各メーカーのモデルサイクルや新車スケジュールを調査していくと、2018年以降トヨタの高級モデルが一斉に新型へと切り替わり、販売上大きなターニングポイントとなることがわかりました。なにしろクラウン、アルファード/ヴェルファイア、スープラ、センチュリーがすべて来年中にフルチェンジ、マイチェン、復活を控えています。本企画ではそんなトヨタの新車大攻勢を、ひとつひとつ紹介してゆきます。
文:ベストカー編集部
ベストカー2017年11月26日号より
■クラウン(フルチェンジ)2018年夏登場(6月か)
日本発売熱望! スバルの新型SUV アセント 新開発エンジンは大注目!!
東京モーターショーに「クラウンコンセプト」の名前で登場した新型クラウン。このままのスタイルで来年夏に正式デビューとなる。
ボディサイズも発表されており、全長4910×全幅1800×全高1455mm、ホイールベース2920mm。新開発TNGAプラットフォームを採用し、ニュルブルクリンクで走りを鍛え上げたと説明されている。
エンジンなどは未発表だが、ベストカーが入手している情報では、直4、2L直噴ターボと2.5Lマルチステージハイブリッドの2本立て。このハイブリッドはレクサスLCで初採用された10段変速制御を備えた新しいハイブリッドで、ダイレクト感あふれる走りが持ち味。この美点はクラウンにも受け継がれることになる。
また、最新のコネクティッドシステムも全車標準装備され、クルマの新しい楽しみや安全性を構築。ニュルで徹底的に鍛えたという走りとともに、これまでのクラウンとは異なる世界観を示してくれることになりそうだ。
■アルファード(マイチェン)2018年1月登場
東京モーターショーには出品されていないが、アルファード/ヴェルファイアが年末発表、2018年1月発売でビッグマイナーチェンジを受ける。その内容が判明したので報告しておこう。
まずバリエーションが変わる。現在はアルファードが標準で、ヴェルファイアがそのカスタムバージョンという位置づけだが、マイチェンで両車に標準モデルとエアロモデルが設定され、それぞれ別の顔つきのモデルが用意される。
また、V6、3.5Lエンジンを2GR-FEから2GR-FKSに変更。これにより最高出力が300psオーバーを表示する可能性が高いのだ。まだ確定的な情報ではないが、レクサスGSなどに積まれている同型エンジンは318psなので、アル/ヴェルもほぼ間違いなく300psを超えてきそうだ。また、ハイブリッドもさらなる進化が期待できる。
もちろん、安全装備も充実。トヨタセーフティセンスPが標準装備となり、緊急自動ブレーキの性能が大幅に向上。レーダークルーズコントロールも停止まで制御する全車速追従型となり、渋滞時などでのイージードライブを実現する。
来年で登場から3年目を迎えるアル/ヴェルだが、このマイチェンで商品力を向上。さらに人気が続きそうだ。
■スープラ(復活)2018年秋登場
残念ながら東京モーターショーでは公開されなかった、NEWスープラだが、来年のデトロイトショーでワールドプレミアとなり、秋には日本でも発売となる。
これまでもお伝えしてきたとおり、BMW Z4と兄弟車の関係にあり、パワートレーンもBMWのものを使う。エンジンは直6、3Lターボと直4、2Lターボをラインアップ。直4、2Lエンジンは255ps仕様と200ps仕様があるというから、3つのエンジンとなる。
久々に味わう直6ターボの走りはどんなものなのか? 当然将来的にはGRモデルも用意されるはずで、そちらも楽しみだ。
■GRハイブリッドスポーツ(新規)2019年春頃(?)登場
2017年9月に一挙11車種のニューモデルを投入した「GR」が、東京モーターショーに出展したのがGR HV SPORTS conceptだ。一見86の改造車に見えるが、中身はWECに挑戦するTS050 HYBRIDからフィードバックされたハイブリッド技術THS-R(トヨタハイブリッドシステムレーシング)を搭載すると発表されている点に注目。
次期86はスバルのBRZとともに共同開発されているが、次期モデルにはスポーツエンジンだけでなく、ハイブリッドは不可欠。そのたたき台として提案したモデルといえばいいかもしれない。
パワートレーンの説明はないが2ℓ水平対向エンジン+モーターの高出力スポーツハイブリッドとなれば、スバルファンも大歓迎だろう。
■センチュリー(フルチェンジ)2018年夏登場
プロトタイプモデルとして東京モーターショーに姿を現わした3代目のセンチュリー。パワーユニットはLS600hに採用されたV8、5Lハイブリッドを搭載し、新型LS(V6.3.5L+モーター)より格上をアピール。
ひと目でセンチュリーとわかる重厚感のあるデザインが特徴で、二重構造となるグリルの縦格子の奥側やクリアランスランプに七宝模様をあしらうなど、日本の伝統美を意識したものだ。初代登場は1967年、2代目が1997年だから、3代目も20年は作られるはず。
■カローラ(フルチェンジ)2018年夏~秋登場
12代目となるカローラはついに3ナンバーとなって来年春にもデビューする。セダン、ワゴンに加えて、ゴルフGTIのライバルになりそうなホットハッチモデルの投入が期待される。
パワートレーンは1.5Lのハイブリッドだが、GTIグレードは2Lターボかもしれない。
チーフエンジニアの小西良樹氏は、ベーシックさのなかにスポーティさを求めるとし、カローラ店の大きな期待もあって、相当開発に力のこもったクルマとなることは確実だ。
■Tjクルーザー(新規)2019年春頃(?)登場
東京モーターショーに出展されるTjクルーザーはトヨタ伝統の「クルーザー」を名乗るだけに、ショーモデルではなく開発が進んでいることは確実。和製ミニクロスオーバーとして人気沸騰か。
■GRスーパースポーツ(新規)2020年頃(?)登場
友山茂樹GRカンパニープレジデントはGR専用モデルの開発も行っていきたいと語っているが、トヨタブランドの頂点となるスポーツカー開発が始まっている。
パワートレーンはWECを戦うTS050からフィードバックされたトヨタハイブリッドシステムレーシングとなる。TS050は2.4L直噴ターボ+モーターで、エンジンで500ps、モーターで500psという超強力なスペックだが、GR専用スポーツもシステム出力で700~800psにはなるはずで、ポルシェ918を凌駕するモデルになるはずだ。
■レクサスLC F(新規)2019年秋(?)登場
今年3月に登場したフラッグシップ2ドアファストバッククーペのLCに、早くもハイパフォーマンスモデルが登場する。その名もLC F。レクサス車のなかでも走りの最新テクノロジーが投入された「F」の称号を掲げるフラッグシップモデルだけに、その内容もハンパじゃない。
ベースのLCはV8、5L DOHCとV6、3.5L DOCH+モーターのハイブリッドの2本立てだが、LC Fは新開発のV8、4Lツインターボが670ps/66.3kgmを搭載。いわゆるダウンサイジングターボではなく、純粋にパワーを求めたハイパフォーマンス直噴ターボとなる。
国産モデルではGT-R NISMOの600ps/66.5kgmが最強だったが、あくまでGT-Rはレーシングマシンに近い存在で、そのライバルはポルシェ911ターボ。そこにラグジュアリーなスポーツクーペであるLC Fが割って入ることになる。
また、ベースとなるLCにはオープンモデルのLCコンバーチブルの開発が正式にスタートしたこともキャッチした。このコンバーチブルも2019年秋には追加設定されそうで、こちらのエンジンはLS500hと同じ421ps/61.0kgmを発揮するV6、3.5Lツインターボ1本となる予定。
■レクサスUX(新規)2018年冬登場
日本での販売開始から12年が経過したレクサスだが、その販売台数を伸ばす「尖兵」となるのが、グローバルで売れ筋カテゴリーとなっているコンパクトクロスオーバーSUV。販売好調なトヨタC-HRのレクサス版と噂されていたのがレクサスUXだが、プラットフォームを共用するものの、別車種として2018年冬に登場する。
注目のパワートレーンは新開発となる渾身のダイナミックフォースエンジンの2L及び2.5L NA、それに2.5Lハイブリッドとなりそうで、1.8Lハイブリッドと1.2Lターボの2本立てとなるC-HRとは差別化が図られる。想定されるターゲットはアウディQ3で上質さがウリだ。
ちなみに2.5L NAエンジンは40%、2.5Lハイブリッドは41%の最大熱効率が図られ、ミッションはNAが8AT、ハイブリッドはマルチステージTHSIIとなる。走りにも力が入れられており、期待できそうだ。
■レクサスGS F(フルチェンジ)2018年春登場
2012年にデビューした現行型GSも5年を経過し、次期型GSの存在が気になってくるところ。現行型GSのパフォーマンスモデルとなるGS Fは2015年に登場したが、次期型GS Fには冒頭のLC Fと同じ新開発のV8、4Lツインターボ(670ps/66.3kgm)が搭載されそうだ。
現行型は477ps/54.0kgmの2UR-GSE型V8、5L DOHCを搭載しているが、次期型GSFはLC Fと同じパワーユニットを搭載することでハイパワーセダンの頂点を目指すことになる。
■レクサスLS F(新規)2018年夏~秋登場
発表になったばかりのレクサスLSだが、来年には早くもFが追加となる。ライバルのメルセデスにAMG S63があるように、専用の足回りとパワーユニットを与えられたスーパープレミアムの誕生となる。
パワーユニットはLC F同様V8の4Lツインターボが与えられ、スペックも670ps、650Nm(66.3kgm)あたりまで、引き上げられそうだ。
AMG S63は同じV8、4Lツインターボで612psだから、パワーで上回る。専用チューニングの足回りと世界最高峰のトランスミッションともいわれる10速ATと組み合わされ、どんな走りを見せるか、注目だ。
■レクサスLS FCV(新規)2019年秋(?)登場
世界のフラッグシップとなるべくLSにはFCV(燃料電池車)も追加される。前回のモーターショーではLF-LCとして出展され、その後開発が進み、2年後の発売を目指す。
すでに市販されているMIRAIは114kW(155ps)のFCスタックだが、LSでは150kW(204ps)になり、大パワーを手に入れそうだ。
しかもMIRAIと違ってFRベースの4WDとなり、安全性や安定性においても、世界トップクラスとなり、メルセデスやBMW、アウディといったプレミアムブランドをリードするはずだ。
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