1984年の初代400以来、GSX−Rは「サーキットでの勝利」を追求して進歩を続けてきた。GSX−R30年の歴史の中、レースカテゴリーの栄枯盛衰、レギュレーションの変更などを経て、現在最高峰モデルとして君臨するのがGSX−R1000。市販スーパースポーツの最高峰・スーパーバイク世界選手権や鈴鹿8耐で活躍するようになるまでの、その誕生の経緯を確認してみよう。
もっと小さく、軽く、そしてパワフルに!
GSX-RのDNAが高性能を追い求めさせる
80年代半ばから長らく、国内各メーカーの市販スーパースポーツ最高峰モデルは、スーパーバイクレースの4気筒マシンの排気量上限の750ccに合わせていた時代が続いた。
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もちろんリッタークラスのスーパースポーツモデルも存在していたが、その位置づけはどちらかというとスポーツツアラー的。
しかし90年代末頃から750ccのレースベースモデルとは別に、CBR900RRファイアーブレードやYZFーR1といった750ccにこだわらないパワフルな大排気量エンジンと、750ccマシンに負けない優れた運動性能を併せ持ったスーパースポーツへの注目が集まり始める。
スズキも1986年からGSX-R1100を生産していたが、やはりツアラー的な存在で、1998年限りで生産を終了。
以後しばらくGSX-Rシリーズのリッターモデルが空白となっていたが、2001年にファイアーブレードやR1に匹敵する新時代のスーパースポーツとしてGSX-R1000が投入された。
このモデルは車体やエンジンを専用に設計したライバルたちと異なり、2000年モデルのGSX-R750をベースにフレームを補強、エンジンの排気量を拡大することで誕生。
750用エンジンのボアとストロークを伸ばしたエンジンは、988ccと僅かに1リッターに届かなかったものの最高出力163PSとR1よりパワフルで、しかもストロークアップ効果で中低速トルクが太く、扱いやすさも備えることになった。
750譲りの車体はファイアーブレードより軽く、優れたハンドリングをもたらし、公道はもちろんサーキットでの走りも高く評価された。
2003年には早くもモデルチェンジを受け、専用設計のフレームを採用。
エンジンはポンピングロスの低減やラムエアダクトの改良、ECUの32ビット化で熟成が図られた。
そして2005年には再びモデルチェンジ。この年からスーパーバイクレースの排気量上限が1000ccとされたことに合わせ、レース参戦のために排気量を制限ギリギリの998ccまで拡大したのをはじめ、各部を見直して178PSにまで大幅パワーアップ。
軽量化もさらに進んで乾燥重量166kgとなり、パワーウエイトレシオが1kg/PSを切るという驚異的なスペックを実現。
2005年のスーパーバイク世界選手権のチャンピオンを獲得するなど、サーキット生まれであるGSX-Rの面目を躍如する大活躍を見せた。
常にサーキットでポテンシャルを証明するためめに、その後も進化は続く。
2007年の3度目のフルモデルチェンジでは185PSにまでパワーアップ、状況や好みに応じて出力特性を3つのモードに切り替え可能なS-DMSも搭載。
2009年のモデルチェンジでは、GSX-R750ベースのエンジンから、新設計のショートストローク設定とされた999ccエンジンに変更、フレームも一新してコンパクト化と軽量化を追求。
5回目のモデルチェンジは2012年で、車体の基本構成は従来型を受け継ぐが、エンジンの内部を大幅に見直すことでレスポンスの向上などを図り、完成度を大きく向上。
2015年モデルではABS仕様も追加。「ザ・トップ・パフォーマー」というコンセプト通り、最高の走りを味わえるマシンとしての地位を不動のものとしている。
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