おもちゃメーカーのタカラトミーは、ミニカーの「トミカ」シリーズ発売50周年を記念して、さまざまなプロジェクトを始動。1月15日に50周年記念事業を紹介する「トミカ50周年記念発表会」を開催した。「トミカ」は、外国製ミニカーが全盛だった1970年8月18日に「日本の子供達に、もっと身近な国産車のミニカーで遊んでもらいたい」という熱い想いから発売された、日本初の手のひらサイズの国産車ダイキャスト製ミニカー。今年2020年に50周年を迎え、現在までに累計1050種以上の車種を発売、累計販売台数は6億7000万台をこえる大ヒットシリーズになっている。ちなみに販売された「トミカ」をすべてつなげると地球約1.3周にもなる! 今回の発表会では、さまざまな記念モデルやコラボ企画に加えて、自動車メーカー3社とのプロジェクトを発表。「トミカ」ファンも自動車ファンも注目の内容になっている。
発表会の会場では、これまでに発売された歴代の「トミカ」を並べた展示が注目を集めていた。壮観!
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発表会のMCはフリーアナウンサーでカー・オブ・ザイヤー選考委員も務める安東弘樹アナウンサーと「トミカ」好きを公言するフリーアナウンサーの小林麻耶アナウンサーが担当。
そして今回の発表会でもっとも注目を集めたのが、本田技研工業、トヨタ自動車、日産自動車の大手自動車メーカー3社との「トミカ50周年自動車メーカーコラボプロジェクト」だ。普段は実車のデザインを担当している各社のデザイナーが、「トミカ」のためだけに特別な50周年記念デザインをする企画で、各社のスポーツカーの実車両を実際に装飾するというもの。今回の発表会では、自動車メーカー3社からゲストを招いてトークショーも行なわれた。
自動車メーカー3社によるトークショウ。自動車と「トミカ」愛が溢れる内容だった。
トークショウに参加したタカラトミー ベーシック事業部トミカマーケティング部の岸田敬部長。
50周年記念のデザインについて、まず本田技研工業の柿沼氏は「デザインの考え方としてはおめでたい色。金色と紅白を基調にして、スポーツカーの機能性をアクセントになるカラーをモチーフにして、子供とお父さんがこれで会話して仲良くなればという想いで担当者が描きました。担当者も子供とのやりとりを想像しながらデザインしたそうです」と語った。続くトヨタ自動車の多田氏は「うちは単純で上から見て一番カッコイイものにしました。スポーツカーのデザインは、後ろや横から見ただけじゃなく、ミラーに映ったリアフェンダーまで気にします。特にリアフェンダーは必ず乗り込んでミラー越しに綺麗になるようにしています。ミラーに映ったリアフェンダーが美しくないスポーツカーはじつは売れないんですよ」と語った。日産自動車の田村氏は「40年ぐらい前に「スーパーシルエット」というレーシングカーがあって、そこの赤と黒のモチーフを落とし込んでデザインしてみました。ボディサイドに赤と黒の境界線を入れるのですが、そのバランスが簡単なようで難しい。そこはかなり悩みました」と語った。
本田技術研究所オートモービルセンター シビック TYPE R開発責任者の柿沼秀樹氏。幼稚園の頃に買ってもらった「トミカ」の『セリカ リフトバック2000GT』をすぐに失くし、それから大学生時代に実車両を入手した想い出を語った。
『Honda シビック TYPE R トミカ50周年記念仕様 designed by Honda』のデザイン画。実車両は2020年4月開催の『トミカ博 in OSAKA』で公開予定。
トヨタ自動車 GR スープラ開発責任者の多田哲哉氏。「『スープラ』発売の約1年前にこっそり「トミカ」を作ってもらい、コンセプトモデルの発表時に会場に集まった皆さんに配りました。その時はジャーナリストの方々が「トミカ」に気を奪われてました。自動車ジャーナリストもみんな「トミカ」が大好きなんです」
『トヨタ GR スープラ トミカ50周年記念仕様 designed by Toyota』のデザイン画。実車両は2020年6月開催の『東京おもちゃショー2020』で公開予定。
日産自動車 商品企画本部商品企画責任者の田村宏志氏。「集めやすい大きさと単価が「トミカ」の良さ。非常にクォリティも高いと思います。例えばメタリック塗装も実車両と同じものを使っても同じになりません。ミニチュアの世界はカッコイイが難しいのですが、どういう塗装にするかメタリック塗装もミニカー用に開発しているクォリティはスゴイと思います」
『日産 GT-R トミカ50周年記念仕様 designed by NISSAN』のデザイン画。実車両は2020年8月開催の『トミカ博 in YOKOHAMA』で公開予定。
発表会会場ではカラーリング前の各社の実車両の展示も行われていた。
発表会冒頭では、タカラトミーの富山幹太郎代表取締役会長が挨拶を行なった。
「「トミカ」を愛している子供たちやファンの皆さんに支えられての50年でした。それと同時に「トミカ」の歴史は、日本の自動車産業の皆さんが築いてこられた車の文化の歴史なくしては語れません。自動車会社の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。「トミカ」が誕生した1970年。当時のミニカーといえば外国製ばかりで車種は外国車ばかり。トミーはプラスチック玩具が全盛でダイキャストにはまったくの素人でした。その中で先輩たちは国内でミニカー専用の工場を新設しました。失敗を繰り返しながらも海外のミニカーメーカーに負けないものを作るんだと強い想いで開発してきました。そしてデザインへのこだわり、走りのよさ、可動部分を備えた遊び勝手、それらが国産ミニカーを心待ちにしていた子供たちを一瞬で虜にしたのです。こだわる心、譲れない想いを忘れることなく、時代の変化に対し、柔軟な姿勢で臨まなければ「トミカ」はただの小さな車のおもちゃになってしまいます。子供たちの手の平からこの先も50年、100年、私たち自身が本当に大切なものをしっかり継ぎ、進化し続けていく。変わりゆく時代の中で「トミカ」がどんな進化を見せてくれるのか、私自身はまったく想像できません。でも、だからこそワクワクする気持ちが止められません。50年という節目を迎え、「トミカ」に関わる全ての方に心から感謝を伝えると共に、これからも「トミカ」から目を離さないでください」
タカラトミー代表取締役会長の富山幹太郎氏。
50周年事業としては、「トミカ50周年ファン感謝祭」(2020年10月予定)や「トミカ50thサンクスフェア」(2020年2月29日より各地商業施設で開催)などを開催予定。さらに関連商品として1970年に発売した初代の「トミカ」6車種を再現した『トミカ50周年記念コレクション』や10年ごとに印象的な車をセレクトして書店でしか入手できないオリジナルモデルシリーズ『トミカ50周年ヒストリーセレクション』などの発売を予定している。他にもロッテ『チョコパイ』、「はとバス」、「東京ベイ舞浜ホテル ファーストリゾート」などともコラボし、50周年記念アニメ化など話題が目白押し。50周年に向けて、さまざまな局面で「トミカ」が盛り上がりそうだ。
50周年事業の内容を説明したタカラトミー ベーシック事業部の竹内俊介事業部長。
会場に展示された特大の特製『チョコパイ』。『チョコパイ』のコラボでは、パッケージの絵柄を切り取って紙製の「トミカ」を作ることができ、2020年春にはオリジナル「トミカ」が当たるキャンペーンも実施。
取材・文/久村竜二
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