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メルセデスが生んだバブルの申し子!! 忘れじのSクラスW140の思い出

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メルセデスが生んだバブルの申し子!! 忘れじのSクラスW140の思い出

 1991年から1998年まで製造された3代目メルセデス・ベンツSクラスのW140は、開発時期がバブル経済の真っ最中であり、先代を超える名車として登場した。

 このW140型を過去に3台も所有した岡本幸一郎氏に、その思い出と各モデルの感想を聞いた!

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文・写真/岡本幸一郎

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■筆者のクルマ遍歴に燦然と輝くW140

岡本幸一郎氏の所有したW140は、3台とも「5160」=コーイチローの希望ナンバーを取得しとのこと

 これまでの25台におよぶ車歴の中で、3台乗り継ぐほど気に入ったクルマが2台あった。1台はFD3S型RX-7、もう1台がW140型(3代目)メルセデス・ベンツSクラスという、両極端な2台だ。

 基本的に「わかりやすい」ものが好きな筆者は、「本物のピュアスポーツ」と「世界最高の乗用車」を所有していると自負していた。

 そんなW140はちょうど筆者が大学を卒業して社会人になってほどなく、1991年の秋頃に日本に上陸したと記憶しているが、初めて路上で目にしたときのインパクトたるや、いまでも鮮明に覚えているほどだ。

 バブルを象徴的存在だったW126(2代目Sクラス)をさらに大きくした堂々たるボディサイズに、それをより大きく見せるような荘厳なプロポーションや、クラシカルなW126から一変したモダンな造形は衝撃的だった。

 有名人だけなく、このわかりやすい雰囲気がウケて、無謀なローンを組んで購入する若者も少なからずいたようで、立ち行かなくなって中古車が市場に流れるケースが比較的早くから多く見られたことも思い出す。

 そんなW140は大別して前期型、中期型、後期型に分けられ、それぞれ大なり小なり仕様が異なる。筆者の所有した個体は、まさしくその3つで、すべて業者を含め直接の知人から譲り受けたものだ。

 もうずいぶん前のことなのでだいぶ記憶が曖昧になっているのだが、トラブルの多さでも話題となったW140ゆえ、それなりにいろいろなことはあった。ただし、幸い前オーナーが手をかけてくれていたおかげで、筆者はそれほど大変な目にはあっていない。

■メンテナンス費用は高い? 安い?

ウインドウが落ちて上がらなくなったことも。重い二重ガラスを採用したW140特有の持病のひとつだが、『W140特有の』アクシデントを味わったことがなぜか嬉しかったりもする

 1台目の1992年式の「300SE」について、筆者の手元に来る前に何があったか前オーナーに今回あらためて確認したところ、走行距離が10万kmあたりでATが2速から変速しなくなった。さらに同じ頃にアイドリングが不安定になった。

 そこで、ATのオーバーホールと、エンジンまわりのハーネス交換を行ったところ、完璧に直ったそうだ。

 加えて、高速巡行時にステアリングに振動が出るようになったのだが、それはおそらくブレーキをパッドのみ交換して、ローターを交換しなかったせいの可能性が高い。

 あとは細かいところでは、テールランプの球切れが何度か。それでも、「300SE」ということもあり、電子制御まみれではなかったことが幸いして、それなりに音や臭いや振動には敏感だったが、つまらないトラブルは少なかったのでは、と前オーナー氏は考えているという。

 ところが最後は大物のエアコンが壊れ、コンプレッサーが不動になったところで筆者の元へ。筆者の行きつけの工場で、その修理とブレーキローターの面研等を行なったように記憶している

 前オーナー氏の教訓は、こうしたクルマは10万km走ると、やはり100万円程度の修理が必要になるということ。

 それでも、もとが1000万円級のクルマを約200万円で購入して、4年ほど乗って修理に100万円ぐらい。これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれだろうが、メルセデスのフラッグシップでこれなら悪くないように思う。

 あとは、お盆に帰省した最中にリアドアのガラスウインドウが落ちて上がらなくなった。これは重い二重ガラスを採用したW140特有の持病のひとつ。お盆なので修理にも行けず。暑い中、ビニールでしのいだことを思い出す。

 2台目は1994年式の中期型の「S320」だ。これも知人から譲り受けたものだが、1台目以上に前オーナーが手間をかけてメンテナンスしていた個体だったおかげで、走行距離が8万kmを超えてATがだいぶくたびれている感があった以外は、あまり目立ったトラブルは筆者が所有している間は起こらなかった。

 ところが、そのうちATをなんとかすべきかと考えていた矢先、家族が運転時にもらい事故で全損となってしまった。気にいっていたのに、惜しいことをしたものだ。

■手をかけるほど良くなった珠玉のV12フィール

様々なケミカルを試した結果、エンジンは乗れば乗るほどレスポンスがよくなり吹け上がりが軽くなっていった

 そんなこともあって、しばらくW140が手元にない日々を送っていたのだが、ある日、知人の販売業者が乗って現れた、ロリンザーのフルエアロをまとう1997年式の「S600L」に一目ボレ!

 欲しくてしょうがなくなり、交渉して譲ってもらうことになった。V8を通り越して、一気に6.0リッターV12だ。これを2018年夏まで約12年にわたって愛車としていた。

 実のところ購入時にはエンジンフィールが重く、乗り心地もドタバタで、W140の現役当時に広報車に乗ったときの印象とはだいぶ違っていたのだが、業者のアドバイスでフロントのサスペンションブッシュを新品に交換したところ、見違えるほど乗り心地がよくなって驚いた。

 さらにエンジンについても、1気筒が死んで「V11」になっていたことが判明したのだが、「BARDAHL」というブランドの、たしか「リングイーズ」というケミカルがよいと教わり、その他も含めいろいろフルに注入してどんな変化があるのか試してみた。

 すると、乗れば乗るほどレスポンスがよくなり吹け上がりが軽くなっていき、なんとダメだった1気筒も自然治癒してちゃんとV12になっていることも調べてわかった。メルセデスが誇るあの珠玉のV12のフィーリングが見事に復活したのだ。これも機会があればあらためてレポートしよう。

 W140のV12というだけで、トラブルが頻発した初期モノの悪名高きイメージが強いのだが、売り主の業者さんが、「後期型はそれほど壊れない」と言っていたとおり、筆者も長いこと所有していたが、定番トラブルポイントであるエアコンもすでに修理済みだったおかげで、筆者が乗っていた間は問題なし。

 従来の機械式から後期型では電子制御となったATも、13万kmたらず走ってもぜんぜん問題なかった。

 細かいことでは冷却水漏れもあれば、ドアミラーを動かすとヒューズが切れるという症状が出て、調べると配線の被覆がモロくてショートしていた、なんていうこともあったが、生産から20年近くが経ったクルマとしては上々だったように思う。

 W140が現役だったのは1992年から1998年までと、実はあまり長くなく、以降のSクラスはガラリと雰囲気が変わったのもご存知のとおり。

 最近、W140の中古車の相場が上がってきているのも、そのあたりの価値が見直されているからに違いなく、Sクラスの歴史の中でもとりわけ異彩を放つモデルとして、今後も語り継がれていくことと思う。

 筆者も最後に所有したS600Lは一生乗るつもりで購入したものの、事情により手離してしまったわけだが、なんとかして持っているべきだったかなと今でも思うことしきりである……。

『威圧感』になる一歩手前の『威風堂々』がW140の大きな魅力だ

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みんなのコメント

8件
  • セダンではないが、お袋が560SECの後に最終型のCL600を買って乗っていた。(丁度セダンが220に代わり、クーペがまだ出ておらず、最終型を少しお得にヤナセから買っていたと記憶している)
    自分も当時大学生になっており、免許を持っていたので、560も600も運転する機会はあったが、走って楽しいのは560の方だった。w140はやたら幅がでかく、静かで快適だが車重も重く、踏み込めば速いが、あまり運転して面白い車ではなかったし、スタイルも嫌いだった。(特にあの昆虫みたいなライト)
    しかしボディの重厚感やダッシュボードの作り等、W220以降のメルセデスで見えるコストダウンは一切見えない、最後のメルセデスらしい、メルセデスだったと思う。うちで買った最後のメルセデスだったなあ。
    あの重々しいメルセデスの世界はもう味わうことができない。ある意味名車だったとおもう。
  • バブル期にーはSクラスは絶対視されていて、W126型では東京じゃあ女子大生やOLさんだって、「ゴーロクマルSEL」とか「Sクラスのアーマーゲー」とか日常会話に出ていたくらいだから、W140の醜態を見たときには日本人全員が思考停止に陥った。
    何しろ、裸の王様と同じで、当時ベンツのSクラス様をdisれる日本人なんていなかったから、、ww
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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