ちょうどいいスポーツ、フィットにRSが復活
フィットにRSが帰ってきた。見た瞬間に「ボーイズレーサー」復活、とうれしくなった。ロードセーリングを意味するRSは初代シビックのスポーツ版から継承する伝統の記号である。
ホンダはシビックに最強のタイプRが誕生したばかり。だが、タイプRはサイズもクラスも価格も「お手ごろ」とは言い難い。旧型のフィットRSはモータースポーツ全般を含め、スポーツコンパクトハッチとしてちょうどいい設定だった。新型も同様。人気が再燃しそうである。
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フィットそのもののマイナーチェンジを機に追加されたRSは、期待どおりスポーティな印象。RS専用グリルとヘッドライトリングをブラックアウトした鋭い目つき。そして専用バンパーによる引き締まったマスクが目を引く。
エアロ処理も洗練された。RS専用のサイドシルガーニッシュと、リアバンパー一体の大型スカート、大型ルーフスポイラーが空気の流れをコントロール。効果的な冷却を計算しながら、空気抵抗の低減を目指した。
足元もスペシャルだ。放熱効果の高い16インチアルミにグリップ力に優れたヨコハマブルーアースGTを装着。サスペンションは標準比でフロントのバネレートを下げ、リアは逆に上げ、同時にダンパー減衰力を変更。フロントスタビライザーは捻り剛性を4%ほどハードにした。バネ/ダンパーのリファインは、前後のロール姿勢を標準車よりも自然にして操縦性と乗り味に貢献する。
パワーユニットにも工夫がある。RSの走行モードはECON/ノーマルに加えスポーツを用意。アクセル操作に対する応答性をより早めた。
ドライブすると、スポーティモデルらしく軽快でダイレクト。e:HEVシステムは、駆動用モーターの最大出力を従来比13psアップの123psにして加速性が向上。エンジンのレブリミットは300rpm高い6300rpmに引き上げている。制御としては、アクセル開度よりも駆動力を早めに立ち上げる設定。エンジンが発電する回転よりも速い加速は、鈍さや空転感を感じさせない。
ゼロスタートや旋回からの加速では、瞬時に立ち上がるモータートルクが強力に前へ前へと引っ張る。これは駆動モーター出力のパワフル化だけでなく、発電機(エンジン)の出力を98psから106psにして発電用モーターを70kWから78kWに出力アップしたこと、アクセルに関する緻密な制御の相乗効果だ。ステアリングの減速パドル制御も改良され、クリックごとにワンペダルに近い減速Gを強める。RSはドライビングのリズムが作りやすい。
旧型と異なりMTはないが、ドライバーを心地よくする演出は十分。モーターとほぼ発電機に徹するエンジンの協調制御により、あたかもATが変速するかのようなシフトアップ感を演出してくれる。次代に最適なスポーツ性、e:HEVの新たな可能性を体感した。
フィットRS主要諸元
グレード=e:HEV・RS
価格=234万6300円
全長×全幅×全高=4080×1695×1540mm
ホイールベース=2530mm
トレッド=フロント:1485/リア:1475mm
車重=1180kg
エンジン=1496cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=78kW(106ps)/6000~6400rpm
最大トルク=127Nm(18.6kgm)/4500~5000rpm
モーター最高出力=90kW(123ps)/3500-8000rpm
モーター最大トルク=253Nm(32.1kgm)/0-3000rpm
WLTCモード燃費=27.2km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=20.6/31.8/27.0km/リッター)
サスペンション=前ストラット/後トーションビーム
ブレーキ=前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ&ホイール=185/55R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=4.9m
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