現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > BMWが水素レースを「評価中」。トヨタやアルピーヌとは異なり燃料電池を活用したい考え

ここから本文です

BMWが水素レースを「評価中」。トヨタやアルピーヌとは異なり燃料電池を活用したい考え

掲載 13
BMWが水素レースを「評価中」。トヨタやアルピーヌとは異なり燃料電池を活用したい考え

 BMWは同社のモータースポーツへの取り組みに水素技術を導入する「可能性を探っている」が、燃料電池を使用することがあらゆるプログラムの重要な要素になるとみられる。

 BMW Mのフランシスカス・ファン・ミールCEO(最高経営責任者)はSportscar365に対し、BMWは水素燃焼エンジンのコンセプトを信じておらず、その代わりに水素ベースのレースプログラムに燃料電池技術を組み込むことを検討していると語った。

600馬力超の水素エンジン車がル・マンで走行へ『リジェJS2 RH2』が加わりデモラン出走は3台に

 ミュンヘンの自動車メーカーは、2027年に延期されたル・マン24時間レースでの水素クラス創設を目指す技術ワーキンググループに参加しているが、そのアプローチはトヨタやアルピーヌと対立するものである。

 このふたつのブランドはともに、水素をガソリンの代わりとなる燃料として用いる内燃機関、いわゆる水素エンジンを搭載したコンセプトカーを発表している。

 これとは対照的に、ル・マン24時間の主催団体であるACOフランス西部自動車クラブは水素をレースに普及させるために燃料電池を中心に取り組んでおり、現在活動中のLMP3ベースのH24プロトタイプと昨年発表されたH24EVOの両方が水素燃料電池の技術を利用している。

 ACOは早ければ2027年にデビューする可能性のある水素クラスで、水素エンジンと燃料電池、双方の技術を受け入れる予定であると表明している。

「水素レースで解決策があるとすれば、我々がやりたくないのは水素を燃やす焼エンジンを作ることだ。なぜなら、そうするとまだ排出物があるためだ」と語ったファン・ミールCEO。

「だから、私たちは燃料電池水素レーシングカーに注目し研究している。しかし、実際にはまだチャレンジの段階だ。巨大なタンクが必要で、現在のLMDhのシルエットには合わないためだ」

「我々は水素プロジェクトに力を入れている。量産車を見ると水素を燃やすエンジンではなく、燃料スタックやモデルを見ることになるからだ。BMWは2005年に水素燃焼エンジンを搭載した7シリーズを発表している」

「燃焼エンジンで物を燃やし始めると、排気ガスが発生する(編注:水素エンジンでも微量の二酸化炭素や窒素酸化物が排出される)。しかし燃料電池では、テールパイプから水が出るだけだ。地域での排出量を減らすことについては、そのほうが明らかに簡単だ」

 燃料電池技術は、BMWのロードカーにおける水素開発の重要な要素となっている。最近では、BMW iX5ハイドロジェンのパイロット車両がヨーロッパで導入された。注目すべきは、BMWがこのプロジェクトでトヨタとの協力を求めていることで、トヨタはこのクルマに個別の燃料電池を提供している。

 ファン・ミール氏は、水素研究はBMWの優先順位を分ける戦略の一部であるが、同ブランドはどの推進技術も捨てず、ひとつを優先して他の技術を否定するつもりはないと指摘した。

 BMWはすでに終了したABB FIAフォーミュラE世界選手権での取り組みに見られるように、電動化を追求してきた。一方、WECやIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で使用されるBMW MハイブリッドV8を製造している。

「もちろん、私たちは可能性だけでなく、課題についてもレースに注目している」とファン・ミールは語った。「私たちは今も自分たちの仕事に集中する必要がある」

「だがその一方で、何も見逃したくはない。私たちは実際に水素を研究している企業のひとつだと思うが、明日から始めるという目的ではないんだ」

「将来的な可能性があるかないかを見極めることが目的であり、それは大きな挑戦だと言える。簡単に聞こえるかもしれないが、実際はそうではない」

「そして同時に、私たちは純粋な電気自動車(バッテリーEV)にも目を向けている。そして純粋なEVレースにも注目している。そこにも多くのチャンスがあると考えているんだ」

「実際、レースはシリーズ生産車のようなものだ。すべてのドライブトレインに目を向ける必要がある。ひとつを諦めてはいけない。そして、ゲームの最前線に立つために、つねにさまざまな可能性を見ておかなければならないんだ」


こんな記事も読まれています

レギュレーション延長が新たなメーカーを呼び込むか「早ければ2026年にも」とIMSA代表は期待
レギュレーション延長が新たなメーカーを呼び込むか「早ければ2026年にも」とIMSA代表は期待
AUTOSPORT web
WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰
WorldRX“6冠”の絶対王者が電動での王座防衛を捨て、持続可能燃料採用の“内燃機関”モデルに回帰
AUTOSPORT web
今季NEXTevo導入の『FC2』を公開「パワーで曲げられる飛躍的進化」シリーズプロモ動画も/ナイトロクロス
今季NEXTevo導入の『FC2』を公開「パワーで曲げられる飛躍的進化」シリーズプロモ動画も/ナイトロクロス
AUTOSPORT web
BMW「当面の間」はエンジン車の販売継続 新型EVと同じ外観で生産か
BMW「当面の間」はエンジン車の販売継続 新型EVと同じ外観で生産か
AUTOCAR JAPAN
レクサス新型スーパーカー 600馬力の「LFA」後継、開発進行中か V8プロトタイプも確認
レクサス新型スーパーカー 600馬力の「LFA」後継、開発進行中か V8プロトタイプも確認
AUTOCAR JAPAN
アルピーヌ、新型『A290』の日本導入を検討。高性能、俊敏性、軽量を備えたブランド初のスポーツEV
アルピーヌ、新型『A290』の日本導入を検討。高性能、俊敏性、軽量を備えたブランド初のスポーツEV
AUTOSPORT web
ル・マンで代役務めたホークスワース、「レクサスを勉強中」のアコーディスASPの将来を楽観視
ル・マンで代役務めたホークスワース、「レクサスを勉強中」のアコーディスASPの将来を楽観視
AUTOSPORT web
「間違いなくポジティブ」ル・マンで完走を果たしたランボルギーニ、WEC後半戦はペース改善が目標
「間違いなくポジティブ」ル・マンで完走を果たしたランボルギーニ、WEC後半戦はペース改善が目標
AUTOSPORT web
ピレリ、ポルシェ911 GT3およびGT3 RS用に新スポーツタイヤを専用開発
ピレリ、ポルシェ911 GT3およびGT3 RS用に新スポーツタイヤを専用開発
AUTOSPORT web
「EVシフトの踊り場」議論を一蹴! EVシフトに向けて本気のホンダが投入する「10兆円」で何が起こる?
「EVシフトの踊り場」議論を一蹴! EVシフトに向けて本気のホンダが投入する「10兆円」で何が起こる?
THE EV TIMES
コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC
コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC
AUTOSPORT web
EVの最高速度で世界記録を樹立! 大阪のアスパークが開発したEVハイパーカー「アウル SP600」
EVの最高速度で世界記録を樹立! 大阪のアスパークが開発したEVハイパーカー「アウル SP600」
THE EV TIMES
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
10年ぶりの勝利を目指すチームWRT、スパ24時間で使用するBMWのマシンカラーリングを公開
AUTOSPORT web
“スポンジバリアNG”のFIA新基準。スーパーフォーミュラ開催直前にSUGOで行われた大規模作業と今後の課題
“スポンジバリアNG”のFIA新基準。スーパーフォーミュラ開催直前にSUGOで行われた大規模作業と今後の課題
AUTOSPORT web
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
Auto Messe Web
シボレー ボルトは謎めいた先進的電動化モデルだった【10年ひと昔の新車】
シボレー ボルトは謎めいた先進的電動化モデルだった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
「モータースポーツは会長の道楽じゃないのか?」 トヨタ株主総会でまさかの詰問……豊田章男会長「それを院政というのであれば、院政をやる」の真意とは
「モータースポーツは会長の道楽じゃないのか?」 トヨタ株主総会でまさかの詰問……豊田章男会長「それを院政というのであれば、院政をやる」の真意とは
ベストカーWeb
BYD、国内第3弾の電気自動車『シール』を販売開始。“e-スポーツセダン”の確立を目指す
BYD、国内第3弾の電気自動車『シール』を販売開始。“e-スポーツセダン”の確立を目指す
AUTOSPORT web

みんなのコメント

13件
  • cam********
    まぁ水素は20年後にどうなってるかだな。
    その前にBEV車の革新的技術が出て来る可能性は高い。
    日本で発明されたペロブスカイト太陽光発電だけで走る車の試作車にも取り掛かってる。
    既にソーラーパネルのレースでは結果を出してるが、一人乗りの小型車を太陽光だけで走らせる実験も行ってる。
    現状では26%達成されてるが、更に効率の良い太陽光バネルの開発にも着手してる。
    日本の技術に期待したい。
  • gre********
    BMWのFCEVはイメージ的にしっくりこない。BMWがエコなんて本当は誰も期待していない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村