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【売る場所が違う】スバルと三菱 コロナ禍で業績に明暗 コロナ後の方針も、はっきり異なる

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【売る場所が違う】スバルと三菱 コロナ禍で業績に明暗 コロナ後の方針も、はっきり異なる

スバル/三菱、トヨタ/ホンダと大違い

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】スバル/三菱を支えた2台 コロナ後に期待したい2台【内外装ディテール】 全94枚

改めて、SUBARU(スバル)と三菱自動車工業(三菱)の違いが浮き彫りになった。

主力市場が違うためモデル構成が違い、経営体質も違う。

トヨタとホンダに続き、スバルと三菱が2020年3月期の決算発表を行った。

まずスバルだが、他メーカーが減収減益だったのに対し、販売台数も営業利益も前期比でプラスを維持した。

連結売上は前期比6.0%増の3兆3441億円。全世界販売台数が同3.3%増の103万4000台となった。

どこで、どのモデルによって販売増となったのか?

最も大きかったのはアメリカだ。同市場では小さめのミドルサイズSUVであるフォレスターと、日本未導入のミドルサイズSUV「アセント」の販売が伸びた。

アメリカは現在、市場全体の約6割をライトトラックと呼ばれるSUVとピックアップトラックが占める。

スバルは2000年代にアメリカ市場を最優先する商品戦略へと大きく舵を切り、販売網の大再編によって販売奨励金を抑制し、値引きせずに売れるブランドへと転身した。

その結果、2020年3月期でみると、グローバル販売のうちアメリカが68%を占めるという経営体質となっている。

アメリカでの新型コロナウイルス感染拡大の経済活動への影響が今年(2020年)3月中盤以降に顕著になったため、今回の決算には大きく響かなかった。

では、日本での実績は?

日本市場、グローバルの12%に過ぎず

2020年3月期、日本での販売実績は前期比7.7%減の12万5800台。

このうち、登録車が10万1900台、軽自動車が2万3900台となった。

スバルはグローバルで日本市場が12%に過ぎず、アメリカ市場の5分の1以下。

自動車市場規模では日本はアメリカの3分の1程度なので、改めてスバルは日本よりアメリカでの販売が強いことがわかる。

ただし、スバルは地域別モデルがほとんどない、グローバルモデル戦略なので、日米市場でのモデルラインナップの違いは、アメリカのアセント、日本の軽、そして日本のレヴォーグだけだ。

2020年3月期の国内販売減少の要因についてスバルは「インプレッサの減少などにより」と説明している。

新型の車体骨格「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」により運動性能が飛躍的に向上した「インプレッサ」、「XV」、そして「フォレスター」という、ここ数年の新車導入の流れ。

やはり待たれるのは、日本市場最優先での開発と言っても過言ではない「レヴォーグ」だ。

2019年東京モーターショー、2020年東京オートサロンと、徐々にその全貌が明らかになっており、「今年後半」(スバル広報部)の発売が待たれる。

2021年3月期の見通しは未定としているが、レヴォーグ効果でコロナ影響をどこまで食い止められるかに注目だ。

一方、三菱の決算は赤字となった。

三菱、販売減少は世界各地域に及ぶ

三菱の2020年3月期決算は厳しい内容だった。

販売台数は前期比9%減の112万7000台。売上高は同10%減の2兆2703億円。営業利益は89%減の128億円で純利益では258億円の赤字となった。赤字となるのは3期ぶりだ。

販売減少は世界各地域に及んでいる。

グローバル販売で4分の1を占めるアセアン(東南アジア)で、同9%減。アセアンからの輸出に頼るオーストラリア・ニュージーランドが同14%減、中国が同12%減、北米が同8%減、欧州が同9%減、そして日本が同10%減となった。

三菱は2000年代中盤以降、アセアンシフト戦略を明確化。海外のマザー工場ともいえるタイの生産拠点を中核に、インドネシアとフィリピンそれぞれでの生産と販売を強化してきた。

なかでも人口が世界第四位(約2億6400万人)のインドネシアでは、3列シートのMPV(マルチ・パーパス・ヴィークル)市場が大きい。

三菱は「エクスパンダークロス」を投入し、タイ、フィリピン、ベトナムのMPVセグメントで販売トップとなった。

今回の赤字転落からの回復に向けた「選択と集中」。固定費を2015年水準で20%以上削減。アセアン市場へのさらなる投資し、商品ラインナップの根本的な見直しに着手する。

そうなると、日本市場ではアウトランダーはPHEV含めたフルモデルチェンジが期待されるも、噂のEV版SUVで「エボリューション」復活の芽は消えたか?

スバルと三菱、進む道は大きな違いが

2020年3月期決算で、明暗がわかれたスバルと三菱。

だが、コロナ後を見据えた2021年3月期は、2社ともに先行きは不透明な情勢だ。

アメリカ市場偏重のスバルは、4月以降で「6割の販売店がなんらかの影響を受けている」(スバル中村知美社長)という。

現時点(5月22日)でアメリカ全州で段階に経済活動は再開されているが、自動車販売の回復は極めて緩やかだ。

当面、フォレスターとアセントが販売を支え続けなければならない。

また、中期的にはEV共同開発など、トヨタとの技術連携がどう進むかが、次世代スバルの方向性を大きく左右するだろう。

一方の三菱は、アセアン最優先を強化しつつ、ルノー・日産との連携を再構築する可能性がある。カギとなるのは、厳しい経営環境に追い込まれている日産の「選択と集中」だ。

日本市場では当面、軽自動車事業が軸足。日産との合弁企業NMKVによる、製造元としてのさらなる収益向上を見込む。

スバルと三菱、コロナ後も進む道は大きな違いが出てきそうだ。

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みんなのコメント

1件
  • いやいや、スバルだって北米市場の回復如何によっては、今期はどうなるかわからんだろう。
    逆に言えば、北米経済が立ち直らなければスバルは7~8割のマーケットが棚落ちすることになるんだぞ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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