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土の匂いがする元祖スクランブラーに乗る

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土の匂いがする元祖スクランブラーに乗る

近年、モーターサイクルの世界では「ネオクラシック」というジャンルが人気を集めている。つまり、古のスタイリングを採用する現代のバイクのこと。クルマで言うところのミニやチンクエチェントである。英国の老舗モーターサイクルメーカー、トライアンフが発表した新型モデル、「スクランブラー1200XC/XE」もそうしたもののひとつだが、その走りに対する本気のアプローチがこれまでのネオクラシックとは異なり、大いに注目を集めている。ポルトガル南部の、ファロという町を走った試乗会での印象を交えつつ、詳しく説明したい。

まず車名の「スクランブラー」の意味について触れておきたい。これは1950~60年代に生まれたオフロードバイクの一種である。ロードスポーツ車を軽量化し、アップマフラーやブロックタイヤなどを装備して未舗装路を走れるようにした競技車のことだ。当時は、現在のように最初からオフロードライディングを想定して開発されたバイクがなく、多くのライダーがこのスクランブラーでスクランブルレースやダートトラックレース、デザートレースといった未舗装路で行われるレースを楽しんだ。

スポーツバイクに勝てるネオクラシック!──往年の名車の名を冠したトライアンフ・スピードツインに試乗する

トライアンフは当時、オフロードレースが盛んだった北米市場をメインマーケットとしていたことから「T120Cボンネビル」や「TR6C」といった市販スクランブラーを誕生させ、多くの支持を得ていた。そして現在、スクランブラーは「カフェレーサー」などと同様、スタイリッシュな「様式」のひとつとして人気となっている。いかにもバイクらしい無骨なスタイルはアウトドアウェアやデニムといったラフなファッションとも相性が良く、シーンを問わない汎用性がある。

スクランブラー1200XC/XEは古典的なバーチカルツインエンジンやツインショックなど、往年のスクランブラーのルックスや仕様を踏襲しているものの、中身はあくまで現代的なハイパフォーマンスマシンに仕立ているところが大きな特徴だ。「スクランブラーこそ、今日のアドベンチャーバイクの先駆けであり、その理念と精神を現代に再現した」というのがトライアンフの主張である。

したがって、スクランブラー1200の直接のライバルは、スクランブラーというより、いわゆるビッグアドベンチャーと呼ばれるカテゴリーのモデルになる。高速道路の連続走行から、フラットダートやデザートまでフォローする「BMW R1250GS」や、「ホンダCRF1000Lアフリカツイン」のようなバイクのことだ。

スクランブラー1200のラインナップはスタンダードモデルにあたるXC(クロスカントリー)と、上級仕様のXE(エクストリーム)の2種。フレーム、エンジン、タイヤサイズといった主要部分は両車共通だが、後者は前後サスペンションのストローク長やスイングアーム長を延長、さらに慣性計測ユニット(IMU)で車体の傾きを検知して、トラクションコントロールやABSの制御を自動で変化させるといった電子デバイスも搭載し、オフロードでの走行性能をさらに向上させている。

実際に走ってみると、数値以上に軽く感じるスリムな車体とロングストロークの前後サスペンションにより、フラットなダートはもちろん、起伏が連続するエンデューロコースすら走れてしまう。とくに前後250mmという、このクラスのバイクとしては異例に長いサスペンションストロークをもつスクランブラー1200 XEの走破性は純粋なオフロード専用バイクに迫るもので、1000ccオーバークラスのアドベンチャーバイクの中では頭ひとつ抜けている。

その一方で、1200ccの水冷バーチカルツインは3950rpmという低い回転数で最大トルクを発揮するため非常に扱いやすい。鼓動感が気持ち良い古典的なフィーリングのため、その辺の道をトコトコ走ってもしっかり楽しめる。このスクランブラー1200は、最新鋭のビッグアドベンチャーバイクをスクランブラーの皮で包んだことで、都会のストリートまでもテリトリーにした本物のマルチパーパスビークルなのであった。

価格はスタンダードモデルにあたるスクランブラー1200 XCが203万1900円。オフロード好きならもちろん、スクランブラー1200 XE一択だろうが、価格は217万4100円。こちらは前後250mmという超ロングストロークのサスペンションゆえ、身長182cmの僕でも両足つま先立ちと、一般的な日本人体系のライダーには取り回しが少々つらいかもしれない。オンロードではコンパクトで重心の低いスクランブラー1200 XCの方が車体との一体感があって走りやすいことを最後にお伝えしておく。

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