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60kWhのリン酸鉄リチウム搭載 BYDドルフィンへ試乗 特別さはないが不満もない

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60kWhのリン酸鉄リチウム搭載 BYDドルフィンへ試乗 特別さはないが不満もない

アット2改めドルフィン コンパクトなBEV

BYDによれば、このクルマはアット2と命名予定だったそうだ。全長4290mmのハッチバックは、英国でも販売が始まったファミリー・クロスオーバーのアット3より、ひと回り小さいためだ。不思議ではない理由だと思う。

【画像】特別さはないが不満もない BYDドルフィン アット3とシール 競合クラスのBEVも 全170枚

しかし、「楽しくて面白い」ブランドであるべきだという上級幹部でのミーティングを受け、ドルフィンに改められたらしい。アット3の次にドルフィン。ある程度自動車へ詳しいユーザーの場合、少し違和感を抱くかもしれない。

もっとも、フォード・フィエスタと兄弟関係にあるプーマも、冷静に考えれば変わった名前といえる。フォルクスワーゲンのゴルフも、聞き慣れた存在とはいえ、メキシコ湾流のガルフ(ゴルフ)・ストリームが由来だという。

若いユーザーなら、すんなり馴染めるのかもしれない。先日ご紹介したサルーンのシールと併せて、徐々に馴染みのあるモデル名になっていくのだろう。アット2は、確かに退屈に思える。

名前はともかく、この中国製のバッテリーEVは、客観的にはまったく不足ない水準に達している。サイズ的には、プジョーe-208よりやや長く、日産リーフより短い。

60kWhのリン酸鉄リチウムで426km

スタイリングも、アット3とは大きく異る。かといって、まとまりは良い。BYDによるe-プラットフォーム3.0が基礎骨格をなし、フロア部分にリン酸鉄リチウムイオン・バッテリーが搭載されている。容量は60kWhある。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、コバルト不使用であることと、従来のバッテリーのような円柱や直方体のセルでは構成されていないことが特徴。長い帯状のセルが並べられている。

駆動用モーターの最高出力は203psで、フロントタイヤを駆動する。航続距離は426kmがうたわれ、英国市場では2023年の夏から販売される計画。追って、航続距離300km前後の廉価版も投入される見込み。

高速道路の速度域までなら、ドルフィンは勢いよく加速する。今回の試乗は欧州仕様へ調整が仕上がる前の車両で、テストコースに限られたが、ボディロールが大きかったものの傾きは漸進的といえた。

乗り心地は、テストコース内ということで充分には確かめられなかった。少なくとも、17インチホイールを履いたドルフィンの場合、サスペンションはかなり柔らかく感じられた。このままだと、英国の荒れた路面ではフワフワと落ち着かないかもしれない。

タイヤは中国製のリンロンを履いていたが、英国仕様ではブリヂストン製へ置き換わる可能性がある。改めて、正式な仕様で確かめたいところだ。

低速での走行中には、歩行者へ接近を知らせる電子的なハミング・ノイズが発せられる。ドライバーの好みで、ベルが鳴るような音色も選べる。

特別な印象はなくても不満もない

操縦性は、コンパクト・ハッチバックとして妥当。特別な印象はないが、目立った不満もない。ステアリングホイールの重み付けとアクセルペダルへの反応が変化する、ドライブモードが備わる。スポーツとノーマル、エコの3種類から選べる。

ノーマル・モード時はステアリングホイールが非常に軽く、反応は曖昧。スポーツ・モードを選択すると、フロントタイヤからの感触が増え、運転する自信へつながる。ただし、手応えは少々人工的でもある。

コーナリングが楽しいe-208のように、軽快で敏捷というわけではない。それでも回頭性は滑らかで、挙動は予想しやすく、不安感はない。

ステアリングホイールのレスポンスをクイックにし、小回りが利くようにすれば、より好ましいのではないだろうか。e-208のように、市街地での取り回しが強みになるはず。ブレーキペダルのフィーリングには、もう少しソリッド感が欲しい。

ドルフィンのインテリアは、アット3とは異なり、かなりコンベンショナル。適度な未来感はあるものの、雰囲気は欧州車のそれにも近い。

内装の高級感でいえばe-208の方が高いものの、ドルフィンも充分スマートに見える。全体の製造品質は低くない。パワーウインドウ・スイッチの光沢感のあるプラスティックなど、一部を除いて。

ドライビングポジションは良好。パワーシートが標準装備で、調整域も広い。

訴求力ある価格設定が堅調な販売の鍵

ダッシュボードの中央には、12.6インチのタッチモニターが据えられる。ナビやメディアの再生など、利用目的に応じて任意に回転でき、縦方向でも横方向でも使える。

タッチモニターの下には、スマートフォンを置くのに丁度いい小物トレイが突き出ている。ワイヤレス充電機能は、センターコンソールの小物入れに備わる。

車内空間は広々としている。身長が185cmを超える大人でも、リアシートへ快適に座れる。この大きさのハッチバックとしては、例外的といっていい。フラットなフロアとタイヤが四隅に位置する、プラットフォームが効いている。

荷室容量は345Lでクラス相応。荷室の床面は高さを調整でき、便利だろう。

英国へ上陸を果たすドルフィンは、好調なスタートを切るだろうか。冷静に比較すれば、同クラスのライバルより標準装備に優れ、タッチモニターの使い勝手が勝り、車内空間はクラス上。アドバンテージは少なくない。

テストコースという条件ではあったが、走りも悪くない。際立つ部分はないが、不満も感じられなかった。今のところ納期は短く、注文から数週間以内に乗り出すことが可能だという。恐らく、心が揺れる読者もいらっしゃるはず。

とはいえ、英国人には馴染みの薄い自動車メーカーなだけに、踏み出す勇気が必要なことも事実。訴求力のある価格設定が、堅調な販売の鍵を握るだろう。

BYDドルフィン(中国仕様)のスペック

英国価格:3万3000ポンド(約531万円/予想)
全長:4290mm
全幅:1770mm
全高:1570mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:7.1秒
航続距離:426km
電費:7.0km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1658kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:60.0kWh(実容量)
急速充電能力:−kW
最高出力:203ps
最大トルク:29.5kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

26件
  • デザインは好みではないが、全長4.3m未満というコンパクトさが良い。300万以下なら考えるかも。
  • デザインの進化が速いんだよな。ドルフィンはデザイン変化前の最後に作ったモデルでイマイチ。
    次のシール以降が本命。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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