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【AMG製SUVの頂点】メルセデスAMG GLS 63 V8+マイルドHVで625ps

掲載 更新 4
【AMG製SUVの頂点】メルセデスAMG GLS 63 V8+マイルドHVで625ps

4.0L V8ツインターボ+マイルドHV

text:Yoshi Kimura(ヨシ・キムラ)

【画像】GLSとRS Q8、ベンテイガを比較 全106枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


増え続けるメルセデスAMGのハイパフォーマンスSUVの中でも、先輩格に当たるGLS 63。3代目のGLSをベースとし、北米で生産される。搭載するエンジンは、AMG製の4.0LツインターボV8だ。

時流に合わせて電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドを採用し、電気モーターのアシストによる動力性能と燃費の向上を図っている。エンジン単体での最高出力は611ps/5750rpmとなり、エネルギーの回生もまかなう電気モーターの出力は22ps。

システム総合での最高出力は625psで、AMG製の9速ATと4輪駆動システム、4マティック+を介して突き進む。先代のGL 63が積んでいた、廃盤となった5.5L V8ツインターボより48psもパワフルだ。

エンジンの最大トルクは86.3kg-m/2250-5000rpmとなるが、25.3kg-mのトルクを持つモーターと協働し、フルスロットル時には短時間ながら111.7kg-mにまで高めることもできる。

0-100km/h加速は4.2秒。最高速度は249km/hでリミッターがかかるが、オプションのドライバーズ・パッケージを選択すれば280km/hにまで引き上げることも可能。このパッケージでは、タイヤも最高速度に合わせて変更を受ける。

車重2555kgもあるGLS 63だが、アクセルオフ時のコースティング機能や、減速時のエネルギー回生など、いくつかの燃費向上手段が盛り込まれている。だがWLTP値での燃費8.3km/Lと、273g/kmというCO2の排出量は、褒められる数字とはいいにくい。

スポーツカーのように鋭く加速する

シャシー面では車速感応式の電動パワーステアリングやアダプティブ・エアサスペンションを採用。ブレーキはフロントが400mmのスチール製ディスクに6ピストン・キャリパー、リアには370mmのディスクにシングルピストン・キャリパーが組み合わされる。

ドライブモードのAMGセレクトには、いつものコンフォートとスポーツ、スポーツ+、インディビジュアルに加えて、オフロード用の2種類が追加。トレイルかサンドを選べば、最低地上高は55mm上昇し、エンジンとシャシーの設定は路面に最適化される。

エクステリアの変更点で目を引くのが、パナメリカーナ・スタイルのフロントグリル。フロントバンパーはスプリッター部分が強調された、新デザインとなっている。

ヘッドライトはLEDが標準。ホイールアーチは広げられ、片側2本出しのツイン・マフラーカッターと大きなリアディフューザーが、後ろ姿もアグレッシブなものに仕立てている。

GLS 63を一般道で走らせてみる。7シーターのラグジュアリーSUVが、まるでスポーツカーのように鋭く加速し、またたく間に高速域へと到達する。ほかのSUVではなかなか味わえない。交通標識の読み取り機能が付いていて、思わず出しすぎたスピードを教えてもくれる。

その加速を支えるのが、電気モーターも加勢する3桁の最大トルク。1500rpmを超えれば充分に湧出し、AMG製の大型SUVへ新次元のパフォーマンスを与えている。立ち向かえるのは、ライバルモデルの中でもベストと呼べる仕様を持つクルマだけだろう。

スポーツ・モード以上を選べば、アクセルペダルをわずかに踏んだだけで充分な前進力が得られる。気がつけば高速巡航で目的地への距離を削り、エグゾーストから響く美しく深みのあるバリトンボイスの伴奏が心地いい。

峠道が楽しいと感じるほど

エンジンの良いパートナーとなっているのがトランスミッション。標準のGLSよりも素早く必要な段数を選んでくれる。

GLS 63の走りは、身体がシートに押し付けられる加速だけではない。スピードを緩めてコンフォート・モードを選べば、とても上質な長距離クルーザーへと性格を変える。

ドライブモードでスポーツとスポーツ+を選ぶと、120km/h以上でエアサスペンションは自動的に車高を20mmダウン。コンフォートモードでも10mm低くなる。

23インチというオプションの大径ホイールを履いていても、しなやかな乗り心地を残している。ライバルとなる高性能SUVで最も快適なモードを選んでも、敵わないとすら感じる上質さだ。

3世代目のGLSから大幅な技術的な改良を受けているGLS 63。乗り心地にその成果が出ている。高いギア比での中間加速も、素晴らしく洗練されている。

アクティブ・エンジンマウントは、コーナリング時には引き締まり、強力なパワーユニットをしっかりと支持。直線路では柔らかさを増し、凹凸があってもエンジンが生む振動を軽減してくれる。

電子制御のアクティブ・アンチロールバーは、コーナリング中のボディーロールを軽減。直線では柔らかくなり、乗り心地への影響を抑えてくれる。

4輪操舵を装備する一部のライバルほどではないにしろ、この大きさと車重を考えれば、ワインディングでの機敏な身のこなしには驚かされる。先代のGLS 63と比較すれば、操縦性の正確さは、大きな進歩。峠道が楽しいと感じるほど。

選ぶべきはGLS 63か、GLE 63か

4輪駆動システムの4マティックは、標準の電子制御リミテッド・スリップデフが組み合わされる。リアタイヤで得られるグリップが足りなくなるまでは、基本的には後輪駆動がベース。必要なら、最大50%の力を前輪に伝えることが可能。抜群のトラクションを生み出す。

インテリアの仕立ては、従来通りのAMGらしさを漂わせる。専用の計器パネルにステアリング、フロントシートやインテリアトリムはAMGの専用品。

メーターパネルとインフォテインメント・システムは、高品質な12.3インチのツインモニターで対応。メルセデス・ベンツ製の最新版MBUXインターフェイスで稼働する。画像はとても高精細だった。

反面GLS 63は、ハイエンドSUVらしい、特別感がインテリアで薄いことも確か。多くの部分で、一回り小さいGLE 63との近似性を感じてしまう。

大きなボディだから車内は広々。3列シートにはちゃんと7人が座ることができるし、荷室容量は355Lが残る。3列目を畳んで5名乗車とすれば、890Lの荷室空間が生まれる。

メルセデスAMG GLS 63の能力の振り幅には感心する。北米市場では、一定の支持を受けることだろう。一方で先代比で77mm長く、22mm広がったボディは、英国や日本の道に適しているとはいいにくい。

ハイパフォーマンスな、3ポインテッドスターの7名乗りSUVを探しているのなら、GLE 63と良く比較した方がいい。少し狭くても、ひと回り小さく扱いやすい。理にかなった選択肢となるかもしれない。

メルセデスAMG GLS 63 4マティック+のスペック

価格:13万5000ポンド(1822万円・予想)
全長:5207mm
全幅:1956mm
全高:1823mm
最高速度:280km/h(ドライバーズ・パッケージ時)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:8.3km/L
CO2排出量:273g/km
乾燥重量:2555kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:611ps/5750rpm+22ps
最大トルク:86.3kg-m/2250rpm+25.3kg-m
ギアボックス:9速オートマティック

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