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W164型メルセデス・ベンツ ML320 ブルーテックは新世代でアドブルー浄化システムを採用【ヒットの法則471】

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W164型メルセデス・ベンツ ML320 ブルーテックは新世代でアドブルー浄化システムを採用【ヒットの法則471】

2008年、メルセデス・ベンツML、R、GLクラスに搭載された新世代ブルーテックが大きな注目を集めた。尿素水溶液を使ったアドブルーインジェクションタイプとなり、全米の排出ガス規制Bin5もクリア。画期的なメカニズムの登場だった。ここではもっとも排出ガス規制の厳しいアメリカ・バーモント州で行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)

アドブルーを排出ガスに噴射してNOxを処理
燃料価格の急激な上昇や環境意識の高まりにより、世界中でいまクリーンなディーゼルモデルに注目が集まっているのはご存知の通り。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

ただ、日米欧の主要マーケットでの排出ガス規制は、その規制数値に大きな違いがある。この統一性のなさが各自動車メーカーにとって頭を悩ます問題となっていた。たとえばヨーロッパでは普通に走っているディーゼルモデルが、日本やアメリカ市場では販売できないものも多い。2006年から北米市場に導入されているE320ブルーテックも、カリフォルニアなど5州では、州の排出ガス規制をクリアできず、販売できないという現実もある。

今回、メルセデス・ベンツが北米マーケットに投入したクリーンディーゼル「ブルーテック」は第2世代と呼ぶべきもので、来年から全米で随時実施予定の排出ガス規制「Tier2Bin5」に適合する世界初のディーゼル乗用車となる。それゆえ、このモデルは50州すべてで販売が可能となる。

厳しいBin5基準をクリアするために、ML/GL/RのSUVモデルに導入された新しい320ブルーテックは、NOx対策としてAdBlueインジェクション方式と呼ばれる技術を採用する。

これはアドブルー(尿素水溶液)を予備浄化済みの高温の排出ガスに噴射してアンモニアを発生させ、それを還元剤として触媒コンバータを通過する際に排出ガス中のNOxを無害な窒素に還元する技術。すでに大型バスやトラックなどディーゼル商用車では一般的だが、乗用車としては世界初だ。

静粛性と低速トルク、まさにグリーンな贅沢
今回、試乗が行われたのは、現在アメリカでもっとも排出ガス規制の厳しい5州のうちのひとつ、バーモント州。さっそくMLに乗り込む。今回のブルーテック搭載を機にフェイスリフトを果たし、よりメリハリの効いたエクステリアを手に入れている。

ハンドル奥、右手側にある大型のスタートボタンを押しエンジンを始動させる。このエンジンはE320CDIなどに搭載される3L V6ディーゼルターボがベースとなるが、ブルーテック化に伴いピストン形状の見直しや圧縮比を従来の17.7から16.5に変更するなどの改良を施している。

アクセルペダルを軽く踏み込む。とにかく低回転からの圧倒的なトルク感と、その静粛性には驚くばかりだ。7Gトロニックの滑らかな変速とエンジンの力強さのコラボは、燃費の良さだとか環境性能の高さを理屈で考えるより前に、積極的にブルーテックを選びたくなる上質感に包まれている。

中高速域で走行中、さらに加速したいといった場面でも、アクセルペダルを踏む右足に少し力を加えるだけでよい。メルセデス・ベンツのエミッションレギュレーションのマネージャーであるミハエル・アングル氏と歓談した際、このブルーテックモデルを「グリーンな贅沢」と評していたが、まさにその言葉がぴたりとくる味わいを持っている。

路面の悪い場所でも適度にいなすゆるさと、ハンドル操作に的確な動きをする応答性のバランスも気持ちがよい。ここはフェイスリフトに伴い、MLクラスが熟成された証だろう。しゃかりきになって攻めるようなシャープさは持ち合わせていないが、余裕あるドライビングというSUVらしい走り味に、より磨きがかけられている。ちなみに今回、一般道を約220km走った際の燃費は26.1MPG(マイルパーガロン/約11.0km/L)だった。

アドブルー(尿素水溶液)の平均消費量は100km走行あたり0.1Lという。荷室スペース下に補給口のあるML320ブルーテックのアドブルータンク容量は28L。つまり1回の補充で2万8000kmもの走行が可能なため、定期メンテナンス以外で補給を気にかける必要はない。また残量が一定レベルを下回った場合は警告灯で知らせてくれるので、アドブルーが空になりNOxが還元されないまま汚い空気をまき散らして走行してしまうという最悪の事態は起きない。

アメリカの厳しいBin5基準に適合したこのモデル、すでに今後ヨーロッパで実施予定の排出ガス規制であるEU6にも対応しているという。明言はなかったが、このことから来年から日本で施行されるポスト新長期規制にも大幅な改良を施すことなく対応可能なのではないかと推測できる。

日本への導入はどうなるのか。前出の通り、このディーゼル技術は商用車ではすでに採用されており、尿素水溶液補充などのインフラは日本でも整っているため、導入の障害はない。

メルセデス・ベンツ日本の正式なコメントはまだないが、早ければ年内にも日本に導入される可能性もある。(文:Motor Magazine編集部)



メルセデス・ベンツ ML320 ブルーテック 主要諸元
●エンジン:V6DOHCディーゼルターボ
●排気量:2987cc
●最高出力:210ps/3400rpm
●最大トルク:540Nm/1600−2400rpm
●ボア×ストローク:83.0×93.0mm
●圧縮比:16.5
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:7速AT(7Gトロニック)
●燃料タンク容量:95L
●AdBlueタンク容量:28L
※欧州仕様

[ アルバム : メルセデス・ベンツ ML320 ブルーテック はオリジナルサイトでご覧ください ]

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1件
  • アンモニアは農業用のリンを作る過程で出来ます。しかし大量エネルギーを使います。リンの科学死期は?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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