2008年、ベントレーからコンチネンタル フライングスパー スピードが登場した。コンチネンタル フライングスパーの2009年モデルとして追加されたもので、標準のフライングスパーにも改良が行われている。フライングスパー スピードは強力なエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルということになるが、このクルマにはどんな狙いがあったのだろうか。今回はアメリカ東海岸ボストンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年10月号より)
コンチネンタルGT スピードと同じ610psのエンジンを搭載
ベントレーのコンチネンタルシリーズが拡充を続けている。
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2ドアクーペの「コンチネンタルGT」に強力版エンジンを搭載した「GTスピード」を追加し、今年2008年に入ってからは同じ強力版エンジンを搭載する「フライングスパースピード」が4ドアサルーンの「コンチネンタル フライングスパー」にも加わった。
2基のターボチャージャーで過給される6L W型12気筒エンジンの最高出力は15%増の610ps、最大トルクは9%増の76.5kgmに増強された。そのパワーアップは、新型エンジンマネージメントシステムの導入、新しいクランクケース、コンロッド、エキゾーストシステム、エアインテーク等々の採用によって実現している。他にも、様々な部分に軽量化やローフリクション化が施され、最高速は322km/hにまで引き上げられ、0→100km/h加速は4.8秒という超高性能を達成している。最高速度は10km/h伸び、加速時間は0.3秒縮まった。
ハイパフォーマンス化のために、トランスミッション、ステアリングシステム、前後サスペンションなど、目には見えない細かなリファインや軽量化などが幾重にも施されている。
それらをここにすべて挙げることはできないが、重要なものとしてはサスペンションと冷却システムの構成部品を改めることで、車両重量を35kg軽減したことと、フロントサブフレームのマウント構造強化、より進化したボッシュ製トラクションコントロールソフト「ESP8.1」の採用などが指摘できるだろう。
またそれらのアップデートはフライングスパースピードだけでなく、フライングスパーにも共通に施されているのでシリーズ全体の改変も併せて行われたということになる。
新しいフライングスパーとフライングスパースピードを試乗したのは、アメリカ東海岸ボストンとその郊外。南北戦争の古戦場跡やヘンリー・デイビッド・ソーローが「森の生活」を書いたウオールデン・ポンドなどがある森や林が続く一帯だ。平均速度の高くない曲がりくねったカントリーロードとフリーウエイの組み合わされた約300kmの行程だった。
まもなく登場するであろうライバル勢への入念な備え
2008年モデルまでのフライングスパーとの違いを一番最初に感じるのは、静粛性が高くなったことだろう。日本の旭硝子が開発した「アコースティックガラス」を窓ガラスに採用し、騒音を大きく減らした。フライングスパーGTも、これまではスロットルを開け気味にした時に野太い重低音を響かせていたが、そのスケールがひと回り小さくなった。高速道路で後席に乗ると、その違いがよくわかる。
610psのエンジンは強力無比で、そのポテンシャルの半分も試せなかった。ただ、加速の鋭さは明らかで、ひと回りもふた回りも小さなクルマを運転している気にさせられた。エアサスペンションの働きぶりも2008年モデルまでのものとは大きく変わった。スポーツからコンフォートまで4段階に切り替えられるが、両端のふたつが現実的なセッティングとなり、利用できる幅が広がった。以前は、硬過ぎるか柔らか過ぎるかで、4種類すべてを使うことがほとんどなかった。
オプショナルの20インチホイールと組み合わせたピレリPゼロタイヤを履いた場合、リファインされたパワーステアリングの剛性感向上は明白で、フライングスパースピードのスポーティなキャラクターを際立たせている。
2009年モデルとなったことで、560psのフライングスパーはとくに快適性を向上させ、新登場の610psのフライングスパースピードはパフォーマンスとスポーティなキャラクターという独自の個性を併せ持った。
オプショナルといえば、今回、ベントレーが力を入れてアピールしていたのは「ネイムオーディオ」である。
イギリスのハイエンドホームオーディオの世界で独自の存在感を示していたネイムが、初めてカーオーディオに進出し、ベントレーに独占供給することとなった。ホームオーディオの老舗がカーオーディオへと進出する際に、その特異性から、ブランド名は冠するものの、実際は別のカーオーディオメーカーが開発製作した製品が納められる場合が少なくない。しかし、これは正真正銘のネイム製。フライングスパースピードに標準装備されるシステムは、1025Wもの高出力アンプと14個のスピーカーで構成され、カーオーディオでは初めての次世代型DSP(デジタル シグナル プロセッサ)を搭載し、さまざまな音楽ソースと乗員の好みに幅広く対応している。
試聴のために、あらかじめ購入していった宇多田ヒカルとクリス・ポッターとロドリーゴ・イ・ガブリエーラのCDを聴き較べながら運転してみた。音響の奥行きと幅の広がりに、まず圧倒された。ただ大出力のアンプと多数のスピーカーで大音量を押し出すだけでなく、細やかなニュアンスの違いも再生できている。標準装着のオーディオも十分に高音質なのだが、聴き較べてしまうと違いは明確だ。
ドアへのスピーカー取り付け部分や、サブウーハーが設置されているリアシェルフのボックス部分が専用に工作されている。スピーカーユニットを収納する筐体の重要性を熟知しているホームオーディオメーカーならではの取り組み方だ。日本仕様の価格は安くはないだろうが、一聴に値する。
近い将来、アストンマーティンからラピードが、ポルシェからはパナメーラが、ロールスロイスからは小型版がリリースされることが明らかにされている。ベントレーもそれらをライバル視していることを隠さない。まだ見ぬライバルたちにフライングスパーと同スピードが先んじているとすれば、今回の改良による一層の洗練性と増えた選択肢だろう。(文:金子浩久)
ベントレー コンチネンタル フライングスパー スピード 主要諸元
●全長×全幅×全高:5290×1916×1475mm
●ホイールベース:3065mm
●車両重量:2440kg
●エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
●排気量:5998cc
●最高出力:449kW(610ps)/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1700−5600rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●タイヤサイズ:275/35R20
●最高速:322km/h
●0→100km/h加速:4.8秒
※欧州仕様
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