日常的な速度でも生き生きとしている
現存するAE86型のトヨタ・カローラ・レビンやスプリンター・トレノの殆どは、何かしらモディファイされている。英国トヨタのヘリテイジ車両ですら、排気系のほかにストラットタワーバーとロワースプリングが組まれ、ボディ補強が施されている。
【画像】FRの名車 AE86型トヨタ・カローラ・レビン 最新のGR86とGRカローラも 全85枚
乗り心地は若干跳ねる印象ながら、積極的に走りたい小さなスポーツクーペには合っている。そして、すぐにその本性が見え始める。
パワーアシストの備わらないステアリングは、操舵時の重さや感触が素晴らしい。シフトフィールも良好で、操作系のすべてが調和しているように感じられる。聴き応えのあるエンジンサウンドを、堪能しやすい。
街灯が並んだ夜の都心を走るのに、完璧な組み合わせに思える。日常的なスピードでも、AE86型のカローラ・レビンは命が宿ったように生き生きとしている。
もちろん、サーキットでもその能力はいかんなく発揮された。各地の峠道でドライバーの心を強く掴んだだけではない。欧州のモータースポーツでも、優れた戦いを披露した。
1984年以降、カローラ・レビンはヨーロッパツーリングカー選手権へ参戦。トヨタはマニュファクチャラーズ・タイトルを3シーズン目の1986年に掴んでいる。メルセデス・ベンツ190E コスワースや、BMW E30 M3といった強敵を打ち負かしながら。
同時期には、英国サルーンカー・チャンピオンシップへも参戦。クリス・ホジェッツ氏やアラン・ミンショウ氏、バリー・シーン氏というレーシングドライバーがステアリングホイールを握った。
欧州のレースでも活躍したAE86
なかでも、トヨタのワークスチームで最も成功を収めたのが、クリス・ホジェッツ氏。1986年シーズンでは9戦中8勝を果たし、グループCのクラス優勝を獲得している。プジョー205 GTiに、ブランズハッチで勝利を1度譲っただけだった。
その頃、グループAやグループBで戦っていたマシンは、フォード・シエラ RSコスワースやフォード・エスコート RSターボなど。そんな強敵と比べても、クラス内での最終的なポイント・ランキングで勝るほどの強さだった。
1987年からは、英国ツーリングカー・チャンピオンシップへレースが一新。グループ規定も見直された。カローラ・レビンはそこでも強さを発揮。同クラスのグループDを圧倒しただけでなく、グループBのアルファ・ロメオ75 ターボなどとも渡り合った。
そんなモータースポーツでの活躍とは裏腹に、欧州ではカローラ・レビンやスプリンター・トレノは注目度が低いままだった。トヨタMR2や日産スカイラインなどと比べて、馬力の数字が小さかったためだろう。
しかし、日本のポップカルチャーが波及し、近年はカルト的な支持を集め始めている。その引き金となったのが、ドリフト。1980年代にクルマ好きの若者の間で広まり、ベストタイミングで登場したFRのレビンやトレノは、絶好の選択肢になった。
しげの秀一氏が描いた漫画「イニシャルD」では、豆腐店の少年、藤原拓海が乗るスプリンター・トレノ GTアペックスが登場。群馬県の峠を舞台にしたドリフトバトルは映画にもなり、世界中へ広まった。
大人を吸い寄せ、想像以上に上昇した価値
ホワイトとブラックのツートーンに塗られたトヨタの小さなクーペは、アメリカを発端にスター級の扱いを受けるようになった。加えて、ビデオゲームのグランツーリスモが、その人気を確実なものにしたといっていい。
そんなAE86型のレビンやトレノは、夜のロンドンでも注目度が高いらしい。中心部に停めて短時間撮影していただけでも、何人もの若者が磁石へ吸い寄せられるように集まってきた。
1990年代前後の日本車には、世代を超えて関心が寄せられている。DMCデロリアンだと勘違いした人もいたけれど。実際、その価値は想像以上に上昇している。もはや、簡単に乗れる中古車ではなくなった。
最近では、5万ポンド(約800万円)前後でAE86型のレビンやトレノがオークションに出品されているという。その加熱ぶりを、浮き彫りにする金額だといえる。
夜の街を、ツートーンのカローラ・レビンでドライブする。なんと楽しい時間だろう。湾岸エリアやミッドナイトといった言葉がピッタリだ。しかし現在のロンドン中心部は、熱心に運転できるような環境にはない。通りが静まり返っているわけでもない。
COVID-19が流行していても、ロンドンは眠らない。ロードスイーパーが路肩を掃除し、ウーバーのドライバーが路地を行き交う。東の空が明るくなる頃には、早めに出勤したビジネスマンが歩き始める。
カーブが続く道で理解することの喜び
フォトグラファーと一緒に、カローラ・レビンで南部を目指す。テムズ川を渡りケニントンを抜け、クロイドンへ近づくほど、街灯の数が少なくなる。20kmも走れば、建物より木々が目立ちはじめる。霧が濃くなり、ヘッドライトの光が周囲に溶ける。
ここから先は、地形へ合わせるように道が曲線を描く。1987年式のカローラ・レビンを、思い切り運転することが許される。緩く長く伸びるカーブの先に、気持ちの良いストレートが待っている。
AE86が本当に輝くのは、やはりこの場所だ。群馬県の峠道と同じように、クルマのすべてを開放できる。漫画やゲームという世界の広がりは、リアルがあってこそだと思う。
タコメーターの針を跳ね上げ、暗く沈んだ森の中へ滑り込む。AE86型のトヨタ・カローラ・レビンを本当に理解することの喜びを、全身で味わいながら。
協力:英国トヨタ
トヨタ・カローラ・レビン(AE86/1983~1987年/英国仕様)のスペック
英国価格:6995ポンド(1983年時)/5万ポンド(約800万円)以下(現在)
販売台数:2717台(英国内)
全長:4210mm
全幅:1630mm
全高:1340mm
最高速度:196km/h
0-97km/h加速:8.3秒
燃費:13.0km/L
CO2排出量:−
車両重量:970kg
パワートレイン:直列4気筒1587cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:125ps/6600rpm
最大トルク:14.7kg-m/5200rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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みんなのコメント
この車に乗っててコテコテに声かけられたら逃げまくるわな