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WEY VV6を運転して、蘇州から上海入り──中国の自動車は進んでいた

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WEY VV6を運転して、蘇州から上海入り──中国の自動車は進んでいた

知り合いの中国のウエブサイトの編集者が、ぜひとも最新の中国車に乗ってみないかと声を掛けてくれた。

昨年も同じように、広州近郊のテストコースで何台か運転させてくれたのだけれども、車種が古かったり、タイヤのコンディションが良くなかったりで、あまり良い評価を下せなかった。

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「今度は期待して下さい。長城汽車が新しく始めたラグジュアリーブランドの新型車ですから」

今回は自信満々のようだ。

上海に着いて、さっそくレクチュアしてもらうと、そのクルマはWEYという新しいブランドによる「VV6」というSUVだという。

長城汽車というのは1984年に設立された中国最大の私有自動車メーカー。WEYは、その創立者であるウェイ氏の名前がメーカー名となっている。どうやら、マーケットのポジションとしてはレクサスのようなものらしい。

世界進出も視野に入れていて、2017年9月のフランクフルト自動車ショーに出展し、大きなブースを設営して話題となった。

そのWEYブランドが発売した「VV6」に乗った。上海から蘇州に移動し、広いテストグラウンドで白いVV6に対面した。

グルッと一周して眺めてみる。似ているクルマが思い当たらない。反対に言えば、現代のトレンドが適度に織り込まれていて、進み過ぎても遅れ過ぎてもいない。

ボディサイドまで回り込んだヘッドライトユニット、複雑な形状のフロントグリル、ゆるやかに凹凸が変化していくドアの断面、上下幅が狭めのグリーンハウスなど、最近のアーバンSUVの造形上の特徴がうまく消化されている。

特徴が薄いと言ってしまえばその通りだが、日本車や欧米のクルマにだってそうしたクルマはたくさんある。

確実に断言できるのは、中国のクルマも世界のトレンドのなかで同じように展開されるようになり、その一員となっているということだ。

以前は、世界のトレンドから少し離れたところに存在している感が強かった。だから、何か特定のクルマの一部分だけに強く影響されたと思しき造形がすぐに眼に付いたものだけれども、その段階は卒業したようだ。

このVV6もトレンドを巧みに消化し、それらと同じレベルのものを再表現するのではなくて、希薄とはいえオリジナリティを出そうとしているように見えてくる。そこがつい最近までの中国車との違いだ。

ドアを開けて高めの運転席に座る。シートやダッシュパネル、ドア内張りなどはダークブラウンの革張りで、ステッチはオフホワイト。シートにはパーフォレーションが穿たれており、シートヒーターだけでなくクーラーも備わっている。機能も申し分ないし、カラーコーディネーションのセンスもとても良い。

メーターパネルはフルデジタル化され、センターコンソールのトップにも大型液晶パネルが設置されている。

運転支援デバイスとしてはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)とLKAS(レーンキープ・アシスト)はもちろんのこと、なんと(LCAS)レーンチェンジ・アシストまで装備されている。

スマートフォンを接続して液晶パネルから操作することもできるし、音声入力によって各種の操作も可能だ。スマートフォンのワイヤレス充電も可能。

つまり、いま世界中のクルマが競って装備している運転支援とコネクティビティに関する装備は最新のものがすべて備わっているという先進ぶりだ。日本車よりも進んでいるだろう。

ただ、それらの装備はどの自動車メーカーも自社で開発したものではない。主力サプライヤーが開発し、自動車メーカーは導入するかどうか判断をするだけだ。だから、余計にWEYの経営判断が柔軟でトレンドを強く意識していると言える。

VV6のスペックを新型トヨタRAV4と較べてみよう。

VV6のボディサイズは、全長4625x全幅1860x全高1720mm。RAV4よりも15mm長く5mm細く、30mm高い。

VV6には2.0リッター4気筒ガソリン直噴ターボエンジンが搭載されている。最高出力165ps/5500rpm、最大トルク385Nm/1800~3600rpm。2リッターNAエンジンのRAV4よりも6馬力劣るが、178Nmも上回るのはターボ過給しているからだ。また、RAV4にはハイブリッド版もあるが、VV6はプラグインハイブリッド版が上海モーターショーで発表されたばかり。

VV6のトランスミッションは7速DCT。RAV4はCVT。VV6には前輪駆動版もあるが、試乗したのは4輪駆動版だった。

私有地内での限られた試乗だったが、昨年に広州で試乗した4台の中国車とは雲泥の差だった。

エンジンをはじめとするパワートレインの作動がスムーズな上に静かで、加速に必要十分なパワーを発揮している。高速域での加速やハンドリングなどは試せなかったが、80km/hぐらいまではまったく問題がない。

走行中のクルマだから、もちろんいろいろなノイズや振動などがパワートレインやサスペンション、タイヤなどを通じて車内に侵入してくるのだけれども、何かが突出してうるさかったり、激しかったりすることがない。各々が抑制され、それなりに調和が取れているから不自然に感じることがない。

目隠しして運転席に座り、予備知識ゼロで運転したら、どこのクルマだかわからないだろう。VV6じしんの設計年次が新しく、タイヤも新品でという諸条件を考慮したとしても、完成度は非常に高かった。

強いて指摘するとすれば、シートの各部分のサポートが少しモノ足りなく、このまま長距離を走ったらおそらく疲れるだろうということか。

価格は14万8000元から17万5000元(約234万円から277万円)。バリューフォアマネーだと思った。

翌日、上海モーターショーの会場でWEYのリュウ・ヤン副総裁に話を聞くことができた。

「VV6は、中国の顧客、特に若い人にもラグジュリアスなSUVに乗ってもらいたくて発売した。そのマーケットにはヨーロッパや日本からたくさんの競争相手が入ってきているが、われわれは長城汽車のコンポーネンツやリソースを用いることができるから、早くマーケットに送り出せ、価格面でも有利だ」

──どこに注力したのか?
「すべてに全力を注いだが、特に繊細かつダイナミックなデザインには自信を持っている。ヨーロッパ車はダイナミックで、日本車は繊細だが、我々のクルマはどちらにも負けていない」

プラグインハイブリッド版を発表したと前述したが、ヤン副総裁によるとピュアEVも2020年にはローンチするという。

「いずれ、海外マーケットにも輸出することを検討している」

VV6を運転して、中国のクルマの進化の速さに驚かされたと同時に、中国の自動車メーカーのすぐれて積極的な経営姿勢にも感心した。ブルーオーシャンそのものだ。

今年の上海モーターショーに出展してきたスタートアップEV企業の多さに眼を見張らされ、その中で一頭地を抜いているNIOのES8に乗って、それが絵空事ではない実感を得て、WEYのVV6を運転、EVだけでない中国の自動車産業の大きなうねりを心身で感じることができた。大きな刺激を受けた中国訪問だった。

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