■時代に合わせて進化を続ける「スイフト」
2004年に登場した2代目スイフトの衝撃は今でも覚えています。「お買い得」が取り柄だった初代から、「走り」をセンターに置いた直球勝負のグローバルコンパクトに変貌。
欧州で通用するコンパクトカーを開発コンセプトに欧州で徹底的に鍛え上げたことで、その走りは外車信仰のクルマ好きをも唸らせたほどです。
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その後、2010年に登場した3代目は熟成方向、2016年に登場の4代目はプラットフォーム刷新で先代比120kgの軽量化や電動車の充実など、スイフトは時代に合わせて進化を続けました。
また、各世代に設定される「スイフトスポーツ」は、「速い、楽しい、安い」と三拍子そろったスポーツハッチで、カスタマイズの世界ではトヨタ「86/GR86」と並ぶ人気モデルとなっています。
そして、今回登場したのが5代目となる新型スイフトです。この20年でスイフトは「挑戦者」から「ベンチマーク」になりました。
ちなみに、初代スイフトは海外で「イグニス」として販売され、2代目からグローバルでスイフトに統一されたことから、新型モデルが4代目とカウントされることもあります。
従来のスイフトではユーザーの様々な意見が聞かれ、営業部門からは「走りのイメージが強くて壁がある」、「買い物や送迎メインだと、走りのスイフトは候補から外れてしまう」と言った声もあったそうです。
そこで、新型で掲げたコンセプトは歴代スイフトが支持されてきた走りのこだわりはそのままに、プラスαの魅力を加えることでした。それは「デザイン」、「安全技術」、そして「使い勝手」を向上させることで総合力を高めています。
今回は最上級グレードの「ハイブリッドMZ」のCVTモデルに試乗しました。ちなみに新型にも伝統の5速MTモデルを用意されますが、マイルドハイブリッドと5速MTの組み合わせは国内スズキ初だといいます。
新型スイフトのエクステリアは先代の面影を残すものの、先進性を持った端正な顔立ち、丸みを強調したフォルム、立体感を持たせたディテールの処理など、「スポーティだけどやり過ぎていない」デザインです。ただ、ホイールのデザインは、このエクステリアにはちょっとスポーティすぎるかなと思う部分もありました。
新型スイフトのボディサイズは全長3860mm×全幅1695mm×全高1500mm、ホイールベース2450mmです。新型は全長が20mm延長されたのですが、それ以外は先代とほぼ同じ。より堂々としたスタイルに見えます。
ボディカラーはスイフト定番のレッド/オレンジ/ブルーに加えて、クールイエローやキャラバンアイボリーなど若者に人気のくすみ系カラーも用意。個人的には「目立つけど目立ち過ぎない」、「世代や性別を限定しない」絶妙なバランスを持つクールイエローがお勧めです。
インテリアは機能的だけどアソビ心を持つデザインに仕上がっています。全体的には樹脂系素材がメインながらも色使いやシボの工夫により安っぽさはありません。
欲を言えば「助手席/ドア周りのホワイトの加飾が布張りだったらより質が上がるのに」や、「メーター周りが少々事務的すぎ」などちょっと残念な所もありますが、価格を考えれば合格です。
また細かい話になりますが、最近のクルマとしては珍しいDVD/CDプレイヤーが設定されている事にも注目です。これはシニア層向けと思いきや、最近はストリーミング配信せずCDのみのアーティストもいるので、若者に対する武器になる可能性もあるかもしれません。
居住性は先代から大きな変化はなく、「広くもないけど狭くもない」と言った平均的な印象ですが、スッキリ&ラウンドしたインパネ周りなどにより視覚的な開放感は増しています。
ちなみにシートは特に凝った形状ではありませんが、カチッとしているけどフワッとした掛け心地は、ちょっと前の欧州車のそれに近いように感じました。
■新型スイフトの質の高い走りを実感!
パワートレインは新開発となる1.2リッター直列3気筒エンジン(82ps/108Nm)+ISG(モーター付き発電機:3.1ps/60Nm)のマイルドハイブリッドで、軽量化&高効率化されたCVTの組み合わせになります。
動力性能は絶対的な加速力はそれほどではありませんが、ダイレクト感と小気味良さを持つCVTの相乗効果で、スポーティさ感じるレベルです。
マイルドハイブリッドはライバルのような“電動車感”はありませんが、発進時や加速時に背中をスッと押してくれるようなアシストがうれしいところ。
ただし、唯一気になったのは、信号待ちなどでブルブルと明確に伝わるアイドル振動ですが、アイドルストップ機能が頻繁に作動するので良しとしましょう。
フットワークは先代から採用された軽量・高剛性の「ハーテクト」の進化版で、高張力鋼板の採用拡大や構造用接着剤の採用などが行なわれています。
サスペションはスタビライザー強化(フロント)、ストローク拡大(リア)、バンプストッパーの工夫/最適化などが行なわれています。タイヤは185/55R16サイズのブリヂストン エコピアEP150を履きます。
その走りはノーマルの時点で先代のスポーティグレード「RS」を超えるハンドリングだけでなく、プレミアムの世界に片足を踏み込んだ質の高い乗り味に仕上がっています。
ステア系は軽めの操舵力ながらも直結感が高く、フリクションが抑えられた事で滑らかな操舵感を持っています。
ハンドリングは切り始めの応答の良さ、ロールを抑えながらも前輪依存ではない旋回姿勢、ドシっとしたリアの安定感は先代と同様ですが、操作に対してやや機敏な動きだった先代に対して、新型は操作した分だけ素直に動く上にコーナリングの一連の動きに連続性が増した事により、キビキビ感はあるが落ち着いた走りです。
もしかしたら面白味と言う部分では先代よりも薄れているかもしれませんが、高速道路では全長4m以下で1020kgの軽量コンパクトとは思えない直進性の高さと格上モデルも顔負けのドッシリ感が備えられ、ACC+車線維持支援機能(正確で自然な制御)を活用すれば、長距離クルージングも楽勝でしょう。
快適性は、“マッタリ系”でフランス車のようだった先代に対して、明らかに“シャキット系”のドイツ車的なセットアップに変更。硬めのセットアップですが、体幹を鍛えた車体と滑らかな足の動きによって衝撃を上手に丸め込むショックの吸収性の相乗効果により、“いなし”の効いた乗り心地に仕上がっています。
ちなみにシャシ系は先代から踏襲されたアイテムが多いですが、その潜在能力を“使いこなせる”ようになった事で、「軽快なのに重厚」、「硬いのに柔らかい」と言った、背反する性能を両立できたのではないかと筆者(山本シンヤ)は分析しています。
総じて言うと、スイフト開発陣は変化球を投げたつもりですが、出来上がったモデルは直球勝負の正常進化と言えるでしょう。
ただ、これはネガティブな意見ではなく、20年の歳月を積み重ねてきた「スイフトらしさ」は、自然と滲み出てくるのかなとも感じました。
新型は同じスポーティながらも、「わかりやすさ」から「本質的」にシフトした事は大きい変革だと思っており、それこそが多様なユーザーニーズをカバーする「懐の深さ」だと信じています。
価格は172万7000円から233万2000円と若干アップしていますが、トータルで考えれば新型スイフトはバーゲンプライスだといえるでしょう。
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