディ、軽トラのエンジンと足まわりを用いて自走できるクルマを作るほど盛り上がった。そして、そのクルマの存在が社長の耳に入り、試乗を経て、開発が現実味を帯びることとなり、言い出しっぺであることからLPLとして当時22歳の椋本陵が抜擢された。また、補佐する開発プロジェクトリーダー(PL)も社内公募で集められ、強い想いを抱いた若者が選抜された。

 しかし、プロジェクトチームの発足式からわずか数日後に東日本大震災が起こった。栃木の研究所は壊滅的なダメージを受け、立て直しにはとんでもない費用が掛かるため、S660のプロジェクトは白紙に戻るだろうと思ったという。だが、研究所の役員は復興後のモチベーションを考えて、“この企画は絶対に止めない、前に進むことを考えろ”という指示がすぐに来たという。

 かつてNSXやビートでミッドシップの開発を成し遂げたとはいえ、S660も苦労は尽きなかった。開発当初は既存のものを流用できないか検討したが、それでは普通のクルマになってしまう。また、椋本LPLを含めた若いPLたちが“小さくても本当に楽しい本物のスポーツカーをつくる!”と毎日意気込んでいるため、アームを含めてすベて専用のものとなった。

 けれども、際限なくコストは掛けられない。初心者も上級者も“誰でも手頃に”がコンセプトなため、手に余る速さは不要だが、痛快なハンドリングマシーンであることを追求する考えにブレはなかったが、手頃で安いことを追求すべきか、妥協なく本物のスポーツカーを作って相応の売価をいただくかは悩みどころだったという。

 そんな「S660」では生産も課題だった。スポーツカー、ミッドシップ、オープンである「S660」は、最大限まで効率化された主力の量産ラインではつくれなかったのだが、軽商用車のほか、特装車などが得意な八千代工業に白羽の矢が立ち、世に送り出されていくことになった。

こんな記事も読まれています

角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
角田裕毅9位、選手権6位争いにおいて価値ある2点を獲得「強力なレースペースを示せた。シーズン最後まで全力で戦う」
AUTOSPORT web
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
サイズも価格も近い禁断の兄弟対決!! [ランドクルーザー250]と[ランドクルーザー300]の違いって??
ベストカーWeb
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
【ポイントランキング】2024年WRC最終戦ラリージャパン後
AUTOSPORT web
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

33件
  • 毎年この時期に
    「自動車税納税通知書」の手紙が来て思うこと…

    やっぱ軽自動車にしときゃよかった…orz
  • このカテゴリーに軽自動車で参入するというアイデア自体は悪くはないと思いますけど、しかしやっぱり軽は軽でした。これを例えばモナコのカジノパーティに乗りつけたとしたら失笑を買うのは間違いないでしょう。車の天井がなければなんでも良いわけではありません。スタイルや品などがないサル真似の車は格式が求められる場に合うわけがありません。

    660CCのわずかなパワーを使い切ってエンジンを回したければ、人の迷惑にならないサーキットでやってください。街中でそんな音で走っているのは軽自動車ぐらいなものです。これは最近のスーパーハイトワゴンにも言えますけど車幅よりも高さがはるかに大きくバランスの悪い、仮設トイレのような外見の軽自動車は街中の美観を損なうだけではなく、パワーに見合わない車重のせいでエンジンを必死で回すのでこれもうるさいったらありゃしません。

    結局軽自動車なんて何をやらせてもダメやつみたいな役立たずです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

203.2315.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

102.8630.0万円

中古車を検索
S660の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

203.2315.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

102.8630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村