■アルファードなぜ一人勝ち? 兄弟車やライバルに勝る要因とは
ミニバン市場において、2020年の販売台数で首位となったトヨタ「アルファード」。エントリーモデルが350万円以上することから高級ミニバンともいわれています。
しかし、日本のミニバン市場には100万円台から設定されるモデルも存在するなかで、なぜアルファードは兄弟車「ヴェルファイア」や日産「エルグランド」、ホンダ「オデッセイ」に大差を付ける形で飛躍したのでしょうか。
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日本自動車販売協会連合会が発表する登録車販売台数では、アルファードは2020年に9万748台(前年比132.1%)を記録して、全体5位にランクイン。
アルファード以降では、7位ホンダ「フリード」の7万6283台(89.1%)、8位トヨタ「シエンタ」の7万2689台(65.6%)とコンパクトミニバンが続きます。
そして、全体20位まででは10位トヨタ「ヴォクシー」の6万9517台(79%)、11位日産「セレナ」の6万8648台(73.8%)、16位トヨタ「ノア」の4万5434台(86.2%)、20位ホンダ「ステップワゴン」の3万4441台(65.4%)となっています。
一方で、兄弟車として知られる「ヴェルファイア」は、もともとはアルファードよりも販売台数では上位を誇っていましたが、現在ではその関係が逆転しています。
現行となる3代目アルファード/ヴェルファイアは2015年1月に登場。同年の年間販売台数は、アルファードが19位(4万4366台)、ヴェルファイアが15位(5万4180台)という結果です。
翌2016年の販売台数でも、アルファードは24位(3万7069台)、ヴェルファイアが17位(4万8982台)という記録でした。
しかし、2017年にはアルファードが25位(4万2281台)、ヴェルファイアが23位(4万6399台)とその差が縮まり始めます。
そして2018年にはアルファードが15位(5万8806台)、ヴェルファイアが25位(4万3130台)と大幅に逆転する形となったのです。
その後、2019年はアルファードが13位(6万8705台)、ヴェルファイアが23位(3万6649台)とその差が広がり、前述の2020年ではアルファードが5位(9万748台)に対して、ヴェルファイアが37位(1万8004台)と、兄弟車とは思えないほどの大差となりました。
ここまでアルファードが好調となったのは、どんな理由があるからなのでしょうか。
まず2017年12月に実施されたマイナーチェンジによって、アルファード/ヴェルファイアの差が縮まります。
このマイナーチェンジでは、両車ともクルマの印象を決めるフロントデザインを刷新。アルファードは、従来のスタイリングを継承しつつも、フロントバンパーやフロントグリル、リヤコンビネーションランプの形状が変更されているほか、フロントメッシュグリルも縦方向に強調されました。
フロントメッシュグリルの面積も以前はナンバープレート上部までであったものが、ナンバープレート中央まで拡大して迫力が増したことで、昨今の「オラオラ顔」といわれることになったのです。
さらに、2020年に大きく差がついた要因として、2020年5月1日から全国のトヨタ系販売店で全車種の併売化が開始されたことにより、前述のようにブランド化やそれによるリセールバリューの高さなどにより、アルファードを選ぶユーザーが増加したことが挙げられます。
アルファードの好調ぶりについて、トヨタの販売店(ネッツ店)の営業担当は以下ように話します。
「売れている理由については、やはり『アルファード』というブランドによるところもあるでしょう。
ヴェルファイアよりも歴史が古く、トヨタの高級ミニバンとして、とくに年齢層が高いお客さまから支持を得ています。
マイナーチェンジ部分に関しては、フロントフェイスが変更になった頃から『顔が好み』という声を頂くことが増えました。
マイナーチェンジ前とイメージをがらりと変わったアルファードのほうがヴェルファイアよりも記憶に残りやすいのかもしれません。
さらに2017年のマイナーチェンジではそれまでトヨタの上級安全装備であった『Toyota Safety Sense P』が進化した『Toyota Safety Sense』が搭載されていることの反響も大きいです。
衝突被害軽減ブレーキで車両と昼間の歩行者に加えて、自転車と夜間の歩行者も対象になったことで安心感を得て頂く機会が増えたようです。
もうひとつ、アルファードとヴェルファイアの購入を迷われている人には当店ではアルファードをおすすめしています。
理由はリセールバリューです。販売台数が多い人気車種ほど下取りの価格面で有利になるため、見た目が気に入っていただければアルファードのほうが将来的に得になります」
■一人勝ちのアルファードと低迷するライバルの違いは何?
アルファードが好調なるにつれ、他社の高級ミニバンの販売実績は低迷していきます。
2020年の年間販売台数では、日産「エルグランド」は50位以内に含まれないランク外、ホンダ「オデッセイ」も47位ギリギリのランクインとなっています。
エルグランドは、高級ミニバンというジャンルを初めて開拓したモデルです。
初代は1997年に登場し、路面や走行状態に応じてトルクの配分を任意に設定でき、走破性を発揮するモデルとして注目を集めました。
オデッセイは、アルファード、エルグランドよりもさらに古く1994年10月に初代が登場しています。
ホンダとしては初のワンボックス・ミニバンで、高い剛性を確保できるヒンジドアを採用した「セダン感覚で乗れる室内空間が広いクルマ」を目指して開発されました。
一方のアルファードはエルグランドを追いかける形で2002年に登場しており、2008年のフルモデルチェンジの際にヴェルファイアを追加しています。
そんな後追いだったアルファードがエルグランドやオデッセイと比べて、これほどまでに販売台数に差をつけた理由として、「室内の広さ」が挙げられます。
エルグランドは室内長3025mm×室内幅1580mm×室内高1300mm、オデッセイは室内長2920mm×室内幅1560mm×室内高1325mmなのに対し、アルファードは室内長3210mm×室内幅1590mm×室内高1400mmと、どの寸法を見てもアルファードが上回っています。
シートアレンジに関してもアルファードが1列目から3列目まで繋げることができる一方でエルグランドは2列目までしか繋がりません。
オデッセイに関してはシートを繋げる車中泊を想定したシートアレンジが存在しないため、シートアレンジの多彩さもアルファードに利点があります。
こういった居住性や使い勝手に加えてさまざまな機能性も加えて、前述のブランド化したイメージとリセールバリューの良さによって、高級ミニバンジャンルで一人勝ちとなったのです。
※ ※ ※
2017年までヴェルファイアの後塵を拝していたアルファードが、今や一人勝ちになっているのは2度のマイナーチェンジによるデザインと性能がユーザーのニーズにマッチした結果といえます。
今後はトヨタの車種統合が進められるという話があり、アルファード/ヴェルファイアがアルファードに一本化するのではないか、といわれています。
次期型モデルとしては、2022年にフルモデルチェンジといわれているため、トヨタが誇る高級ミニバンの今後がどうなるのか目が離せません。
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みんなのコメント
満足してる人生より、
新車のアルファード乗って満足してる人生のほうが良いな
上級グレードが来ると安全運転