FCEVになって日本に帰ってきたホンダCR-V
ホンダは、最新世代のCR-Vをベースとした「CR-V e:FCEV」を、2024年夏に日本国内市場に導入すると発表し、同時に日本仕様を初公開している。
ホンダが「CR-V FCEV」を富士スピードウエイで世界初公開、なぜこのタイミングで世に出たか
すでに2023年11月、スーパー耐久シリーズ最終戦の舞台となった富士スピードウェイにてコンセプトモデルが披露されており、期待が高まるなかでの発表となったわけだが、FCEVとはどのようなクルマなのか、改めてCR-V e:FCEVの解説をしながら紹介していきたい。
EVタイムスをご覧の読者の皆様には説明不要だろうけれど、FCEVとはフューエル セル エレクトリック ビークルの頭文字を略したもので、訳すと「燃料電池電動車」となる。駆動用モーターとバッテリーを搭載する点ではEV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)と同様だが、HVが内燃機関による発電をエネルギー源の一部としているのと同様、FCEVでは燃料電池が発電を担当すると考えればいい。
FCEVでは水素を車内のタンクに貯め込み、空気中の酸素と水素を化学反応させることで発電を行う。発生した電気が駆動用モーターに届けられ、走行するというのがFCEVのシステムだ。最大のメリットは、ガソリンエンジン車のような燃焼過程が存在しないため、CO2(二酸化炭素)が一切発生しないこと。FCEVが走行中に排出するのは「水」のみという、いかにもクリーンな次世代自動車である。
ホンダは従来よりFCEVの開発を精力的に進めており、「FCXクラリティ」や「クラリティ フューエルセル」といったモデルを市販してきた。2024年の夏に発売されるCR-V e:FCEVはその最新版で、ホンダの世界的ベストセラーSUVであるCR-Vの車体に、大幅進化した燃料電池ユニットを搭載したもの。
水素一充填あたりの走行距離は600km以上、EV走行可能距離も60km以上を見込んでいるうえ、水素の充填にかかる時間も約3分という短さを実現。FCEVならではの優れた環境性能と、SUVの高い実用性を兼ね備えたモデルとなっている。
そして、日本の自動車メーカーが発売するFCEVとしては初めて、外部から充電可能なプラグイン機能を備えた「プラグインFCEV」であることも特徴だ。
外部充電も給電もできる実用性の高さを備える
CR-V e:FCEVのボディサイズは全長4805×全幅1865×全高1690mmで、ホイールベースは2700mm。ベースとなっているのは北米市場で販売されている現行CR-Vで、フロントまわりの形状がe:FCEV専用デザインとされたことで、全長が110mm延長されている。
CR-V e:FCEVでは、FCスタックシステム/モーターギヤボックス/エアポンプ/電動ターボ型ACコンプレッサーなどで構成されるパワーユニットを一体化することで小型化や生産工程の効率化を実現しているが、いっぽうで冷却系への要件も高くなっている。
そのため、上下二分割形状を採用したフロントグリルの採用や、フロントバンパー先端部を前方へ延長することで、冷却性能の向上が図られた。
ベース車両に対してフロントフード、フロント左右フェンダー、フロントグリル、フロントバンパー、さらにリヤバンパー下部の形状がe:FCEV専用となっており、他グレードとの識別点となっている。
また、左フロントフェンダーにはAC充給電口、左リヤフェンダーには水素の充填口が備わる。
インテリアは「上質なのにタフに使えるモダンコーディネート」を目指してデザインされており、近年のホンダ車に共通する水平基調のインパネや3連ダイヤルスイッチを採用。シート表皮には環境に配慮したバイオ合皮を使用し、品質の高さとサステナブルを両立した。
車内は2列シート5名となっており、後席のシート下に水素タンク(小)、そして後席シートバックの背後、ラゲッジルームにもうひとつの水素タンク(大)が配置される。
そのため、ラゲッジルームにはアレンジ可能なフレキシブルボードが用意されており、オーナーの使い方にあわせて荷室スペースを上下に区切ることができる。
家庭や勤務先など、停車時に外部から充電できるのがプラグイン車の特徴だが、CR-V e:FCEVでは、さらに「給電」も可能としている。左フロントフェンダーに備えられたAC充給電口に「ホンダ パワーサプライコネクター」を接続することで、最大1500WのAC給電が可能となる。
車内のラゲッジルーム右側にあるDC給電コネクターに「パワーエクスポーター e:6000」や「パワーエクスポーター9000」などの外部給電機を接続することで、屋外イベントや非常時の家庭用電源としても機能するという。
CR-V e:FCEVのボディカラーは、プラチナムホワイト・パールとメテオロイドグレー・メタリックの2色。販売形態についてはリース形式が予定されているが、そのほか詳細なスペックや車両価格については2024年夏に明らかとなる。
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