実用的で充実装備の5ドア・ミニ
新生ミニへ2010年に追加された、初代ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)。実用的な5ドアモデルが狙われていたものの、少し実力不足で、人間工学的にも理想的とはいえなかった。
【画像】弱点を許せる魅力! ミニ・クロスオーバー(Mk2) 最新カントリーマンとエースマンも 全144枚
それでも背の高いプロポーションで、しっかり人気を獲得。2代目は2017年に登場している。初代の課題を見直し、車内空間は拡大。グリップ力が高められ、走行性能も引き上げられた。クラストップといえる訴求力を得ていた。
シャシーは、通常のミニから200mm延長。リアシートへ大人が座っても、快適に長時間過ごすことができた。7代目ゴルフより、上下方向にはゆとりがあるほど。荷室容量は450Lで、これは1クラス上の広さといっていい。
そしてカントリーマンは、2024年に3代目へ交代。現在の英国では、2代目の中古車を7000ポンド(約137万円)前後から探すことが可能になった。
ミニ・ブランドの1台らしく、インテリアデザインは個性的で、仕立てられる素材は上質。若干フィット感に甘い部分はあるものの、掛け心地の良いシートの調整域は広く、望ましい運転姿勢を取ることができる。実用的で、装備も充実していた。
ダッシュボードにはインフォテインメント用タッチモニターが備わり、6.5インチか8.8インチを選択できた。これから選ぶなら、大画面の方が良いだろう。グラフィックは充分美しく、ロータリーダイヤルで操作でき、走行中でも扱いやすい。
走りは活発なハッチバック 小径ホイールがオススメ
路上での印象もミニらしい。活発なハッチバックのように運転できる。アウディやメルセデス・ベンツの高性能ホットハッチへ動的能力は届かないものの、充分にエネルギッシュ。積極的に速度を乗せ、ステアリングの反応は小気味いい。
シャシーのバランスも良好で、颯爽とコーナリングできる。ただし、乗り心地と静寂性は、若干犠牲になっていた。舗装のつぎはぎが目立つ場所では、落ち着きに欠ける。
オプションでアダプティブダンパーを組め、快適性は改善できた。ただし、目立った違いとまではいえない。
パワートレインは多彩で、135psを発揮する1.5L 3気筒ガソリンターボが、英国仕様のベースユニット。191psの2.0L 4気筒ターボ、クーパーSや、231psのジョン・クーパー・ワークス(JCW)も選べた。
150psのクーパーDや、189psのクーパーSDなど、ディーゼルターボも提供された。プラグイン・ハイブリッドは燃費が期待ほど優れず、荷室も狭く、あえて選ぶ必要はないだろう。通常は前輪駆動で、オール4と呼ばれた四輪駆動もある。
長距離旅行を定期的に楽しむなら、クーパーDが好適。適度にパワフルで普段使いしやすく、燃費も14.0km/L以上を簡単に出せる。市街地中心なら、1.5Lガソリンでも不満なし。特有のエンジン音は、ミニのキャラクターに合っている。
乗り心地を重視しなければ、運転を楽しめるクロスオーバーとして、カントリーマンの訴求力は高い。小さめのホイールを組めば、快適性も多少高められる。弱点を許せるほど、中古車価格もお手頃だ。
新車時代のAUTOCARの評価は?
ミニ・カントリーマンは、それ以外のクロスオーバーとは一線を画す。新生ミニが15年ほど強みとしてきた、レトロフューチャーなデザインとプレミアム感、ドライバーとの適度な一体感を受け継ぎ、好きになれる可能性は高い。
むしろ、カントリーマン以外の選択肢はないと考える人もいるかも。特に、競合クラスの個性が薄めのプレミアム・ハッチバックと比べれば。(2017年2月22日)
オーナーの意見を聞いてみる
ジェイソン・モリス氏
「2017年の始めに、2代目カントリーマンを購入しました。6年間で32万km以上走っています。その殆どの時間を、1.2tのトレーラーを牽引した状態で。カントリーマンは、自分のあらゆる要求に応えてくれていると思います」
「これまで幾つかの部品は壊れましたが、経年劣化といえるでしょうね。予想の範囲内です。2023年に乗り換えも検討したんですが、運転の楽しさを考えて、まだしばらく維持することにしたんです」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
クランクシャフト・センサーの不調で、セーブモードに入り、本調子が出せないことがある。予め試乗し、滑らかにエンジンが吹け上がるか確かめたい。
エンジンオイルの漏れや、不自然に大きな振動は、エンジンマウントの劣化が原因の場合がある。一般的に、ロワーマウントを交換すれば解決できるはず。
B47型のディーゼルターボ・エンジンでは、タイミングチェーンの伸びや破断に注意。チェーン交換はエンジンを下ろす作業となり、簡単にはできない。パティキュレートフィルターや排気ガス再燃焼機能の不調もあるようだが、かなり珍しい。
ターボは、ウェイストゲート・アクチュエーターが不調になることがある。これは、珍しいことではない。
ボディ
テールゲートは電動。操作通り開閉するか確かめたい。ストラットやモーターが不調になると、半分で止まったり、完全に開かなくなることも。部品を交換するしか解決策はないようだ。
サンルーフのドレインホールが詰まり、荷室やフロア部分に雨水が流れ込む場合がある。車内をくまなく調べて、不自然に湿っていないか確かめたい。
電気系統
シートヒーターは、ボタンを押すとライトが点灯し、暖かくなることを確認したい。ヒューズ交換で済む場合もあれば、ヒーター制御モジュールの交換になることも。
知っておくべきこと
2代目カントリーマンは、2020年にフェイスリフトを受けている。新しいバンパーとヘッドライト、テールライト、フロントグリルが与えられた。また、オプションパッケージが追加され、装備や機能の選択肢が増やされている。
英国仕様のチリ・パッケージの場合、デュアルゾーン・エアコンにLEDヘッドライトなどが追加された。コンフォート・パッケージは、シートヒーターとバックセンサーを得られた。
2017年のユーロNCAPのテストで、2代目カントリーマンは5つ星を獲得している。子供も含めた乗員の保護性能で、高い評価が与えられている。
英国ではいくら払うべき?
6500ポンド(約127万円)~1万4999ポンド(約292万円)
英国では、様々なエンジンやトリムグレードの2代目カントリーマンを選べる。クーパーとクーパーDが中心。走行距離は長めだが、歴代のオーナー数は少なめ。
1万5000ポンド(約293万円)~2万2999ポンド(約448万円)
フェイスリフト後のカントリーマンが含まれてくる。ディーラーで整備を受け続けてきた、好条件の例も見つかるようだ。
2万3000ポンド(約449万円)~2万9999ポンド(約584万円)
走行距離の短い、フェイスリフト後のカントリーマンがご希望なら、英国ではこの価格帯から。JCWも含まれる。
3万ポンド(約585万円)以上
走行距離が短く、新車へ近い状態がお望みなら、この価格帯に。ほぼ新車といえるような、JCWも探せる。
英国で掘り出し物を発見
ミニ・カントリーマン・クーパー・エクスクルーシブ(英国仕様) 登録:2020年 走行距離:3万6200km 価格:2万2500ポンド(約439万円)
ワンオーナー車で、走行距離は短め。ナビゲーション・パッケージ付きで、インフォテインメント用モニターは8.8インチ。丁寧に整備され、1年間の保証が付くとのこと。
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