白熱するサインツJr.獲得レース、ウイリアムズは“本命”を自負「アウディやアルピーヌを断りづらいのも分かるが……オッズ的には我々が有利」

　今季限りでのフェラーリ離脱が早々に確定しながら、未だ来季の所属チームが決まっていないカルロス・サインツJr.。複数チームが獲得に名乗りをあげている状況だが、ウイリアムズからは獲得に自信をのぞかせるようなコメントも聞こえてきた。

　ウイリアムズは来季に向けてアレクサンダー・アルボンのチームメイトが決まっていない状況だが、そこにサインツJr.を迎え入れたいという意思を公言してはばからない。しかしながらサインツJr.は、ウイリアムズ以外にもザウバー／アウディ、そしてアルピーヌといった選択肢も検討している。

　ここ数週間、サインツJr.の将来に関する進展は表向きにはほとんどなかったように見えるが、ウイリアムズのチーム代表であるジェームス・ボウルズはベルギーGPを前に、チームとして獲得の見通しが高まっているように感じると述べた。

　アルピーヌやアウディを抑えてサインツJr.を獲得できる可能性はどのくらいあるのかと尋ねられたボウルズは自信があると口にした。

「100％中、50％以上だ。どうだい？」

「どのくらい自信があるかということだろう？　オッズ的には我々が有利だと思う。ただ今年既に痛い目に遭っているから、様子見だね」

　ボウルズ代表は以前から、チームが夏休みのファクトリー閉鎖期間に入るまでに2025年のドライバーラインアップを確定させないと明言していた。したがって、あと1週間ほどでドライバーが発表される可能性もある。

　実際、シャットダウン期間までに事態は収拾すると考えているかと問われたボウルズは、次のように語った。

「今のところはイエスだ。サマーブレイクに入る前にも話したと思うが、私の中では一定の線引きがあって、それまでに、とは思っている」

　トップチームの一角であるフェラーリで4シーズン過ごしてきたサインツJr.にとって、次の所属先選びは今後のキャリアを左右する重要なものとなる。そのため彼は後で後悔するような決断をしたくないと考えており、決断を急ぎたくないとしている。

　しかしその姿勢は一方で、彼を獲得したいチームにとってはストレスとなっていると言えるが、ボウルズはサインツJr.の思考は十分に理解できると語った。

「彼と私が夜遅くまで交わした会話は興味深い」

「世界最大級のOEM企業（アウディ）が彼に目をつけているんだ。断るのは難しいだろう。しかもその企業は彼の父親と共に優勝している。さらに彼が（選択肢として）持っているチームの中には、これまで我々を確実に圧倒してきたようなチーム（アルピーヌ）もある。それもまた、断りづらいだろう」

「そういう見方もできる。ただ、彼が私に言ったことでとても共感したことがある。『僕が決断をする上でこういう姿勢なのは、100％全身全霊で打ち込みたいからだ。そうするためには一切の疑念を持っちゃいけないんだ』ということだ。だから彼は時間をかけているんだ」

　またボウルズは、ザウバーのバルテリ・ボッタスも強力な選択肢だとしつつも、サインツJr.が最有力候補であることに変わりはないとした。

　ボッタスやアンドレア・キミ・アントネッリも候補なのかと尋ねられたボウルズはこう答えた。
「私はチームの中で卓越したものを求めている」

「レースに勝てるようなパフォーマンスを求めている。そしてリーダーとなる個人を求めている。言い換えれば、名声のあるドライバーが欲しいんだ」

「そしてその中でリストのトップにいるのは、これまでにも言ってきたように、そして今でも変わらず、カルロスだ」

「彼は困難な中でも、恐ろしく知的な戦い方で、ランド（ノリス／マクラーレン）やシャルル（ルクレール／フェラーリ）といった素晴らしいドライバーを倒してレースに勝った。今回の予選が良くなかったことは知っているが、Q1とQ2を見ると卓越性が見てとれる」

「これまでにも言ったことがあるし、これからも言い続けるが、私の心はそこにあるし、その行く末がどうなるか楽しみだ」

　またベルギーGPの前には、ウイリアムズがサインツJr.に対して提示したオファーには彼がレッドブルやメルセデスのシートを得られることになった場合に備えた契約解除条項が含まれているという報道もあった。しかしボウルズはこれについて否定した。

「我々が話している内容を知っている者は、世界でも本当に限られた人間だけだ。チーム内に関しても同じことが言える。だから、モーターホームの外にいるジャーナリストの中には絶対にいない」