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未来のレクサスを先取り──新型NX450h+試乗記

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未来のレクサスを先取り──新型NX450h+試乗記

レクサスの新型「NX」の最上級モデルにして、PHEV(プラグ・イン・ハイブリッド)モデルの「NX450h+」に世良耕太が試乗した。レクサスの高級車、しかもSUVで味わえる“未来”とは?

NX350hの16.5倍ものバッテリー容量を確保

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“次世代レクサスの幕開けを象徴する”と、謳うNXには、4種類のパワーユニットが設定されている。

もっともベーシックなのは2.5リッター直列4気筒自然吸気エンジン(最高出力201ps、最大トルク241Nm)を搭載する「NX250」だ。この2.5リッターエンジンを専用にチューニングし、モーターやバッテリーなどを組み合わせてハイブリッドとしたのが「NX350h」である。2.5リッターエンジンの基本骨格をベースに、高出力化に最適な仕様変更を施した2.4リッター直列4気筒ターボエンジン(最高出力279ps、最大トルク430Nm)を積むのが「NX350」だ。スポーティグレードの位置づけである。

4番目のグレードにして最上級に位置づけられるのがNX450h+で、プラグ・イン・ハイブリッド車(PHEV)である。外部電源から充電可能なPHEVの設定は、レクサスブランド初だ。

NX450h+はNX250やNX350hと同じ2.5リッターエンジンを搭載する。ハイブリッド専用にチューニングした仕様になっているので、中身はNX350hのエンジンに近い。ただし、NX350hとNX450h+では電動系コンポーネントのスペックが異なるため、それぞれ専用のチューニングとなっている。

最高出力/最大トルクはNX350hが190ps/243Nmなのに対し、NX450h+は185ps/228Nmだ。NX450h+はNX350hよりもバッテリー容量が大幅に大きく、エンジンよりもモーターに軸足を置いた制御になるため、エンジンは出力よりも、より効率を重視した仕様としているのだろう。

フロントに搭載するモーターのスペックは同じで、最高出力/最大トルクは182ps/270Nmだ。NX350hには、モーターをフロントのみに搭載する2WDと、リアにもモーターを搭載するAWDの設定があるが、NX450h+はAWDのみの設定である。リアモーターのスペックは共通で、最高出力/最大トルクは54ps/121Nmだ。

AWD同士の対比でいうと、PHEVのNX450h+とハイブリッド車のNX350hの最大の差はバッテリー容量という点になる。NX450h+のバッテリー容量は18.1kWhだ。NX350hのバッテリー容量は公表されていないが、公表されているそのほかのスペックを元に計算すると1.1kWhの容量が弾きだされる。つまり、NX450h+はNX350hの16.5倍ものバッテリー容量を確保していることになるので、NX450h+はより電気自動車(EV)に近い走りが堪能できるのだ。

NX450h+の満充電からのEV航続距離は88km(WLTCモード)となる。リアルワールドの航続距離は70~80kmであると仮定すると、東京~横浜間を往復するようなドライブではエンジンの助けを借りずEV走行で事足りてしまう。

ちょっとした“優越感”が味わえる

トヨタ自動車は2021年12月14日に「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開き、プレゼンテーションでは豊田章男President & CEOが次のように説明した。

「レクサスは、2030年までにすべてのカテゴリーでバッテリーEVのフルラインナップを実現し、欧州、北米、中国でバッテリーEV100%、グローバルで100万台の販売を目指します。さらに、2035年にはグローバルでバッテリーEV100%を目指します」

というニュースを知ったうえでレクサス初のPHEVであるNX450h+でEV走行を行っていると、未来のレクサスを先取りして走っている気分になる。ちょっとした優越感が味わえるのがいいし、そうでなくても、実に気持ちがいい。

説明会では、開発が進むレクサス初のバッテリーEV、「RZ」を豊田President & CEOがテストコースで運転し、助手席の佐藤恒治President, Lexus International/Chief Branding Officerとやりとりをする場面が上映された。

佐藤氏が「レクサスらしいバッテリーEVを作りたい」と発言すると、それを受けた豊田氏は「EVなんだ。ということがわかるようにしたいよね。この四輪接地感が非常にいいね」と、返した。

すると、「レクサスの味として大事にしていきたいのはそういう感覚なんですよね。それは、けっしてバッテリーEVになったからといって失っていいものではなくて、守っていきたいんですよね」と、佐藤氏は応えた。その後、アクセルペダルをべた踏みした豊田氏の口からは「ええー! 別世界」「Woo Hoo!」と、感嘆の声が漏れた。

筆者はRZを体感していないので断定はできないが、NX450h+もおなじベクトルでクルマづくりがおこなわれたであろうことは容易に想像がつく。

“四輪の接地感が非常にいい”のはNX450h+もおなじで(車体骨格やサスペンションの作り込みがしっかりしているからだろう)、だから操っていて気持ちがいいし、アクセルペダルを強く踏み込んだときに「Woo Hoo!」と、声を挙げたくなるのも一緒だ。

胸のすく走り

前述したように、NX450h+が搭載するフロントモーターの最高出力は182ps、リアモーターの最高出力は54psだ。車重が2トtを少し超えるクルマを動かすには物足りないと思うかもしれない。エンジンに慣れ親しんだ感覚で判断すれば、そうなるのも致し方ない。しかし、モーターは見かけの数字以上に威力がある。力の出方がエンジンとは異なるからだ。

エンジンの場合は大きな力を出すのにある程度の時間がかかるが、モーターの場合は指令を出すと間髪を入れず瞬時に大きな力を出せる。だから、アクセルペダルを踏み増した途端、背中を蹴飛ばすような力を発生することが可能だ。NX450h+もそんな反応の良さと力強さを体感させてくれる。胸のすく走りとはこのことだ。

それが良さでもあるが、ハイブリッド・システムはドライバーの加速要求が強いと判断すると、エンジンを始動し、モーターとエンジンの力を合わせてドライバーの要求を満たそうとする。さすがにレクサスだけあり、エンジンが始動しても音の遮音は行き届いているし、耳に届くエンジン音は雑味がなく、あくまで上品だ。

ただ、エンジン音が“する”か“しない”かでいえば“する”ことは確かで、筆者もふくめ、NX450h+に乗るんだったら“ない”ほうがいいと感じる向きのほうが多いように想像する。

レクサスもそう考えたのだろう。NX450h+のデフォルト(通常)はEVモードだ。このモードでは、大きくアクセルを踏み込んでもエンジンは始動せず、モーターのみで走行する(ただし、電池残量が不十分な場合は自動的にエンジンが始動する)。

瞬間的なパワーのほうを重視する場合は、AUTO EV/HVモードを選択すればいい。

このモードを選択すると、アクセルを大きく踏み込んだときはエンジンが始動して、システム最大のポテンシャル(最高出力309ps)を引き出す。

NX450h+の真価が堪能できるのはEV走行だ。その場合、自宅などの保管場所に普通充電システムがあったほうがよい(ごく短時間で充電できる急速充電には対応していない)。

レクサス持ち前の走りの良さを際立たせるのがモーターの走りであり、その走りを存分に味わえる都会派のSUVが、NX450h+だ。

文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

6件
  • 日本には新型ハリアー、アメリカには新型タンドラ、セコイア、中東には新型ランクル、LX、そして全世界に対応可能な都市型SUVの新型NX…ちょっとトヨタ盤石過ぎません?
  • RAV4もだけど、これだけ大きくて重い電池を積みながら、燃料で走ってもTHSらしい高燃費なのが恐ろしい。

    重量増は加速時には大きなペナルティを払わないといけないけれど、回生で回収できるエネルギー量も増えるから、きっちり取り返してるんだろうな。

    これで運転が楽しければパーフェクトだけど、どうなんだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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