マイナーチェンジを受けたBMWの新しい「X5」のPHEV(プラグイン・ハイブリッド)モデルを、小川フミオがテストドライブ。BMWの名にふさわしい最新SUVに迫る!
失望させない出来映え
ナリはSUVでも走りはスポーツカー並み……そんなクルマに乗りたいという欲張りなオーナーは少なくないかも。では、試乗を勧めたいのが、BMWの新しいX5 xDrive50e Mスポーツだ。走りも楽しめる万能型SUVである。
2023年4月に日本導入が発表され、夏にデリバリーが始まったばかりのX5 xDrive50e Mスポーツは、1000万円超。プレミアムミドルというセグメントに位置する。
X5 xDrive50e Mスポーツはしっかりキャラクターの立ったモデルだった。なにしろ3.0リッター直列6気筒ガソリンエンジンに、モーターを組み合わせたパワフルなプラグイン・ハイブリッド車だからだ。
全長4935mm、ホイールベース2975mmの車体を、システム合計360kW(489ps)の最高出力と、700Nmの最大トルクのドライブトレインと組み合わせたAWDシステムで駆動する。
いっぽう、外部充電式のプラグイン・ハイブリッドなので、リチウムイオンバッテリーの容量は29.5kWh。一充電あたりの 航続距離は約100kmとメーカーでは発表している。
シャシーには「オートマチックセルフレベリングコントロール付きアダプティブ2 アクスル・エアサスペンション」が標準装備。これによって、速い、操縦安定性が高い、そして気持ちよい、と万能選手なのだ。
実際に、静止からアクセルペダルを踏み込んでいったときの発進加速のよさは、全長5mにならんとするサイズのSUVとは思えないほど。中間加速といって、高速道路での合流時などの加速のよさも、驚くばかり。
よくよく考えれば、230kWと450Nmの性能を発揮する、BMW伝家の宝刀ストレートシックス(直列6気筒のこと)を搭載し、そこにモーターのアシストが加わるのだから、速いのも当然。それだけでなく、加速が伸びていくときのトルクがどんどん積み増されている感覚といい、エンジンがまわったときのフィールといい、細かな設定は見事だ。
加速感のためにBMWを選ぶというファンはけっして少なくないだろう。そのひとたちを失望させない出来映えだ。
ステアリングフィールはやや重めの設定で、同時に、路面からのインフォメーションがしっかり入ってくる。くどいようだけれど、SUVというよりスポーツカーといいたいキャラクターだ。
東京の首都高では、フロント275/35、リヤ315/30の22インチ径ホイールと組み合わせた巨大なタイヤが、継ぎ目を越えるときに存在を主張する。ここまでのタイヤは、アウトバーンの速度無制限区間では頼りになりそうでも、日本ならば、もうすこし小さめのホイールと組み合わせて扁平率を上げ、幅も狭めにしたタイヤでも良いかもしれない。
スポーツSUV開発の手を休めない外観は、ブラックアウトした大きなエアダム、巨大なキドニーグリル、パンと張った力強さを感じさせるボディと相まって、この大きなタイヤが、Mスポーツとしての存在感を強調している。
ヘッドランプは、「BMW モデルとして初めて採用」(プレスリリース)という矢印型デイライト機能を有した LEDライトを採用。よく見るとグラフィック的にもおもしろい。新しさがしっかりある。
BEV(ピュアEV)のブランド「i(アイ)」を展開するいっぽう、超がつく運動性能を有するクルマを開発する「M」でも、力を抜いていない。
X5 xDrive50e Mスポーツでは前輪の後ろに、「M」と「(electrified by)i」、ふたつのロゴが並んで装着されている。このふたつが共存するのが、ICE(エンジン車)からBEVへと移行する、いまという時代の象徴なんだろう。
X5 xDrive50e Mスポーツでは、乗った印象では、Mとiをうまく使って、エンジンを楽しませるスポーティカーのメーカーとしてのBMWの存在感をしっかり出している。
内装は、落ち着いていて、質感が高い。現行「7シリーズ」のように、ひとを驚かせるデザイン要素はない。ダッシュボードは、大きな横長の液晶モニター、エアコン吹き出し口、そしてエアコンコントローラー、それぞれが階層で分けられていて、現代建築のように積み重ねられている印象だ。
私が乗ったクルマはメリノレザーを使ったパッケージオプション装着で、本革の可否はともかく、デザイン的にはすっきりしつつ、官能性も感じられ、見た目の印象はとてもよい。
ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能、アクティブ・クルーズコントロール(ストップ&ゴ ー機能付)、ステアリング&レーンコントロールアシスト、レーンチェンジアシストなど走行支援システムは多い。安全支援システムとしては、サイドコリジョン・プロテクションおよび衝突回避・被害軽減ブレーキ(事故回避ステアリングシステム付)、クロストラフィック・ウォーニング、ペダル踏み間違い急発進抑制機能が標準装備。
インテリジェントシステム開発にいち早く取り組んできたBMWだけあって、音声会話だけで車両の操作、情報へのアクセスが可能となる「インテリジェントパーソナルアシスタント」も搭載する。新しいスマートフォン向けアプリ「My BMW」にくわえ「アレクサ」が装備される。このアプリをアレクサと連携させると「自宅さながら」(プレスリリース)さまざまなサービスや機能が利用になるという。
ニュースの確認、音楽ストリーミングの再生、アマゾンでのショッピング、対応するスマートホームデバイスの操作といったものである。ショッピング……する人いるのだろうか。アウトバーンを500km先の目的地まで一心不乱に走っているときなら、便利かもしれない。
というわけで、クルマとしては充分楽しく、同時に便利で安心というのが、X5 xDrive50e Mスポーツの特徴。BEV時代をついそこに見ながら、スポーツSUV開発の手を休めない。そこがスゴイ。
文・小川フミオ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
今X4乗ってますが、X4でもデカい
仮にお金があっても、日本では接触事故とか怖くて買えない