これから数年は世界中の自動車会社が電動化に向かっていくはずだ。電動化といってもいきなりピュアEV(電気自動車)になる訳ではなく、ガソリンエンジンかディーゼルエンジンを搭載しながらもリチウムイオンなどの2次バッテリーを使って電気モーターでも駆動するHV(ハイブリッド・ヴィークル)か、その2次バッテリーを大きめにして外部から充電できるようにしたPHEV(プラグ・イン・ハイブリッドEV)が量産車の過半数を占めるだろうという予測である。
特に、ヨーロッパで2021年に施行するCO2排出規制は、1台あたりの平均が95g/kmという厳しいもので、これは1.0Lエンジンのコンパクトカーでもクリアするのが難しいほど。これをオーバーすると1gあたり1万円ほどの罰金が生産台数に掛け算されるとあって、各社必死にCO2削減策を練らなくてはならない状況だ。
今、小さいクルマが面白い!──GQ CAR'S アクセスランキング 2018年8月
このCO2削減策として今のところもっとも有利なのがPHEVと考えられている。バッテリーで走るときはCO2を排出していないという考え方で計算するから、ガソリンエンジンのみだと150g/kmのクルマでも、PHVにすると50g/kmくらいまで減る。だからこぞってPHEVに向かっていくのだ。
走りのクオリティは格段に向上
電動化という意味では三菱自動車は早くから手をつけている。ピュアEVであるi-MiEVは2009年から法人向けに、2010年からは個人向けにも販売を始めているから、世界の量産EVの先駆者といえる。
そしてPHEVも早かった。アウトランダーの2代目が登場したのは2012年で、すぐにPHEVも発表され2013年から量産車を発売した。日本ではプリウスのPHEVに続く2番目の早さだ。SUVブームに乗ったこととPHEVの燃費の良さがうけて、今では三菱自動車の屋台骨を支える1台になっている。
評判の良いアウトランダーPHEVではあるが、技術者から見るともっと良くしたいところがあったようで、今回マイナーチェンジを施した。細かいところを目一杯改良し、今回2019年モデルとして登場したのだ。
さっそく新しくなったアウトランダーPHEVを一般道と山道のワインディングロードで試乗したので、そのインプレッションをお伝えしよう。
乗り始めてすぐにわかるのは、上質感あふれる乗り味だ。走りはじめから、カーブを曲がり、止まるまでがすべてスムーズに動く。当たり前のようだが、これがうまくできないクルマは結構多い。たとえば、アクセルペダルの踏み込み量に対する反応は適度で、過敏すぎることもなくダルすぎることもない。反応が遅れることもなく、ドライバーの意思に忠実に反応してくれるから扱いやすい。
今回の改良では、「もっとEV走行の範囲を広げて欲しい」といったユーザーからの声を聞いて、リチウムイオンバッテリーの容量を12.0kWhから13.8kWhに増大し、最高出力を10%アップしたという。アウトランダーPHEVは前後2つの電気モーターを持っているが、リアモーターの出力を約12%アップ、発電機能であるジェネレーター出力も約10%アップした。これらによりEV走行時の力強さが増しただけでなく、レインジ(航続距離)はこれまでの60.8km(グレードによっては60.2km)から65kmに伸びている。
アクセルペダルを深く踏み込んでいくとスムーズさを保ちながらもどんどん加速していく感じは、ピュアEVそのもので気持ちがいい。さらに深くペダルを踏み込むとエンジンが助けに入るが、エンジンがかかったことが気をつけていてもわかりにくい。つまりそれほど静かだということだ。エンジンがかかっても、EV走行時に近い静けさを保っている。
この静粛性は新エンジンの搭載と、ボディ補強が効いているようだ。特に新しいアトキンソンサイクルの2.4リッターの新エンジンは、あまりエンジンが出しゃばらずに黒子のようにEV走行を補助している、といったイメージだ。早くからPHEVを手がけているからこそ、EVとエンジンのつながりをスムーズにできるのだろう。
また、ボディ剛性はテールゲート、リヤホイールハウス周り、ドアオープニングまわりなどを補強しているようで、結果、静粛性アップとともにハンドリング性能にも寄与しているように感じられた。
カーブを曲がるときはハンドルの切り角に比例したノーズの動きで、重量級のSUVという感じではなく軽快感もある。直進付近のニュートラルポジションでの遊びは小さく小舵角から反応する。若干手応えが軽い部分が残っているが大きなマイナスではない。これまでよりシャープに曲がるようにステアリングギヤレシオをクイックに変えたようだ。
ワインディングロードでの身のこなしも良い。過度なロールにはならず、かといって硬い感じでもない。ある程度のしなやかさを持ちながらもうまく踏ん張ってくれる。このあたりはダンパーのサイズアップを施したのが効いているのだろう。
エクステリアはヘッドライトがフルLED化し、18インチのアルミホイールは新デザインを採用するなど改良を施した。もちろん、インテリアにも手をまわしクオリティを高めている。スムーズなレザーを随所にあしらい、ダイヤモンドパターンのキルティングを用いたシートを採用するなど、乗り込むときから楽しめるクルマになった。
さらに細かな部分では、外部から充電している際、同時にエアコンも使用できるようになったことがいい。出発までに室内環境を快適にしておくことができる。
くわえてアウトランダーPHEVは外部に電気を供給することもできる。これはアウトドアで活動するときに役だつのはもちろんのこと、最近の日本国中の自然災害に照らしてみると、停電時といった非常時にも役立つことに気がついた。アウトランダーPHEVが1台あるだけで心強い。もし停電が続いて2次バッテリーの電気が足りなくなっても、エンジンが発電機になって使えるから、ガソリンがある限り家庭の電気に困らないのだ。
2019年モデルになってますますクオリティが高まったアウトランダーPHEVは、今こそ1台備える時期かもしれない、と自然災害のニュースを見るたびに思うのであった。
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