現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > VCターボ初搭載「新型エクストレイル」の走りはまず静粛性の高さに舌を巻く!【新型エクストレイル試乗記】

ここから本文です

VCターボ初搭載「新型エクストレイル」の走りはまず静粛性の高さに舌を巻く!【新型エクストレイル試乗記】

掲載 6
VCターボ初搭載「新型エクストレイル」の走りはまず静粛性の高さに舌を巻く!【新型エクストレイル試乗記】

e-4ORCE、VCターボ、すべてを一新したパワートレーン

日産のミドルサイズSUV「エクストレイル」が、4代目へとフルモデルチェンジ。そのプロトタイプモデルに「日産グランドライブ」で試乗することができた。

新型日産エクストレイル(X-TRAIL) 主駆動モーターは新開発 BM46型

新型エクストレイルの目玉は、北米で先んじてインフィニティ「QX50」や日産「ローグ(エクストレイルの北米仕様)」に搭載された「VCターボ」を、e-POWERに組み合わせたことだ。VCターボの“VC”は、“Variable Compression”の略称。

それはコンロッドから延長されたマルチリンクをアクチュエーター制御することで圧縮比を8~14:1まで連続可変できる機構であり、エクストレイルではこれを1.5直列3気筒ターボ(106kW/230Nm)に組み合わせて、モーターへの電力を発電する。

全長4660mm、全幅1840mm、全高1720mm。旧型モデルと比較すると3サイズに大きな変化はないのだが、骨格の強さを感じさせるデザインゆえか、実際には寸法以上に堂々と大きく見える。エクストレイルのラインナップにはFFと4WDがあり、今回試乗したのは後者。FFはフロントに150kW/330Nmのモーターを搭載し、4WDではさらに後輪を100kW/195Nmのモーターで駆動する。また外観を小変更して、20インチタイヤを履かせた「オーテック」仕様(4WD)も試すことができた。

与えられた走行時間は、各15分。定められた速度に準じて走ると、テストコース2周ほどとなる短い走行だったが、そのなかで最も印象に残ったのは、新型e-POWERの静粛性の高さだった。もちろんここに大きく貢献していたのが、1.5VCターボの制御だ。

今回の大きな目玉のひとつが、新搭載の「VCターボ」エンジン。e-POWERを構成するエンジンが、これまでのノート、セレナの1.2Lから、圧縮比連続可変式の1.5Lターボへと大幅にパワーアップしている。このエンジンのメリットは、ターボとしては過給圧が掛かりにくい低回転領域でも、その圧縮比を上げて高効率に出力を得られることにある。具体的には時速30km/h以下の領域だと1600rpm程度、なおかつ80km/hあたりまでエンジン回転を2000rpm程度に抑えて発電することができる。なおかつこのエンジンはコンロッドが上下したときの角度変化を抑える構造となっており、これによってピストンの首振りも抑制することができている。

こうした特性と、新型プラットフォームの遮音性の高さが組み合わさった結果だろう、常用域ではエンジンの作動音や振動が、極めて少ないのである。もちろんその存在がわからないわけではないのだが、これだけ静かなら、無理して面倒なEVに乗る必要はないんじゃないか? と思えるほどその制御は静かだった。少なくともEVインフラが整う間までの橋渡しには、十分なるポテンシャルがある。

e-Pedal stepには、e-POWER初のブレーキ協調制御を追加。e-Pedal ONでは、全モード共通で0.2Gの減速力を発生する。FFはAUTO、SPORT、ECOの3つ。4WDこれに、SNOW、OFF ROADを加えた5つのドライブモードを用意する。フロントでノート比1.2倍、リアで同1.9倍の出力を得たモーターのレスポンスはリニアで、エクストレイルの大柄なボディを軽やかに走らせる。ゼロスタートからの全開加速では、乗員のヘッドトスを抑えながら速度を上手に乗せて行き、バンク進入までの短いストレートでも180km/h台を確認できた。

その加速力は驚くほどパワフルではないけれど、ミドルサイズのSUVとして過不足ない速さを持っていると言えるだろう。またこうした場面では、これまで同様速度の上昇とエンジン回転の上昇がシンクロし、違和感のない加速フィールも実現できていた。

質感向上は大きな開発テーマの一つで、インストルメントパネルの造形にもその成果があらわれている。メータークラスターとセンターモニターの配置は、アリアやノートと異なり、オーソドックスな構成だ。センターディスプレイは12.3インチの大画面で見やすい。ヘッドアップディスプレイも10.8インチの大画面だ。フルTFTメーターも12.3インチを採用。写真はエンハンスモードで、中央のACC作動画面が拡大表示された状態。アリアとは明確に印象の異なる乗り味

対してその乗り味には、適度なメリハリ感がある。たとえばアリアがピュアEVとして、その乗り心地に上質さを演出しているのに対して、エクストレイルはもう少しスポーティだと思う。モーターライドは前述の通り静かであり、路面からの入力も上手にカドを丸めてはいるのだが、より荷重に対して踏ん張りが効いた足周りを備えている。

そしてこの足周りに、4WDの制御が実にうまく噛み合う。特にターンインではブレーキングからの回頭性の良さと、ここに相反するはずの安定性の高さを同時に感じ取ることができて感心した。ターンインの良さにはe-Pedal Step初のブレーキ協調制御が効いており、モーターの後輪減速Gがフラットな姿勢を保ってくれるというのがその理屈のようだが、ともかく普通にアクセルを緩め、ハンドルを切って加速するだけで、軽やかにコーナーを曲がって行く。

写真の「G」グレード標準設定のシートには、ソフトレザー並の触感をもつ人工皮革「テイラーフィット」を新開発して採用している。後席足元が非常に広いのが印象的。SUVとしては希少な後席スライドを採用し、スライド量は旧型比20mmプラスの260mmを実現している。またコースには上り坂頂上付近から左に折り返す、曲率が高く難しいコーナーがあるのだが、こうした場面でも4輪がケンカすることなく、本当に上手にトラクションを掛けて行く。オンロードでここまで緻密な制御が感じ取れるのだから、雪上やオフロードではさらに乗りやすいはずである。

ちなみに「プレミアムスポーティ」をコンセプトとしたエクストレイル「AUTECH」(オーテック)は、その足下に20インチタイヤを装着していたが、きちんとこれを履きこなしていたのも印象的だった。よってその足周りも専用に仕様変更されているのかと思ったが、聞けばまったく標準仕様と同じとのこと。

つまりそれだけ新型エクストレイルのシャシー剛性は高く、その足周りも懐が深いということが言えそうだ。総じて新型エクストレイルの第一印象は、かなり好印象。この走りが果たしてリアルワールドで、どこまで再現できるのかは興味深いところである。

積載量ナンバー1を標榜するラゲッジルーム。104Lサイズ2個と63Lサイズ1個のスーツケースを飲み込む。ラゲッジルーム左側側面には、外出先やアウトドアでも便利な1500W電源が用意される。同時デビューのエクストレイル AUTECH。専用20インチタイヤをしっかり履きこなしているのが印象的だった。乗り心地の良さ、高い静粛性、力強い走り。一般公道での試乗が楽しみになる仕上がり具合が確認できた。日産 エクストレイル X e-4ORCE(2列シート車)全長×全幅×全高 4660mm×1840mm×1720mmホイールベース 2705mm最小回転半径 5.4m車両重量 1850kg駆動方式 四輪駆動サスペンション F:独立懸架ストラット式 R:独立懸架マルチリンク式タイヤ 235/60R18エンジン 水冷直列3気筒DOHC KR15DDT総排気量 1497cc最高出力 106kW/4400-5000rpm最大トルク 250Nm/2400-4000rpmフロントモーター BM46最高出力 150kW/4501-7422rpm最大トルク 330Nm/0-3505rpmリヤモーター MM48最高出力 100kW/4897-9504rpm最大トルク 195Nm/0-4897rpm燃費消費率(WLTC) 18.4km/l価格 3,799,400円

こんな記事も読まれています

[アルト]は新車で約100万円!! しかもリッター25km超え! コスパ最強のクルマ3選
[アルト]は新車で約100万円!! しかもリッター25km超え! コスパ最強のクルマ3選
ベストカーWeb
最近の自動車ディーラーは、顧客の利益を考えて販売しているのか? YouTube「マツダディーゼル動画」騒動から考える
最近の自動車ディーラーは、顧客の利益を考えて販売しているのか? YouTube「マツダディーゼル動画」騒動から考える
Merkmal
レッドブル&HRC密着:マシンストップでガレージに緊張感。幸運も味方につけ復活の初日“全セッショントップタイム”
レッドブル&HRC密着:マシンストップでガレージに緊張感。幸運も味方につけ復活の初日“全セッショントップタイム”
AUTOSPORT web
ヒョンデ3台がパイクスピークを完走! 驚異的なタイムにみた高性能EVの可能性
ヒョンデ3台がパイクスピークを完走! 驚異的なタイムにみた高性能EVの可能性
THE EV TIMES
ウイリアムズF1育成ブラウニング、ポール・トゥ・ウィンでランキング首位浮上|FIA F3シュピールベルグ フィーチャーレース
ウイリアムズF1育成ブラウニング、ポール・トゥ・ウィンでランキング首位浮上|FIA F3シュピールベルグ フィーチャーレース
motorsport.com 日本版
あおり運転被害72.5%に増加…チューリッヒ保険調査
あおり運転被害72.5%に増加…チューリッヒ保険調査
レスポンス
【MotoGP】「オランダのバニャイヤは別レベル」スプリント2位のマルティン、今回は白旗? 路温次第ではタイヤでチャンスも
【MotoGP】「オランダのバニャイヤは別レベル」スプリント2位のマルティン、今回は白旗? 路温次第ではタイヤでチャンスも
motorsport.com 日本版
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-6「JB64のシートを移植しよう」
『ぽんこつジムニー』ハコ替え計画26-6「JB64のシートを移植しよう」
グーネット
ホンダから「新型軽バン」登場で注目! 「ホテル代が浮くしサイコー!」な車中泊… 1番寝るのに適した軽キャンモデルは?
ホンダから「新型軽バン」登場で注目! 「ホテル代が浮くしサイコー!」な車中泊… 1番寝るのに適した軽キャンモデルは?
くるまのニュース
【角田裕毅F1第11戦展望】「僕に責任がある」限界を超えた結果のフロア損傷を自責。RBの“単純ではない”戦い方もプレッシャーに
【角田裕毅F1第11戦展望】「僕に責任がある」限界を超えた結果のフロア損傷を自責。RBの“単純ではない”戦い方もプレッシャーに
AUTOSPORT web
【MotoGP】マルケス「縁石で跳ねてしまった。避けるべきだったミスは腹立たしい」転倒リタイアにフラストレーション溜める
【MotoGP】マルケス「縁石で跳ねてしまった。避けるべきだったミスは腹立たしい」転倒リタイアにフラストレーション溜める
motorsport.com 日本版
元ジェイ・ケイのBMW「3.0CSLバットモービル」はプレ値がつく!? ル・マン・クラシックで2連勝した個体でも3000万円ほどだった理由とは
元ジェイ・ケイのBMW「3.0CSLバットモービル」はプレ値がつく!? ル・マン・クラシックで2連勝した個体でも3000万円ほどだった理由とは
Auto Messe Web
レースを支配したキャシディ、残り2周で痛恨コースオフ! ポイントリーダーまさかの失策でダ・コスタ2連勝|フォーミュラE第13戦ポートランドE-Prix
レースを支配したキャシディ、残り2周で痛恨コースオフ! ポイントリーダーまさかの失策でダ・コスタ2連勝|フォーミュラE第13戦ポートランドE-Prix
motorsport.com 日本版
【クラシック オブ ザ デイ】歴史上最もクールでカッコいいワーゲン?シロッコGTIって何?初代「VW シロッコ GTI」物語
【クラシック オブ ザ デイ】歴史上最もクールでカッコいいワーゲン?シロッコGTIって何?初代「VW シロッコ GTI」物語
AutoBild Japan
【早くもジャパン・プレミア】 ベントレー新型コンチネンタルGT V8 PHEVで782psへ
【早くもジャパン・プレミア】 ベントレー新型コンチネンタルGT V8 PHEVで782psへ
AUTOCAR JAPAN
オージーケーカブト、システムヘルメット・RYUKIに新グラフィック「VESTER」を追加
オージーケーカブト、システムヘルメット・RYUKIに新グラフィック「VESTER」を追加
レスポンス
家電屋さんがクルマを売る!? ヤマダ電機が[ヒョンデ]の販売開始へ
家電屋さんがクルマを売る!? ヤマダ電機が[ヒョンデ]の販売開始へ
ベストカーWeb
ホンダ:マリーニ「パッケージの性能を最大限に引き出すことに集中」好走のミルは転倒/第8戦オランダGP初日
ホンダ:マリーニ「パッケージの性能を最大限に引き出すことに集中」好走のミルは転倒/第8戦オランダGP初日
AUTOSPORT web

みんなのコメント

6件
  • このクラスで3気筒はないなぁ。ヤリスや軽自動車じやないんだから、低速でエンジンブルブルは勘弁ね。
  • 《NISSANエクストレイル》
    エクステリアのカラーが大人で綺麗。
    外出先やアウトドアでも便利な1500W電源が用意されるが上位グレードのみ。
    OUTLANDER PHEVはリア席とラゲージルームの2箇所設置されている。

    e-powerかPHEVか迷うか。コンセントはキャンプには必須なのか。
    車内で仕事もしないし虫が嫌いなので自分には不要です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

360.1533.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8558.0万円

中古車を検索
エクストレイルの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

360.1533.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8558.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村