「人馬一体」というテーマを掲げ、開発を進めているマツダ。スバルと同じく国産自動車メーカのなかでは独自路線を歩んでいるが、最近のマツダ車には、開発者のこだわりが目一杯詰まっている。
また、「ここ最近のマツダ車の走りはすばらしい」とほめられることが多いマツダ車だが、本当のところはどうなのか!? 大いに気になるところだろう。
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今回は最新のCX-30やマツダ3を含む 10モデルの長所と短所を、渡辺陽一郎氏が解説。クルマの総合点を採点する。
※本稿は2019年10月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:MAZDA、編集部
初出:『ベストカー』 2019年11月10日号
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■MAZDA 3 ファストバック(222万1389~328万1055円)
光のリフレクションなどで、ボディデザインを際立たせる深化した魂動デザインが採用される
マツダの第7世代商品群、第一弾として5月に登場。1.5Lと2L、2種のガソリンエンジンと1.8Lディーゼルターボが用意される。ファストバックはMTも選択可。
○長所
カーブを曲がる時の挙動変化が滑らか。ハンドルの舵角に応じて車両の向きが正確に変わり、ドライバーも一体感を得やすい。
下り坂のカーブで制動を強いられても、後輪の接地性が高く、不安定な状態に陥りにくい。乗り心地は少し硬いが、バタバタした粗さと突き上げ感は抑えている。内装は上質で前席は座り心地がいい。
×短所
3ナンバー車となるミドルサイズハッチバックは、ファミリーユーザーのニーズも高い。しかしマツダ3は後席の足元が狭く、4名で乗ると窮屈だ。ピラーが太く、後席側のサイドウィンドウが極端に狭いため、斜め後方の視界も悪い。後席の乗員についても、周囲の風景が見にくく閉鎖感が生じる。
●100点満点で採点すると……67点
■MAZDA 3 セダン(251万5741~320万9555円)
ファストバックが注目されがちだが、実際に目にするとセダンの美しさに驚くはず。キレイです
ファストバックのセダン版だが、ガソリンの搭載エンジンが2Lのみとなり、用意されるミッションも6ATのみとなる。静粛性が高く、内装の質感も高い。
○長所
基本的な特徴はファストバックと同じだが、後方視界はセダンが少し優れる。セダンはトランクスペースが独立しているためノイズも低減させやすい。
ファストバック同様、後輪の接地性を充分に確保したうえでカーブを自然に曲がるから、運転が楽しい。助手席にもシートリフターが備わり、最適な着座姿勢が得られる。
×短所
セダンの後席もファストバック同様に狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ半だ。グレイスのふたつ半に比べて窮屈に感じる。
マツダ3の車両重量は、2Lガソリンエンジン車でも1300kgを超えるから、峠道では動力性能が物足りない場面もある。
●100点満点で採点すると……70点
■MAZDA 2(157万3000~266万7500円)
減速エネルギー回生システム(i-ELOOP)搭載車以外のFFでは、6MTも選択できる
110ps/14.4kgmを発生する1.5Lガソリンエンジンと、105ps/25.5kgmの1.5Lディーゼルを用意。現在のマツダの登録車における、唯一の5ナンバーモデルだ。
○長所
一番の特徴はほかのマツダ車同様、ドライバー本位の開発をしていることだ。コンパクトカーには運転姿勢に無理が生じている車種もあるが、マツダ2はペダルを最適に配置した。
シートは腰から大腿部を確実に支えるから、運転姿勢が乱れにくく座り心地もよい。走行安定性が優れ、高性能で低燃費のディーゼルも長所だ。
×短所
ボディサイズのわりに後席が狭く、4名で乗車すると窮屈だ。荷室容量も不充分だから、ファミリーカーには適さない。サイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げたから後方視界も悪い。1.5Lのノーマルエンジンはパワフルだが、他車の1.0~1.3Lと違って燃費は重視していない。
●100点満点で採点すると……80点
■MAZDA 6 セダン(289万3000~429万5500円)
外観はアテンザの時から変わらないが、車両制御面、装備面でのアップデートは行われた
7月にこれまでのアテンザから車名を変更。同時に2.5Lのガソリンターボ(230ps/42.8kgm)搭載グレードが設定された。ディーゼルターボ車ではMTも選択できる。
○長所
低重心のLサイズセダンでホイールベースも2830mmと長いため、峠道や高速道路での走行安定性が優れる。挙動変化が穏やかに進み、路面のウネリを通過した時の安心感も高い。2.2Lディーゼルは実用回転域の駆動力に余裕がある。6MTを選べることも魅力で、WLTCモード燃費は19.6km/L。静粛性も良好だ。
×短所
マツダ6は、2012年にアテンザの車名で発売された。ボディの側面に複数のラインが入るデザインは、マツダでは旧世代の形状で古さを感じる。2.5Lガソリンターボは、実用回転域の駆動力が高い代わりに高回転域の伸びが鈍い。燃費の悪いディーゼルという印象で、選ぶ価値が乏しい。
●100点満点で採点すると……64点
■MAZDA 6 ワゴン(289万3000~429万5500円)
全長、全幅の値はスバルのアウトバックに近しいが、こちらはより都会的で洗練されている
現在の日本では貴重な、大人が乗って似合うワゴン。45.9kgmの大トルクを発揮するディーゼルターボ搭載車では6MTも選択できるなど、意外と個性的だ。
○長所
荷室面積は国産ワゴンで最大級だから、大きな荷物も積みやすい。荷物を隠すトノカバーは、リアゲートの開閉に連動して持ち上がり使い勝手に優れる。
リアゲート上側を少し寝かせて、ヒンジを前寄りに装着したから、開閉時にリアゲートが後方へ大きく張り出さない。ディーゼルの優れた動力性能と低燃費も魅力だ。
×短所
ワゴンだから安定性に不満はないが、マツダ6セダンには劣る。荷室面積を広く確保するため、ホイールベースを80mm短く抑え、ボディの後方を伸ばしたことが影響した。後席の足元空間もセダンに比べて少し狭い。斜め後方が見にくく、ボディはワイドだから取り回し性も不満だ。
●100点満点で採点すると……60点
■ロードスター(260万1500~388万3000円。RF含む)
エンジンパワーに頼らず、クルマが求める操作を行うことで速さを発揮するのがロードスター
初代への原点回帰を目指して開発された4代目モデル。1.5Lエンジンを積むソフトトップがデビューした翌年、リトラクタブルハードトップのRFがデビューした。
○長所
全長が4mを下回るFRのスポーツカーであることが一番の魅力だ。前後の重量配分もバランスがよく、現行型はボディ剛性も高めたから、操舵に対する反応が正確で安定性もいい。車両と一体になれる運転感覚は、マツダ車の象徴だ。またスポーツカーでありながら歩行者も検知できる緊急自動ブレーキを採用している。
×短所
乗り心地は全般的に硬い。特にRSはビルシュタイン製ショックアブソーバーを装着するが、上下に揺すられる印象が強い。この傾向はソフトトップで顕著だ。RFは2Lエンジンを搭載するが、車両重量が重いこともあり、ソフトトップの1.5Lに比べてあまりパワフルな印象を受けない。
●100点満点で採点すると……95点
■CX-3(216万7000~315万1786円)
スタイルの美しさを追求したSUVで、後席居住性や快適性、荷室の広さは多少犠牲になった
マツダ2(デミオ時代)をベースに作られたSUV。最低地上高は160mmと高くなく、パーソナルクーペ的な性格を与えられた都市型モデルと考えたほうがいい。
○長所
マツダの最小サイズのSUVで、プラットフォームはマツダ2と共通だ。ただしマツダ2に比べると乗り心地が重厚で、操舵した時の車両の動きも一層正確に感じる。
運転感覚はマツダ2よりもCX-5に近い。インパネなどの作りが上質で、前席はシートのホールド性と座り心地を高めた。小さな高級車といった雰囲気だ。
×短所
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ弱だ。SUVではかなり狭く、荷室面積も足りない。2Lのガソリンエンジンは動力性能が不足気味で、アクセルペダルを深く踏み込むと、粗いノイズが気になる。後方視界も不満で、後席に座ると閉鎖感が強い。
●100点満点で採点すると……50点
■CX-30(239万2500~330万5500円)
幅広の樹脂製フェンダーを採用することで、ボディをより薄く見せる効果を狙っている
マツダ3ベースのSUVで、第7世代商品群の第2弾。ボディデザインも深化した魂動デザインを採用する。エンジンは2Lガソリンと1.8Lディーゼルターボ。
○長所
CX-30のボディサイズは、CX-3とCX-5の間に位置付けられるが、機能的にはCX-3の改善版だ。
CX-3に比べると、前後席の乗員間隔を26mm拡大して、後席の窮屈感をある程度は解消した。荷室面積も広げ、荷室床面の地上高はCX-3よりも55mm低い。外観は緩やかな曲線を描き、後方視界もCX-3よりも良好だ。
×短所
CX-5に比べるとボディはコンパクトだが、価格差は20万円程度だからCX-30には割高感が生じた。1.8Lディーゼルは燃費数値が不満だ。CX-5が搭載する2.2Lディーゼルと比べて10%程度しか向上しない。最大トルクは40%も減少するから、1.8Lはもう少し燃費効率を高めたい。
●100点満点で採点すると……81点
■CX-5(261万8000~362万4500円)
初代は初のSKYACTIVテクノロジー全面採用車で、現行は2代目。当然、洗練された
2Lと2.5LのNA、2.5Lガソリンターボ、2.2Lディーゼルターボと、4つのパワーユニットが用意される。ディーゼルモデルでは6ATのほか6MTも選択できる。
○長所
2.2Lディーゼルは実用回転域の駆動力が高く、燃費効率も優れている。高重心のSUVでも操舵感に鈍さはなく、安定性もいい。峠道でもワゴンに近い感覚で運転できる。
後席は床と座面の間隔に余裕があり、大人4名が快適に乗車できる。最低地上高は210mmを確保して、4WDの制御も綿密だから走破力が高い。
×短所
乗り心地は硬めで、路上のデコボコを直接的に伝えやすい。2.5Lガソリンターボは高回転域の吹き上がりが鈍く、運転感覚が2.2Lディーゼルに近い。価格は割高で、低燃費を含めてディーゼルを推奨する。全幅は1840mmとワイドで後部のピラー(柱)が太いから後方視界も不満だ。
●100点満点で採点すると……90点
■CX-8(294万8000~454万3000円)
4900mmの全長を持つため、伸びやかなデザインが魅力的。居住性や荷室容量も悪くない
ミニバンを捨てたマツダにとっての唯一の3列シートモデル。用意されるパワーユニットはCX-5に似るが、2LのガソリンNAがなく、6MTも設定されない。
○長所
北米仕様のCX-9がベースだからシャシー性能が高い。ホイールベースも2930mmと長く、乗り心地に重厚感が伴って快適だ。下り坂のカーブで危険を避ける時の安定性もいい。車内の作りはていねいで、上級グレードの7人乗りでは2列目シートの中央にもアームレスト付きのコンソールが備わる。内装は豪華だ。
×短所
全長は4900mmと長く、最小回転半径も5.8mだから狭い裏道や駐車場で運転しにくい。3列目シートはSUVでは最も快適だが、ミニバンではないから大人が座ると膝が持ち上がり腰は落ち込む。フリードやシエンタよりも窮屈だ。本革シートの運転席は、左右方向のサポートが不足する。
●100点満点で採点すると……77点
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