2005年はニューモデルラッシュとなった年で、現在のメルセデス・ベンツGLEにつながる、2代目Mクラスも登場している。1997年にデビューした初代Mクラスは大ヒット作となりプレミアムSUVの先駆者的存在となったが、その一方で“メルセデス・ベンツとしては・・・・”という課題も指摘されていた。当時の記事を振り返ると、2世代目での仕上がりがいかに注目されていたかわかる。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年2月号より)
SUVの先駆者といえるMクラスがいよいよ第2世代へ
1997年、アメリカのSUVブームに間に合わせるべく、米国アラバマ州のタスカルーサで生産を開始した初代メルセデス・ベンツMクラスは、最終的には62万台を超える台数を市場に送り出し、計画を15万台も上回る大ヒットとなった。
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この好成績を受けてダイムラークライスラーは6億ドルの資金を投入してタスカルーサ工場を改装し、従業員を4000人規模まで増員することを決定した。そして、この新しい環境下で、いよいよ2世代目Mクラスの生産が開始されることになる。このニューモデルは2005年初頭からまずアメリカ市場ヘ、そして夏からはヨーロッパをはじめ世界に向けて送り出される。
初代モデルの面影を残しながらも完全に若返ったニューMクラスは、全長4780mm(プラス150mm)、全幅191lmm(プラス71mm)、そして全高は8mm低く1768mmとなった。ボディ構造がこれまでのラダーフレームからモノコック式に変更された結果、キャビン空間が拡大し、シート前後のシート間は15mm伸びて880mmに、リアの膝まわりは35mm、そしてひじまわりは32mmそれぞれ拡大している。
搭載されるエンジンも新しい。まずガソリン仕様は、最高出力272ps/最大トルク350Nmを発生する4バルブ3.5Lの新世代V6ユニットがML350に搭載される。またトップモデルのML500には最高出力が306psへとアップされた5L V8エンジンが積まれる。ディーゼルエンジンは第3世代のコモンレールダイレクトインジェクションとピエゾ噴射ノズルを持った最新スペックのものが採用され、ML320dは224psの最高出力と510Nmの最大卜ルクを、またML280dは190psと440Nmをそれぞれ発揮する。
この進化したパワーユニットには最新のトランスミッションである7G卜口二ックが採用され、ドライバビリティと燃費の向上を約束している。
また、電子制御フルタイム4WDシステムと4ETSにはさらに改良が加えられ、ダウンヒルスピードコントロール、スタートアシスト、さらにオフロードABSなどが新たに採用されている。また本格的オフロード向けにはオプションでオフロードパッケージが用意されている。これはエクストラローを持った2段デストリビューションギアと、マニュアルあるいはオートマチックで切り替え可能なデフロック(前後のアクスルとリアアクスルに作用)、オフロード用エアマチックサスペンションで構成されている。
サスペンション構造は、フロントにアルミ製のAアームを持ったダブルウイッシュボーン、リアは4リンクとなっている。またタイヤはV6エンジン搭載モデルには標準で235/65R17、V8モデルには255/55R18がそれぞれ装着される。安全装備も充実しており、Sクラスで評判となった、事故に際して未然にパッセンジャーを守るプレセーフシステムもオプションで用意されている。
価格はまだ発表されていないが、おそらくドイツではおよそ4万5000ユーロ(約585万円)あたりからの設定となるだろう。(文:木村好宏)
メルセデス・ベンツML350(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高: 4780×1911×1815mm
●ホイールベース:2915mm
●重量:2060kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3497cc
●最高出力:272ps/6000rpm
●最大トルク:350Nm/2400-5000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後4リンク
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