10月4~6日に、ドイツのホッケンハイムで開催されるDTMドイツ・ツーリングカー選手権第9戦。このレースには車両規定統一化を進めるスーパーGT GT500クラスの3台のマシンがゲスト参戦するが、TEAM TOM'SのレクサスLC500、NISMOのニッサンGT-RニスモGT500とともに、TEAM KUNIMITSUのホンダNSX-GTを駆りジェンソン・バトンが参戦する。DTMは公式ホームページ上にバトンの独占インタビューを掲載し、元F1ワールドチャンピオンの参戦を歓迎した。
3台5名のGT500マシン&ドライバーがDTMのレギュラーマシンたちと戦うホッケンハイム戦。もちろんGT500ドライバーたちは全員がチャンピオン経験者で、日本のファンにとっては注目の存在だが、やはりヨーロッパでの知名度が最も高いのは、F1王者経験者のバトンだ。DTM公式サイトは、最終戦ホッケンハイムに向けてバトンの独占インタビューを掲載している。以下はその要約だ。
スーパーGT:TEAM KUNIMITSU、DTM最終戦でバトン操るホンダNSX-GTの特別カラーを公開
■ホッケンハイムに戻ることができて嬉しく思う
──6つのマニュファクチャラーが争うスーパーGT×DTMのコンセプトについてどう考えますか?
ジェンソン・バトン(以下JB):素晴らしいと思うよ。僕はこの2年間日本でスーパーGTを戦ってきたけれど、正直に言って、日本で過ごす1分1秒のすべてを楽しんでいるんだ。レースは素晴らしいよ。GTカーやスポーツカーのレースは、シングルシーターに比べて必死さが感じられないと思うかもしれないけれど、そんなことを思う人たちには、まったくそんなことがないと伝えたいね。より接触もあるし、凄まじいトラフィックがある。特にスーパーGTではね。毎周全力でプッシュしなきゃならないんだ。
スーパーGTがDTMとジョイントするというアイデアは素晴らしいと思うよ。とはいえ調整する部分が多く、さらに微調整していくのは本当に大変だ。すぐには正しい方向にいかないと認識しなければならないし、辛抱強く仕事を進めていかなければならない。
でも我々にとって、新たなフィールドに行き、そしてまたヨーロッパに戻ることはとてもエキサイティングなことだ。そしてアウディ、BMWといったDTM勢に対抗する大きなチャンスなんだよ。これはスーパーGTにとっても大きなことだし、魅力的なものになるだろうね。
また、実際にレースがどうなるか分からないというのも魅力だろうね。スーパーGTの方が速いだろうか? 我々はハンコックタイヤに苦戦するだろうか? どうなるだろうね。レースが待ちきれないよ!
──ひさびさにドイツでレースを戦うことになりますが、いかがですか?
JB:僕は古いホッケンハイムを知っている年齢だからね。あの頃のことは忘れないよ。とてつもなく長い、森の中のストレートでフラットアウトにしていき、V10サウンドがうしろでこだましていくんだ。
とは言っても、僕は新しいホッケンハイムもとても楽しんでいたんだ。ここではいくつもの思い出深いレースがあるからね。僕は2004年のドイツGPで、エンジン交換があったにも関わらず表彰台に乗ることができたんだ(BAR006・ホンダ)。このときはヘルメットのヒモが緩んでしまい格闘したけれどね。それに、2012年にはセブ(セバスチャン・ベッテル)と素晴らしいレースを戦えた。本当にエンジョイすることができたんだ。レースは2位だったけど、その年のクルマは素晴らしかったよ(マクラーレンMP4-27・メルセデス)。
僕たちはクラシックな森の中での走りはできなくなったけれど、新しくデザインされたサーキットで素晴らしいレースができている。1コーナーはすごく速く楽しい。それにヘアピンの後のコースは素晴らしいよ。クルマをいいポジションに置くことが大事で、攻めていようが守っていようが、コースを武器にできるんだ。レースをするにはとてもいいコースで、戻れることができて嬉しいよ。
──DTMドライバーは誰かご存知ですか?
JB:ポール(ディ・レスタ)は知っているよ。もちろんF1で一緒にレースをしたし、モナコに住んでいて良く会っているからね。トレーニングも一緒にしていたし、彼はサイクリストでもあるからモンテカルロからイタリアのベンティミーリアまで走って、コーヒーを飲みに行くのを定期的にやっていたよ。それにスカイのF1中継でも仕事を共有しているので、まだまだ付き合いはあるね。一緒にレースをするのは2018年のル・マン24時間以来かな。
それから、ティモ(グロック)は一緒にF1で戦っていたし、ジェイミー・グリーンもカートの頃から知っているよ。
僕は他にも多くのDTMドライバーと会えることを楽しみにしているんだ。覚えている限り彼らはとてもプロフェッショナルだし、高い水準がある。ミカ・ハッキネンやデイビッド・クルサードが参戦したときもひと筋縄ではいかなかったくらいだからね。
スーパーGTを戦うことを通じて、これらのシリーズのレベルが非常に高いことを知っているんだ。とても印象的だよ。今年DTMチャンピオンを獲ったばかりのレネ・ラストについては、ゲルハルト(ベルガー)もケケ(ロズベルグ)も高く評価していた。だからDTMの世界に身を投じて、より深く知りたいと思っているよ。
■スーパーGTやDTMの人気がもっと高まれば
──あなたはカーナンバー1をつけて戦います。どんな意味をもつでしょうか?
JB:いろんな意味があるだろうけれど、その番号がもつ意味は知っているつもりだよ。ただ僕がカーナンバー1になるのは最近まで知らなかったので、とてもクールだと感じたよ!
もちろん、誰でもレースでは勝ちたいと思うだろう。僕たちはスーパーGTでは、その目標を少しだけ達成することができたんだけど、正直に言うと、僕はホッケンハイムでそこまで勝利にこだわっていくつもりはないんだ。数年ここではレースをしていないし、ヨーロッパのトラックに戻って、懐かしい顔に会いに行くけど、あまり多くの期待はもっていないんだ。
できればホッケンハイムでなるべくいいデータを持ち帰り、DTMの雰囲気を楽しんで、11月に富士で行われるレースのときに楽しい時間を過ごせるようにしたいね。ふたつのシリーズが規定を合わせていく大変さは知っているので、実際こうして行われるイベントを楽しむつもりだ。
──スーパーGTに参戦し、WECでもレースをしましたが、あなたは今後どういったレースを続けていくのでしょうか。
JB:僕はF1に参戦していた頃からラリークロスで戦いたいと言っていたよね。僕の父がやっていたし、とても楽しそうに見えたからだ。でもまだそれはまだ実現できていないね! もちろんオフロードのレースやイベントにアメリカで参加したけれど、今後本格的にやりたいとも思っている。
今はホンダにいい機会をもらってスーパーGTに参戦している。とても魅力的なものに見えたからだ。F1のようにつらいスケジュールでもないし、クルマが素晴らしい。
もちろんF1の影はいつも存在するけれど、スーパーGTやWEC、そしてDTMのようなシリーズが高い関心をもつ余地があると確信しているよ。ファンはハイスピードでパワフルなマシンを観たいと思っていて、ドライバー、スポンサーを惹きつけるものだと思う。これらのシリーズが、国際舞台でもっと人気が高まることを期待しているんだ。
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