現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ランクル250はやっぱスゲーぞ!! 「ランクル300」直系制御に心酔 オフロード試乗で見えたDNA!!

ここから本文です

ランクル250はやっぱスゲーぞ!! 「ランクル300」直系制御に心酔 オフロード試乗で見えたDNA!!

掲載 15
ランクル250はやっぱスゲーぞ!! 「ランクル300」直系制御に心酔 オフロード試乗で見えたDNA!!

 とんでもない納期とすぐ盗まれるほどの大人気なランドクルーザーシリーズ。今回はそんなランドクルーザーシリーズの中でも売れ筋だったプラドの後継車250系の最速試乗をレポートする

文:渡辺敏史/写真:小林岳夫

ランクル250はやっぱスゲーぞ!! 「ランクル300」直系制御に心酔 オフロード試乗で見えたDNA!!

■これだけ押さえればランクルマスター!! 長い歴史を振り返ろう

こちらは40系ランドクルーザー

 戦後の官用車入札向けに開発されたBJ型を祖とするランドクルーザー。そこから数えて73年の歴史の中では、市場の要望に応えるべく2回の枝分かれを経験している。

 一度目は60年に登場し、ランドクルーザーの名声を決定づけた40系をベースにした50系の誕生だ。貨客のためにより大きく快適なキャビンを持つモデルとして67年に投入されたそれは、以降60~300系という系譜をもってランドクルーザーシリーズのトップラインを構成してきた。

 二度目は84年に40系の直接後継として登場した70系をベースに乗用車としての性能を高めたミッドサイズのワゴンを祖とするライトデューティモデルの系譜だ。このラインナップは90年以降、一部市場ではプラドシリーズとして括られている。

 以降、ランドクルーザーのラインナップは直近まで、原点であり普遍でもある70系、頂点であり象徴でもある300系、そして生活・実用系モデルとしての150(プラド)系という3系統で支え合っている。が、ニーズに引っ張られるかたちでいつしか150系が300系の芸風に寄っていったことを省みて、本来の生活に根ざした実用性の高いクルマという原点回帰の立ち位置へと戻る方向を目指した。それが新しい250系の無骨な意匠へと繋がっている。

■受け継がれる魂… 250系には濃すぎるランクルの血が流れていた!!

この写真を見るだけで買う理由になってしまうほどのかっこよさが人気を物語っている。

 250系のデザインは、そういう精神を形にしたというだけではない。水平・垂直基調の造形は車両感覚が認識しやすく、更に前カウル部を低く採ることでボンネット端の見切りを直感的に掴めるよう工夫されている。

 更に150系より28mm低めたというというベルトラインは横側方の視認性を高め、縦長形状のミラーも側低部の見切りを広げながら、ミラーtoミラーの全幅を抑えた。実寸的には300系より僅かに全長が短い程度の差しかない250系だが、これらの工夫もあって運転席に収まるとその車格は明らかにひと回り小さく感じられる。

 オフロード試乗では狭小な林道的なコースを走る機会もあったが、そこでの取り回しの良さは明らかに250系の側に軍配が上がった。実は最小回転半径は僅かながら300系の方が小さいにも関わらず、だ。見えやすさや掴みやすさがいかに大事な要素かを思い知る。

 250系のプラットフォームは300系と同じGA−Fを採用。ホイールベースも同じで80系以降、ランクルの黄金比とされてきた2850mmを踏襲している。この新しいラダーフレーム採用が奏功して、車両全体の剛性は前任の150系に比べて30%向上した。サスは前がコイル式のWウイッシュボーン、後ろがラテラルロッド付のコイルリジットと、こちらも300系譲りでランクルの伝統をしっかり踏襲する。

■気になるエンジンは…? まさかの5種類ってマジ!?

汚れた姿がただの高級車ではなくギアとしてのランクルであること教えてくれる。

 パワートレインはグローバルで5種類用意されるが、日本仕様は共に4気筒の2.7lガソリンと2.8lディーゼルターボの2種類。共に型式的には先代150系からの継承となる。が、ディーゼルの1GD-FTV型はタービン径を小径化して過給のレスポンスを高めた一方で、最新の解析でインペラ形状に工夫を加えることにより同等のアウトプットが得られるように工夫されている。

 また、ミッションはFF用をベースに縦置きに変更して高トルク対応とした新開発の8速ATを採用、クラッチの多板化により大トルクでもフルロックアップに近いダイレクトな駆動伝達を可能とした。

 今回の250系の試乗車はそのディーゼルモデルのみ、そして登録前ということもありオフロードコースでの走行のみとなった。グレードは最上位のZXで、前スタビライザーをフリー化するSDMをシリーズでは初搭載しているほか、路面状況に応じて駆動配分や応答性を最適化するMTSなど、他グレードではオプションでも選べない悪路走破向けデバイスが標準装備となる。

 加えて、ドライブフィールの比較用を兼ねて、ビッグマイチェンが施されたばかりの70系と300系のGRスポーツ、そして150系も用意された。

 最初に走ったのはモーグル路と岩石路。共にサスストロークを含めたトラクション能力が試されるところだが、ここでの250系の印象的な振る舞いといえば、そういう悪環境でも至極快適ということだ。四輪が不規則に伸びながら大きな凹凸を捕まえていくシチュエーションではキックパックで手が持っていかれがちだ。

 操舵形式にリサーキュレーティングボールを用いる70でもさすがにリジットサスの癖は隠せず、ステアリングが左右に揺すられる。

 250系は独立サスに加えてヘビーデューティユース向けに新設計された電動パワーステアリングの効果があらかたで、キックバックの類は大きく抑えられていた。加えてスタビライザーがフリー化するSDMが、足着き性を高めるだけではなく大ストローク時のショックも和らげるなど、悪路での乗り心地の側にさえ効いている。

丸目のヘッドライトがアースカラーにベストマッチ

 とあらば、300系との差異は限りなく無に等しいようにも窺えるが、そこは300、厳然たるフラッグシップである。凹凸の踏み越えや段差落ちなどのショックの柔らかさは250系よりも更に一枚上手な上、GRスポーツの標準装備となるE-KDSSは250系のSDMよりも更に長いトラベルを積極的に路面に押し付ける効果もあって、岩石路では快適かつ安楽にセクションを走り抜けた。総じて同じ悪路での動的質感は、なぞらえるならかつてのマーク2とクラウンくらいの違いがあるように感じられた。

■70系、250、300一体どれを選べばいいの!?

どれも喉から手が出るほど手に入れたいランドクルーザーシリーズ

 今回、取材現場へは編集部のSさんがディーラーを6軒回って手に入れることが出来たという新しい70系で赴いたが、その道中の高速で驚かされたのは乗り心地が劇的に洗練されていたことだった。聞けばワゴンボディを1ナンバーではなく3ナンバーモデルとして販売するにあたり、エンジニアは日本仕様の足回りのチューニングを大きく見直したという。

 その効果はオフロードコースでもみてとれたが、さすがにその快適性は300や250系に準ずるほどではない。但しそれを補える要素として、デバイス介入を最小限に抑えたフィードバックの濃密さを筆頭に、直感的な操縦感によって得られる走りの歓びのようなところは、どのモデルよりも充実している。

 同種の歓びは150系にもあって、デバイスと協働しながらも、最後は自らの手さばき足さばきでクルマを凹凸の向こうに押し込んでいくアナログ的な操縦感覚が程よく残っている。対すれば250系や300系は無敵すぎるだろうという贅沢な不満はさもすれば一部のオフロードマニアからは聞こえてくるかもしれない。

 そういう面も鑑みながら、悪路ともしっかり戯れたいクルマ好きにとってのベストチョイスな250系は何かといえば、浮上するのが最安グレードかつディーゼルとなるGXだ。官公庁やNEXCOへの納入も前提に、全幅を1940mmに抑えたというそれは、装備的にはショボいがACCを始めとするADASや、画面小さめ画素数粗めながらもカメラ映像による視界補助など、機能的装備に致命的な欠落はない。

 MTS、SDM、リアデフロックなどはオプションでもつけられないが、センターデフロックに加えてクロールコントロールのオマケもついてくるから、大抵のセクションをクリアする自力は備えている。

先代プラドとは一線を画す質感だ。

 ヒーターもない丸腰のファブリックシートは、トヨタ社内の使用済みのペットボトルも用いられるという再生素材を使っていて、そのざっくりした風合いはむしろ好んで選びたくなるほどだ。ステアリングはウレタンだが悪路を走る分には埃も拭き取れるなど、かうって都合がいい面もある。

 図らずもアニマルフリー内装であることに加えて、外装も加飾要素がほぼ無に等しく、その道具箱的デザインが一層引き立つなど、その内容は520万円の値札を納得させるに充分なものだ。但し、ナロー化のおかげでタイヤサイズは245/70R18と特殊になっているので、カスタム前提でなければA/TやM/Tタイヤのリプレース品は登場を期待するしかないのが現状でもある。

 現在注文を受け付けていない300系もGXは510万円と更に安い奇跡の価格設定になっているが、昨今の資源高云々に加えて250系との立ち位置が近い状況を鑑みると、マイチェンのタイミングで価格改定は必至、なんとあらば国内向けはグレード廃止の可能性も考えられなくはない。言い換えれば250系のワークホース&デイリーユースとしてのポテンシャルはコスパも含めて相当よく練られたものといえるだろう。

【画像ギャラリー】購買意欲が収まらないよ!! かっこよすぎる250系ランドクルーザーを画像でチェック!!(6枚)

投稿 ランクル250はやっぱスゲーぞ!! 「ランクル300」直系制御に心酔 オフロード試乗で見えたDNA!! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

こんな記事も読まれています

ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
ベストカーWeb
[パジェロ]の弟分がスゴかった!! 超絶頑丈な背面タイヤ仕様がカッコよかったのよ
[パジェロ]の弟分がスゴかった!! 超絶頑丈な背面タイヤ仕様がカッコよかったのよ
ベストカーWeb
レクサスが100万円代で買えちゃう!!!! お財布の紐を締めても[ハイソ感]が味わえる[国産サルーン4選]
レクサスが100万円代で買えちゃう!!!! お財布の紐を締めても[ハイソ感]が味わえる[国産サルーン4選]
ベストカーWeb
ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
ハンドリング 乗り心地 ダウンサイジング 過給エンジン……日本車が越えられないと言われ続けてきた「壁」
ベストカーWeb
[GRカローラ]に試乗してふと思った!! カローラセダンの4WDターボを熱烈希望!!
[GRカローラ]に試乗してふと思った!! カローラセダンの4WDターボを熱烈希望!!
ベストカーWeb
CX-8より大幅レベルアップか!? 新型CX-80は超絶快適なハズ!! 長距離も全然イケる快適3列シートSUV7選
CX-8より大幅レベルアップか!? 新型CX-80は超絶快適なハズ!! 長距離も全然イケる快適3列シートSUV7選
ベストカーWeb
ホンダ縦置き5気筒!! しかも前輪駆動って……変態ホンダ車列伝
ホンダ縦置き5気筒!! しかも前輪駆動って……変態ホンダ車列伝
ベストカーWeb
アルファードより650万円高で何が違うの!? レクサスLM6人乗りの存在意義って!?!?
アルファードより650万円高で何が違うの!? レクサスLM6人乗りの存在意義って!?!?
ベストカーWeb
新車の[ランクル250]が180万円も安く!! コスパ最強の[廉価グレード]は納期まで早くて最高じゃん!
新車の[ランクル250]が180万円も安く!! コスパ最強の[廉価グレード]は納期まで早くて最高じゃん!
ベストカーWeb
見た目は「小さなカイエン」? マツダ2ベースのSUVってありじゃない? マツダよ「ベリーサ」を復活させてくれ!
見た目は「小さなカイエン」? マツダ2ベースのSUVってありじゃない? マツダよ「ベリーサ」を復活させてくれ!
ベストカーWeb
大苦戦[CX-60]も見習うべきじゃ…CX-7激安だったんじゃないか説!! 当時から先進装備マシマシ!! しかも今見ると不思議とカッコよくない!?!?
大苦戦[CX-60]も見習うべきじゃ…CX-7激安だったんじゃないか説!! 当時から先進装備マシマシ!! しかも今見ると不思議とカッコよくない!?!?
ベストカーWeb
小さいのに存在感バツグン!! [ライズ/ロッキー]は車内も荷室も広々! ハイブリッドをオススメするワケ
小さいのに存在感バツグン!! [ライズ/ロッキー]は車内も荷室も広々! ハイブリッドをオススメするワケ
ベストカーWeb
マイナーチェンジされた新型ヴェゼルをリアルワールドで試乗、クラストップレベルの走りを実感
マイナーチェンジされた新型ヴェゼルをリアルワールドで試乗、クラストップレベルの走りを実感
月刊自家用車WEB
ビートルの元は軍用車だった? 庶民でもクルマが買える世の中にするために作られたクルマ達
ビートルの元は軍用車だった? 庶民でもクルマが買える世の中にするために作られたクルマ達
ベストカーWeb
もう負けられない[新型エルグランド]!! [アルファード/ヴェルファイア]を倒す必勝法ってなに!?!?
もう負けられない[新型エルグランド]!! [アルファード/ヴェルファイア]を倒す必勝法ってなに!?!?
ベストカーWeb
今中古車で大人気!! スムーズでトルクフルな走りがめちゃ楽しい! ボルボ V40T5 Rデザイン試乗プレイバック
今中古車で大人気!! スムーズでトルクフルな走りがめちゃ楽しい! ボルボ V40T5 Rデザイン試乗プレイバック
ベストカーWeb
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】国産車最後の5ナンバーサイズFRクーペ[ロードスタークーペ]
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】国産車最後の5ナンバーサイズFRクーペ[ロードスタークーペ]
ベストカーWeb

みんなのコメント

15件
  • koc********
    受注停止して買いたくても買えないような車の試乗記事って必要なの?
  • rwa********
    記事を勝手に書くことはどうでもいいが、現実問題として購入したい車を買うことが出来ない現実を取材するべきだろ。車の性能云々をレポートしたところで意味がない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1235.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
GXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1235.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村