2023年6月8日、トヨタ東富士研究所で、記者やメディア責任者を集めた先行技術説明会(トヨタ・テクニカルワークショップ2023)が実施された。さまざまな開発中の技術が公開されるなかで、最も注目を集めたのは今年5月から稼働を開始したトヨタの社内カンパニー「BEVファクトリー」、プレジデントを務める加藤武郎氏によるプレゼンテーションだった。以下、トヨタのBEV戦略の中核を担うBEVファクトリーに関する発表内容を、整理してお届けします。
文/ベストカーWeb編集部、写真/TOYOTA
トヨタは7年後も王座に君臨している…のか…?? 次世代戦略の柱「BEVファクトリー」の覚悟と使命
■航続距離1,000km、電費世界トップ、開発工程1/2って…マジか……
2021年12月にメガウェブで実施された「トヨタバッテリーEV戦略説明会」において、豊田章男社長(当時)が「2030年にはBEVをグローバルで350万台販売」という数字を発表した。クルマ業界では、トヨタという会社が数字を発表する時は、それが「達成できる」という充分な準備が整った段階だということは、(それがどんなにとんでもない数字でも)常識といえる。1メーカーで「350万台」というのはとんでもない数字だが、その時点では、あぁ…トヨタなら成し遂げるんだろうな…と、なんとなく思っていた。
2021年12月に実施されたトヨタのバッテリーEVへの取り組みに関する説明会。一気に16台の開発車両が披露された。同時に「2030年までにBEV年間350万台販売」という目標も発表。トヨタのマルチパスウェイ(多方面開発)による「BEVも本気だ」を充分に示す説明会だった
あれから1年半。そうはいっても2022年のトヨタの年間BEV販売台数は3.8万台に留まっており、そろそろ「本当か? 本当にトヨタは、8年後の2030年にBEVを350万台も作って売れるのか??」というような疑問が頭に浮かんできたタイミングで、トヨタが具体的なプランを出してきた。それが今回の先行技術説明会であり、「BEVファクトリー」に関する発表だった。
以下、トヨタが発表した公式リリースより、「BEVファクトリー」の「宣言」を引用する。
「バッテリーEV専任組織であるBEVファクトリーで実現したいことは、クルマ・モノづくり・仕事の変革を通じ「BEV」で未来を変えることです。
クルマ軸では、次世代電池の採用と音速技術の融合などで、「航続距離1,000km」を実現します。かっこいいデザインの実現のため空力性能はAIがサポートし、デザイナーは感性の作り込みに専念でき、Arene OS、フルOTA(Over The Air/インターネット経由で車両をアップデートできる技術)で操る楽しさを無限に広げます。
「マニュアルEV」のように、「クルマ屋だからこそ出来る技術」でお客様にワクワクする驚きと楽しさをお届けします。
モノづくりの軸では、車体を3分割の新モジュール構造とし、ギガキャストの採用で、大幅な部品統合を実現することで、車両開発費、そして、工場投資の削減にも貢献します。さらに自走生産の技術で、工程と工場投資を半減します。
BEVファクトリーは、ワンリーダーの元、WOVEN by TOYOTAや外部パートナーなどクルマ屋の枠組みを超えた、全ての機能と地域が集まるALL in ONE TEAMです。このONE TEAMで仕事のやり方を変革し、皆が同じ現場で、同じ問題意識を持ち、素早い意思決定と初動を実現します。
これらの変革を通じ、グローバルかつフルラインナップの一括企画を進め、次世代BEVは2026年から市場に投入。2030年には350万台のうち、170万台をBEV ファクトリーから提供致します。
次世代電池を採用し、電費は世界Top にこだわり、稼いだ原資で、お客様の期待を超える商品力向上を図り、収益を確保します。
ぜひ『クルマ屋がつくるココロ揺さぶるバッテリーEV』にご期待ください。」
トヨタの次世代BEV戦略を担う「BEVファクトリー」加藤武郎プレジデント。中国BYDに出向し、「すさまじい意思決定の速さと、多方面との協業」を学んでトヨタへ帰ってきた
■「4年間でゼロから170万台まで伸ばす」という覚悟
「航続距離1,000km」「電費世界トップ」というフレーズも強烈だが、2026年から市場投入を開始して、4年後の2030年に170万台のBEVを生産・販売する…というのもすさまじい話。なおBEVファクトリーが提供する170万台【以外の】BEV180万台(350万台-170万台=180万台)は、「既存のトヨタ車にBEVユニットを搭載して販売する予定」(トヨタ中嶋裕樹商品担当副社長)とのこと。これもこれですごい話だ…。
ちなみにテスラ社がグローバル販売台数約3万台規模だったのは2014年のこと。そこから8年かかって、2022年には約130万台まで成長させた。それを、「BEVファクトリー」は2026年から次世代BEVを投入して、2030年までに170万台まで伸ばすという。
表示された瞬間、記者席から軽い歓声が上がったスライド。2030年までに投入予定の5モデルのジャンルが公開された。どれが日本に投入されるのか…楽しみです(ラージMPVは次期エスティマか??)
【投入予定車種と170万台の内訳】
・コンパクトSDNもしくはHB……36万台
・ミッドサイズSUV……36万台
・ラージサイズSDNもしくはHB……24万台
・ラージサイズSUV……60万台
・ラージサイズMPV……12万台
(※いずれもグローバル)
「これは確認ですが、BEVファクトリーは、次世代BEVを2026年から発売して、ゼロ台から4年で年間170万台販売まで伸ばす、ということですね?」
先行技術説明会の最後に実施された質疑応答で、当サイト記者から上記の質問を投げかけられた加藤武郎プレジデントは、「その覚悟です」と短く答えた。エンジニア出身らしい、簡にして要を得た回答だ。
2026年に市場へ投入される次世代BEVは、これまでのBEVとはまったく違った、「クルマ屋の作るBEV」であるという。航続距離1,000kmってマジですか…
加藤プレジデントによれば、「次世代バッテリー技術の商品化」、「半導体生産技術の伸長」、「AIを使った車両デザイン検証の省力化」、「新モジュール構造であるギガキャストの採用」、「自走生産技術」といった、トヨタが近年開発し続けてきた技術がここ数年で一気に実用化すること、さらにBEVはプラットフォームの共用化により派生車種が作りやすいこと、ステアバイワイヤ技術の進化によりコクピット位置の自由化、これに「ワンチームによる素早い意思決定」が掛け算となることで、純ガソリン車やHV車ではありえない開発時間の短縮(複数車種の同時期投入)が可能だという。
もっと突っ込んだ話をすれば、ここまで開発期間を縮めないと生き残っていけない競争が、いま世界の自動車界で起こっており、BEVファクトリーはそれに勝ち抜く使命がある、ということなのだろう。
トヨタは本気だ。本気で5年後も10年後もトップの座を譲るつもりはない。ルーレットですべての目にコインを置くようにしてきた施策の多くがここ数年で花開きつつあり、しかもそこで得たコインを、さらに上乗せして賭けようとしている。この挑戦が成功するかどうか、答えは数年後に明らかになる。「クルマ屋が作る次世代BEV」、楽しみに待っております。
※加藤武郎(かとう・たけろう)氏プロフィール
1967年愛知県生まれ。1989年トヨタ自動車入社。ボデー設計部などでプラットフォームの企画と開発に携わる。2019年トヨタZEVファクトリーに異動。2020年にはBYDとの合弁会社BTET(BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー)に出向し、bZ3の開発リーダー(CTO)を務める。2023年5月BEVファクトリー・プレジデントに就任
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みんなのコメント
イーロンマスク「トヨタもNACSに入ればいいのに」
あれほど見下してたイーロンマスクが手をさしのべてくれてるよ?
自社で一つも急速充電器を持ってないトヨタがどうやって10分で充電出来るんだよ?
車しか作らなくていい時代はとっくに終わってるのにな
トヨタはナンにしても後追いで自社で発明した技術なんて殆どねんだよw
HV車だって起源はドイツだし殆どがモノ真似とパクリで他が出揃ったあとから作るw
今回は中華に丸投げBEVである程度車種が揃うまで凌ぐんだろなw
結局はトヨタオリジナルよりそっちの方が売れると思うけどなw