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【ヤマハXSR700】本気で惚れ、実際に買って確認した「熱愛インプレ」ロングツーリング編(菅生雅文)

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【ヤマハXSR700】本気で惚れ、実際に買って確認した「熱愛インプレ」ロングツーリング編(菅生雅文)

東北一周ツーリングから帰ってきた。合計12日間、走行距離は約3400キロで、購入後の総走行距離は5000キロになった。これは裏磐梯、信州、そして今回の東北と、ほぼすべてツーリングで稼いだ距離だ。ということで、今回はXSR700のロングツーリング・インプレッションをお届けすることにしよう。

結論から述べれば、ずばり「大いにアリ」だ。XSR700は東北6県の山岳路・シーサイド・高原ワインディング・市街地・高速道路、すべての状況で過不足なくその能力を発揮した。

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ヤマハの公式サイトでは、XSR700のキャッチコピーに「『街を楽しむ』が、僕たちのスタイルです。」とあるが、自分はその文言にもう一言、追加したい。XSR700は「旅も楽しい」、と。

「ちょうどいい」から疲れない
XSR700の車体サイズは、でかすぎない。全長は2メートルと75ミリしかないし、スリムなボディをしている。車両重量だって186キロと軽く、400cc並みともいえる。XSR700は、まずはそこがいい。でかすぎないから、気負わず乗れる。

さっと跨り、すぐに走りだせる。スクランブラー的な形状のアルミ製テーパーハンドルは幅740ミリとワイドなもので、姿勢もラク。押さえが効くから、未舗装の区間が現れても構えずに入れる。

このバイクでダートを楽しもうとは思わないけれど、ツーリング先で、道路が舗装工事中だったり、キャンプ場の進入路が砂利だったりというのはよくあること。

これが大きくて重たいバイクだったら躊躇するだろうが、コンパクトで軽いXSR700なら不安はない。気負わずに乗れるから、身体もラクだし、精神的にも疲れない。

ちょうどいいのは、車体だけじゃない。車体とパワーのバランスもいい。最高出力は73馬力、最大トルクは68N-mで、トラクションコントロールシステムなどの世話にならなくても乗り手の能力で制御しうる、程よい力強さを持っている。

トラコンの必要がない、素直で扱いやすいエンジン。それでいて、充分すぎるほどトルクフル。相反するような表現だけれど、実際に各地の山岳ワインディングを駆けまわっていて感じたことだ。

秋田・岩手両県にまたがる八幡平アスピーテライン、岩手県の樹海ライン、山形・秋田両県にまたがる鳥海ブルーライン、秋田県の寒風山パノラマライン……。名だたる絶景ワインディング・ロードで、XSR700は軽快かつ力強い走りを見せた。車体の軽さとパワーのバランスがよく、実にコントローラブルなのだ。

積載性や乗り心地について
長旅ともなれば、荷物もかなりの量になる。今回は撮影機材などかさばるものが多かったため容量70リットルの大型リアバッグを積載したが、XSR700の場合、リアシートが小さめなのでリアキャリアはあったほうがいい。

ノーマル状態でも積めるには積めるものの、着座位置が狭められて窮屈になる。特に長い日数をかけたツーリングでは、疲労が積み重なってしまうだろう。

リアシートとキャリアに荷物が固定でき、着座位置がしっかりと確保できれば、長時間走行も疲れにくくなる。というのは、腰を引いて座ることができるようになるから。

XSR700のシートは、前が細く、後ろが広い。そのため、後ろに引いて座ると着座面積が広くなって(着圧が分散され)、お尻が痛くなりにくくなるのだ。

シート後部に腰を引いて座ると、自然と前傾姿勢になる。すると今度は、オプションのフロントナンバープレート(ワイズギア製)が効果を発揮。ちょっとした風防の役目を担ってくれるのだ。

ちなみに東北自動車道の〈花巻南IC~盛岡南IC〉の最高速度は時速120キロなのだが、腰を引いて前傾になれば、首から下の部分が受ける風圧がずいぶんと軽減されていることがよく実感できた。

エンジンフィーリングと燃費性能
XSR700のエンジンは、MT-07と同じ270度クランクの水冷4スト直列2気筒。設計思想の「クロスプレーンコンセプト」が秀逸で、これは慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率よく引き出すことを目指したもの。

トルクのムラがなく、また鼓動感が強く味わえる。直列2気筒270度クランクならではのフィーリング。ただ乗っているだけで楽しく感じられるのは、この要素が大きいのだろう。

燃費は立派。デジタルメーターに記録されている平均燃費はリッター23.7キロ。これは購入後、総走行距離5000キロでの平均だ。

今回の東北一周ツーリングでの最高記録は、リッター27キロだった。レギュラーガソリンでこれだけの低燃費、長旅での出費が抑えられてありがたい。

6月下旬から7月上旬にかけての東北一周。雨や曇りが多く、たまに陽が射したとしても、今度は蒸し暑くなる。東北の空気はからりとしていそうなイメージだが、平野部、特に盆地は蒸し暑いのだ。

そんなじっとりした梅雨空の下でも、XSR700はツーリングの楽しさを存分に感じさせてくれた。軽快さと、機動力の高さ。コントローラブルなハンドリング。乗りやすいし、降りてもまたすぐ乗りたくなる。

まもなく夏、本番。次回は避暑を兼ねて、高原のワインディングに出かけようと思う。

文:菅生雅文/写真:柴田雅人・菅生雅文/協力:ヤマハ発動機販売

ヤマハ XSR700 主なスペックと価格
全長×全幅×全高:2,075×820×1,130mm
ホイールベース:1,405mm
最低地上高:140mm
シート高:835mm
車両重量:186kg
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量:688cc
ボア×ストローク:80.0×68.5mm
圧縮比:11.5
最高出力:54kW(73PS)/9,000rpm
最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/6,500rpm
燃料タンク容量:13L
変速機形式:6速リターン
キャスター角:25.00゜
トレール量:90mm
タイヤサイズ(前・後):120/70R17M/C (58V)(チューブレス)・180/55R17M/C (73V)(チューブレス)
ブレーキ形式(前・後):ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格:税込89万9,640円

ヤマハ XSR700 公式サイト

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文:webオートバイ アウトライダー菅生雅文

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