2021年8月18日午前9時(日本時間)に公開された日産の新型フェアレディZは大きな反響を呼んでいる。初代を連想させるまさにZにふさわしいスタイリングに加え、400psの3リッターV6ツインターボエンジン搭載で走りにも期待がかかる。
これまで日産が苦境にたった時、新型のフェアレディZが投入されてきた。最新のZは、再び日産に光明をもたらすのであろうか?
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文/国沢光宏、写真/NISSAN
【画像ギャラリー】新型フェアレディZと歴代モデルを写真でチェック!!
■新型Zで日産のブランドイメージは上がるのか?
北米で公開された新型フェアレディZ。初代のS30のイメージを残すZらしいデザインに仕上げられている
新型フェアレディZの市販モデルは本来ならニューヨークーショーでアンベールされる予定だったながら、新型コロナで中止になったためオンラインで発表されることになった。
プロトタイプとほぼ同じ外観ながら、搭載されるエンジンは405馬力を発生する3リッターV6ツインターボ。6速MTと9速ATと組み合わされると発表された。
気になるのは「新型Zで日産がブランドイメージを上げられるのか?」ということだと思う。改めて日産とZについて考察してみたい。
時代は1960年代に遡る。日産の黎明期(ダットサンですね)、片山豊という人がいた。大正時代にアメリカへ渡った経歴を持つ国際人で、御自身曰く「言いたいことを言うため社内では嫌われモノでしたね」。
突如「だったらアメリカで日産車を売れ」と命じられ、1960年に渡米。しかし当時の日産車といえば、トラックのフレームに乗用車の上物を乗せただけ。
100km/hでの連続走行しているとバラバラになりそうだったという。そこで様々なルートを使い(ここの話は長いため省略)、9年後にフェアレディZの市販に至る。
ミスターKこと片山豊氏が生みの親となったS30型初代フェアレディZ。発売されるやいなや北米で大ヒットとなった
ちなみにSRL311と呼ばれるZが付かないフェアレディは、リジッドサスのフレームに4千回転も回せば振動だらけになる2リッター4気筒エンジンを搭載する”見てくれはオシャレな英国風オープン2シーター”だったが、乗ると快適性にほど遠く販売も低迷していた。
方やS30と呼ばれるフェアレディZは夢のようにステキなクルマです。四輪独立懸架のモノコックボディに、スムースな2.4リッターの直列6気筒エンジンを搭載。
ボディは当時人気だったジャガーEタイプのようなスタイルでいながら、価格は3分の1以下。後に『ミスターK』と呼ばれ、アメリカの自動車殿堂入りすることになる片山豊さんの戦略は大成功し、日本車で初めて爆発的なヒット車になる。
作れば作っただけ売れるという状況に! それまで日本車と言えば「一部のクルマ好きなら知っている。性能低い」という存在だったものの、フェアレディZは若者にとって憧れの存在になり、日産車の存在を知らしめることになった。
アメリカに於ける日産の歴史=フェアレディZから始まったと言って良い。いや、日本車の歴史ですね。
■日産のピンチに新型Zが投入される!?
その流麗なデザインでいまだに多くのファンを持つZ32型フェアレディZ
とはいえ前述の通りミスターKは日産の経営陣から嫌われていることに変わりなかった。私がこの業界に入った1980年代にはすでに御勇退されていたが、それでも日産との関係はギクシャクしていたほど。
そのためミスターKの代表作となるZも日産の興隆に大きく流されてきた。1980年代に入り、日産はつまらないクルマを連発。
経営が傾いてしまう。この時に重用されたのはZだった。1989年、全てを新しくしたZ32をシカゴショーでワールドプレミアする。同じ時期に出したQ45についちゃ大ゴケしたものの、Z32は日産のブランドイメージをキッチリ出せたと思う。
そんなZだったものの、やはり生産台数が少なく利益率という点では厳しく、放置されてしまう。
フェンダーの張り出し具合が力強い印象を与える新型Zのリアビュー
バブル崩壊で業績悪化する一方の日産からすれば、効率が悪いスポーツカーなど作っている余裕無し。そうこうしているウチ、2兆円もの有利子負債を抱えニッチもサッチも行かなくなった時にやってきたのが、カルロス・ゴーンだった。
日産のブランドイメージ復興のため、厳しい財政事情の中、ZとGT-Rの開発を命じる。
興味深いことにこの2モデルの開発再開をすることで日産のモチベーションはイッキに上がる! 同時に「これで日産も復活だ!」という強力なメッセージになったのだろう。
ユーザーからの期待値も急上昇。カルロス・ゴーンの狙いは当たった。されどZ33を見ると新しさ無し。価格も上昇し、販売台数という点では成功したと言えなかった。
シンプルでタイトな印象の新型Zのインテリア。6速MTモデルと9速ATが用意される
ということで新型Zを見ると、スポーツカーを出すという点では素晴らしい効果だと思う。昨年行ったプロトタイプの発表ですら多くのメディアが取り上げ、反応も抜群だった。日産としちゃ大いなる手応えだったことだろう。今回も大きなニュースとなるに違いない。やっぱりスポーツカーって自動車産業の華です。
ただ冷静に考えてみたら「新しさはないですね」。Zが成功した最大の要因は「誰にでも手頃に買えるカッコ良いクルマ」という点にあった。新型Z、初代をモチーフにするなどデザインは素晴らしい!
一方、サイズなどを考えると新しさに欠ける。ただ『Z』をエンジンだけで走る時代のクルマの最後だと考えたら、存在意義は大きいと思う。
3リッターV6ツインターボエンジンVR30DDTTが搭載される。最高出力400psとパワフルだ
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みんなのコメント
アンタには無理だから勘違いしないで!
別に売ってるわけでも、特段大事に保管されてるわけでもなく、ただ置いてあるだけから、買い取れるか聞いてみようかな。