一部改良を受けたスバルの新型「フォレスター」に設定された、近畿スバルグループ限定の特別仕様車「X-BREAK KS-01」に小川フミオが乗った!
100台限定
ハンドルを握っても悪くない──新型レクサスLM試乗記(前編)
スバルの新しいフォレスターに、見た目と機能性にこだわったというX-BREAK KS-01なる特別仕様が設定された。さっそく2024年1月に試乗。万能選手ともいえるフォレスターの魅力は健在と知らされた。
KS-01というサブネームは、そもそも5代目がSK型というコードネームをもっていることをひねったうえ、スバルのSと近畿のKの組み合わせではないかと私は推測。
なぜならこのモデル、大阪、京都、滋賀、兵庫という近畿スバルグループのみで販売する特別仕様だから。しかも2024年3月25日までの100台限定販売だ。車名にあるとおり、ベースはX-BREAK。北米向けのグレード「ウィルダネス」と共通のマットブラック仕上げの17インチ径ロードホイール、それにヨコハマのジオランダー・オールテレインG015(ホワイトレター入り)が組み合わされる。
くわえて、リヤゲートプロテクターと樹脂製カーゴステップパネル、さらにパナソニックナビパックが装備される。購入者にはシリアルナンバー入りオリジナルステッカーもプレゼントされるそうだ。
X-BREAKは、マイルドハイブリッドの2.0リッター水平対向4気筒ガソリンエンジンを搭載。エンジンの最高出力は107kWで、最大トルクは188Nm。モーターが65Nmのトルクを、発進時や加速時に上乗せする。
ドライブトレインは、シメリトリカルAWDと名付けられたスバル独自の全輪駆動。組み合わされる変速機には「リニアトロニック」なる無段変速だ。
数値的には、このご時世にあっては、たいしたものではない。輸入車ならターボ付きの1.5リッター車より低いぐらいだ。とはいえ、ものごとは数字だけで判断してはならない。ドライブフィールとしてはけっして力不足感はないからだ。
アクセルペダルを踏み込むと、モーターのアシストもあって、加速はすばやい。むしろトルクが出過ぎの感すらあり、アクセルペダルを意識的にゆっくりと踏み込んでやる必要すら感じる。そうではないと、頭がのけぞるような加速なのだ。
おそらくそれは、リニアトロニックの設定によるところも大きいだろう。軽くアクセルペダルに足を載せただけで、エンジン回転計はさっと2000rpmを超える。ドライブモードがステアリングホイールにそなわっており、「S」か「I」をマニュアルで選べるようになっている。
アクセルレスポンスのよさを重視した「S」モードは言うにおよばず、燃費を優先した「I」モードでも、十分な俊足ぶりを味わえるのだ。先述のとおり、低回転域からのトルクの出方に慣れないと、やや持て余しぎみに思うかもしれないほどだが、アクセルペダル(もうすこし重いほうが好み)操作に慣れれば、けっこう気持ちがいい。
足まわりの設定は、SUVの“S”、つまりスポーツのほうに寄った印象だ。操舵に対して車体の傾きは抑えられていて、アウトドア的なデザインコンセプトのX-BREAKだけれど、ファントゥドライブを重視するひとも満足できるだろう。
扁平率60%と昨今ではかなり厚めのヨコハマ製オールテレインタイヤは、乗り心地に貢献している。ふわついた感はなく、路面の凹凸を吸収してくれて、気持ちがよい。
操舵感覚の点では、切り始めのシャープさはやや劣る。そこはしょうがないのだが、ステアリングギア比がノーマルのまま、つまりけっこうクイックなので、タイヤのキャラクターとの齟齬があるにはある。といっても、これは慣れでカバーできる。
実用性の高いフォレスターは、人気が高いのはよくわかる。ボクシーなスタイルも機能美を感じさせて、2018年の登場以来、今にいたるまで古さを意識させない。そこもさすがだ。この先、フォレスターは変わっていくだろうが、全方位的によく出来ているX-BREAK KS-01、いいパートナーになってくれると思う。
文・小川フミオ 写真・田村翔 編集・稲垣邦康(GQ)
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