トヨタは主力ミディアムミニバンであるノア/ヴォクシー/エスクァイアを2022年4月にもフルモデルチェンジする方向でスケジュール調整している。
当初は2022年1月発表を予定して開発を進めていたが、新型コロナ禍や半導体部品の供給遅れの影響で、3ヶ月程度先送りしたようだ。またノア/ヴォクシー/エスクワイアの3兄弟をノアに1本化する案も「新型ノアと新型ヴォクシー」に2車種体制とするよう変更したと思われる。
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ヴォクシーが最近まで引き続き好調に売れており、(当初の考えであった)ノアだけに統合してヴォクシー/エスクァイア2車種を廃止するのは得策ではない、との結論に達したようだ。
以下、この大人気ミニバン三兄弟の現状と今後について、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が取材した結果をお届けしたい。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA
【画像ギャラリー】新型ノア登場間近! トヨタミニバン3兄弟を画像でチェック
■ノア・ヴォクシーは今後どう引き継がれるのか
今年(2021年)1~8月の登録実績を見ると、ヴォクシーが5万1716台、前年同期比18.1%増、月平均6465台に対して、ノアは3万2676台、同16.5%増、4085台と、ヴォクシーがノアを大きく引き離している。
トヨタはノア/ヴォクシー/エスクァイアを2020年4月に一部改良し、ノアを従来どおり5ナンバーの標準タイプと3ナンバーのエアロバージョンのフルラインアップを継続したのに対して、ヴォクシーは3ナンバーのエアロバージョンと特別仕様車の「ZS煌III」のみに再編。この時点では「次のフルモデルチェンジ時には「新型ノア」に1本化する」という方針だった。
ヴォクシー 特別仕様車 ZS“煌 III”ベース車:ZS
ヴォクシー 特別仕様車 ZS“煌 II”(ガソリン車・7人乗り・2WD)
ところがその後の販売推移を見ると、ヴォクシーのほうが圧倒的な売れ行きであり、こうしたことから継続すべきとの案が浮上し固まりつつある。
ただ次期型に引き継ぐ際の具体的なラインアップはまだいろいろ取り沙汰されている。あまり売れていないエスクァイアの廃止はほぼ決まっている。問題はノア/ヴォクシーの継続の仕方である。
現行のようにノアは5&3ナンバーのフルラインアップで、ヴォクシーは3ナンバーのエアロバージョンのみでのフルモデルチェンジのほか、ノアを5ナンバー標準タイプのみ、ヴォクシーは3ナンバーのエアロバージョンに分ける、あるいはノアに1本化するものの、ヴォクシーはグレードとエクステリアデザインで分けて残す手法などが考えられている。
ノア 特別仕様車 Si“W×B III”ベース車:Si
ノア 特別仕様車内装
最近は5ナンバーがノア、3ナンバーがヴォクシーの案に固まりつつあるようだ。現行モデルではノアは特別仕様車「Si B×B」、ヴォクシーは「ZS 煌III」が両シリーズ全体の80%以上を占め中心的な存在になっている。次期型では両特別仕様車のデザインや装備内容の考え方を引き継いだ仕立てでカタログモデルとするまとめ方になるのが有力となっている。
■次期型のクオリティはいかほどか
パワーユニットの内容も様々の情報がある。ハイブリッドは現行モデルでは1.8リッターのニッケル水素バッテリーを採用しているが、次期型はよりコンパクトで高効率のリチウムイオンユニットに切り替えることで、さらなる低燃費、EV走行でのポテンシャルアップを図る見込みである。
現行モデルではハイブリッド仕様は2WD車のみの設定であるが、次期型は4WD車も加える。
エンジンの排気量は1.8リッターとモーターの組み合わせであるが、次期型はどうなるか。
トルク不足を向上させるために2リッターに引き上げる方式も開発しており、どちらを採用するか注目される。ホンダのステップワゴンは2リッターのハイブリッドを搭載している。
トヨタの次期型ノア/ヴォクシーとほとんど同じ時期にフルモデルチェンジしてシェア争いを展開することになるのは必至の情勢であるから、対抗上トヨタも2リッターハイブリッドを設定する可能性がある。純ガソリン仕様は引き続き2リッターを設定継続する。
Toyota Safety Senseも標準装備に
装備面では最近のトヨタ車の殆どに採用されているオーディオディスプレイ、パノラミックビューモニター、ハンズフリーバックドアオープナーや最新のトヨタセーフティセンスも進化させて標準装備される。室内居住空間の拡大、使い勝手の向上、一段のクオリティアップも図られる。
■首都圏の販売店各社はどう思う?
首都圏における販売店各社の3兄弟車に対する見方はどうか。
2020年4月までヴォクシーの専売店だったネッツ店の営業担当者は、
「現在までヴォクシーがダントツに売れているので、こちらに1本化した方が得策といえる。現時点で5年後のリセールバリューはノア/エスクワイアよりも無傷の状態では20万円以上も高いから、下取り車対策も優位になる」と、ヴォクシー存続を主張する。
カローラ店は、
「3兄弟車はノアが先に発売されたので、こちらを残すべきというのがトヨタの基本的な考えのようだ。ただ実際はヴォクシーが最も売れているので次期型ノアシリーズの中にヴォクシーは3ナンバーエアロバージョンのグレードとして残す可能性がある」
とコメントする。
ノア「Si」(ハイブリッド車)オプション装着車
エスクァイアを併売していたトヨタ店とトヨペット店はすでにあまり売れていない状況だから、モデル廃止はやむを得ないとの考え方で一致しているように思える。
この9月上旬現在ではまだ従来モデルを継続生産しており、グレード、ボディカラー、オプション&付属品の生産調整は実施していない。
エスクァイアGi“Premium Package”(ハイブリッド車)オプション装着車
ヴォクシーは約80%が特別仕様車のZS煌III、ノアは同じく特別仕様車「SiW×B」が70%強とメインで売れている。現行モデルはノア/ヴォクシーが2022年2月あたりまで生産を継続するが、エスクァイアは年内でオーダーストップになる見通しである。
■証言1「来年4月に世代交代」首都圏トヨタネッツ店営業担当者
ノア 特別仕様車 Si“W×B III”(ハイブリッド車・7人乗り・2WD)オプション装着車
2022年4月に「新型ノア/ヴォクシー」で世代交代する見通しとなっている。両モデルのコンセプトを継承し、ヴォクシーは若者向けを中心に幅広いユーザーのニーズを取り込み個性的なマスクを採用し、ノアはファミリーユーザー向け主体の仕立てになるようだ。
改良型2リッターガソリンNAと改良型1.8リッターハイブリッドにリチウムイオンバッテリーユニットを組み合わせたパワーユニットを搭載すると聞いている。
■証言2「ヴォクシーの廃止はできない」首都圏トヨタカローラ店営業担当者
ヴォクシー「ZS」(ハイブリッド車)オプション装着車
3兄弟はノアが最初に発売し、その後ヴォクシー/エスクワイアが派生して追加されたいきさつがあるので、統合するのであればノアへの1本化が自然といえる。
ただ現状ではヴォクシーが最も良く売れていて、他を大きく引き離した販売実績で推移しているので、ヴォクシーは廃止できないだろう。したがって次期型はとりあえずノアとヴォクシーを継続させてフルモデルチェンジすることにしたようだ。ノアが5ナンバー、ヴォクシーが3ナンバーボディでコンセプト分けがなされる可能性が強い。
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みんなのコメント
装備されなくてもネームバリューで売れるんだろうけど。
と言う人達には気になる情報ですね。
多分ステップワゴンはアルファードをパクってくるだろうし高価格帯になって自爆予定。
セレナはまだ分からないけど。