トヨタのスポーツ部門であるGR(ガズーレーシング)のトップを務めていた佐藤恒治氏がトヨタの新社長となったことに伴い、後任として就任した高橋智也GRカンパニープレジデント。前任の佐藤社長から学んだことは? GRの今後はどうなる? などなど、GRの気になるあれこれについて、若手ジャーナリストが直撃インタビュー!!
※本稿は2023年5月のものです
文・聞き手/西川昇吾、写真/西川昇吾、ベストカー編集部、トヨタ自動車、FavCars.com
初出:『ベストカー』2023年6月10日号
夢はスターレット復活!? 「笑顔になれるクルマ作り」を目指して!! 高橋GRカンパニープレジデント直撃インタビュー
■佐藤社長から視野の広さを学びました
若いジャーナリストの朴訥な質問に丁寧にわかりやすく答えてくれた高橋プレジデント
西川昇吾(以下、西川)/前任の佐藤社長と一緒に仕事をしてきたと思うのですが、佐藤社長から学んだことを教えてください。
高橋GRカンパニープレジデント(以下、高橋)/視野の広さです。我々はトヨタの中だけで仕事をしてきているので、社内でどうするかと考えてしまいます。
でも佐藤社長は自動車産業で考えると……自動車産業以外と一緒にやったら……そんな風に広い視野を持っていて、色んな可能性を考えているんです。そういった取り組み方を学びました。それは選択肢を狭めないということでもあります。
佐藤社長がさまざまな可能性を考える人なので、私も提案を持っていきやすいですし、今でも相談に乗ってもらっています。
西川/これまでのGRの取り組みのなかで、特に重視して継続していきたいものはありますか?
高橋/GRの取り組みは大きく分けて2つあります。一つはモータースポーツを起点とした“もっといいクルマづくり”、もう一つはモータースポーツをサステナブルにしていくことです。この2つの軸は特にブレることなくやっていきたいです。
■GRの今後の取り組み
西川/今後GRとして新たな展開や取り組みなどはあるのでしょうか?
高橋/GRモデルは数が出るわけではないので、収益的には厳しい面があります。なのでGRブランドとしてバリューチェーンの強化が必要と考えています。
具体的には去年NAPAC(日本自動車用品・部品アフターマーケット振興会)さまとの連携を発表しましたが、サードパーティーのパーツメーカーさんと連携していくような形も整えていきたいです。
モータースポーツの知見を活かしたGRパーツをいろいろ展開していきたいですね。パーツという面ではヘリテージにも注力していきます。
GRはトヨタ2000GTやランクル40など名車を持ち続ける人たちに寄り添い、GRヘリテージパーツを販売している。AE86やランクル60、70、80、そして70、80スープラなど対象車はどんどん増えている
西川/今後のGRの目標としている姿などありますか?
高橋/これまではGRスープラやGRヤリスなど、専用車を増やしていくフェーズでした。
これからのGRは専用車ももちろん重要ですが、オートサロンでアピールしたように、「クルマ好きを誰ひとり置いていかない取り組み」も考えていかなければと思っています。
それはオートサロンに出展したAE86のようにすべて水素エンジン化するわけではなく、GRヘリテージパーツなどを充実させ、長く愛車とともに過ごしていただくことにも取り組んでいきたいです。そのような活動を通じてGRをより愛してもらえるようにしたいです。
■GRのモデルは毎年アップデートしていきます
GRヤリスは、WRCやスーパー耐久、ラリーチャレンジなどさまざまなレースやラリーに参戦している。実戦で鍛えながら、市販車にフィードバックするやり方で進化し続けていて、目に見えない改良も多数ある
西川/佐藤社長は“セリカ復活が夢”とおっしゃっていました。セリカ含め今後登場する新型GRモデルが気になるのですが……。
高橋/そこですか(笑)。セリカをやるかは別として、これまでのトヨタはフルモデルチェンジを7~8年、マイナーチェンジを約3年といったスパンで実施しています。
しかし、GRとしてはレースやラリーに参戦して得た知見を市販車にフィードバックして、毎年クルマをアップデートしていきたいですし、マイナーチェンジでもフルモデルチェンジ並みの進化をさせるのもあるべき姿だと思います。
GRモデルはモデルライフが長くなっても常に新鮮な印象となるような進化をさせていきます。そんな年を追うごとの進化を楽しみにしていてください。
西川/以前高橋プレジデントは「すべてのクルマ好きが笑顔になれるクルマを作りたい」とおっしゃっていましたが、高橋プレジデントが考える笑顔になれるクルマを教えてください。
高橋/ステアリングを切った時に思いどおりに動くクルマです。直線を速くするならば大きなエンジンやモーターを搭載すればいいですが、そうすると重くなります。重くて曲がらないクルマは楽しくありません。
クルマは軽いに越したことはないので、軽いクルマづくりは重視しているポイントです。現在は衝突安全など軽くするのが難しい状況ですが、その状況でも軽いクルマを作るのが我々“クルマ屋”の腕の見せ所だと考えています。
それはスポーツモデルに限った話ではありません。スポーツモデルが高速域で思いどおりのハンドリングを実現できるなら、街乗りの低速域でも思いどおりのハンドリングを落とし込んでいけると思うんです。
GRスポーツの車両には、そんな低速域でも意のままに走れる味つけをしていきたいです。こうした取り組みがほかのトヨタ車にも発展していくのがGRの存在意義だと考えています。
■スターレットを復活させることが夢です
EP82やEP91スターレットを乗り継いでいたという高橋プレジデント
西川/以前スターレットを所有されていたと聞きましたが、軽いクルマへのこだわりはそんな原体験も影響していますか?
高橋/あると思います。(笑) EP82やEP91で地元北海道の雪道やミニサーキットを楽しんでいました。初代シビックタイプRが登場した時にホットハッチ乗りとして衝撃を受けたのですが、それを超えるクルマを作りたいと思ってトヨタに入ったんです。
佐藤社長が“セリカ復活”と言うならば、GRプレジデントという立場は置いといて、私個人としては“スターレット復活”が夢ですね!
* * *
GRのさらなる飛躍を目指す高橋プレジデント。ご協力ありがとうございました!
「笑顔になれるクルマづくり」を信条とする高橋プレジデント。歯切れのいい話っぷりからはGRカンパニーのプレジデントとして何をすべきかが、はっきりとしているという印象を受けた。クルマ談義では終始笑顔だった、そんなカーガイ高橋氏が引っ張っていくGRの今後に期待したい。
僭越ながら20代の私からひとつお願いするとしたら、スターレットGT(830kgで135馬力、1989年の発売時は124万円)のような安くて速いクルマを作ってほしい。
●高橋智也(たかはし ともや)ガズー・レーシング・カンパニー・プレジデント
1977年北海道札幌市生まれの45歳。若い頃からクルマ好きで大学生時代の1997年に登場したシビックタイプRに衝撃を受ける。大学生時代の愛車はEP82中期型→EP82後期型→EP91と中古のスターレットターボを乗り継ぐ。
当時はインテグラ・タイプRやNSXなど、ホンダのスポーツモデルに勢いがあり、そのホンダを超えるクルマを作りたいと2002年トヨタに入社。
ボデー設計部でオーリスを担当。2016年スポーツ車両統括部へ異動し、2021年GRプロジェクト推進部長、2022年GR車両開発部長、2023年3月よりGRカンパニー・プレジデントに就任。
モリゾウさんが辞令を渡す時に「私が笑顔になれるクルマを作ってください」と激励されたという。モリゾウさんはクルマ好きの代表だから身が引き締まる思いがしたと教えてくれた。
現在の愛車はGRヤリスとポルテ(主に奥さんが使用)。運転することが大好きで、サーキットへも自分で運転することが多い。好きな食べ物はお寿司で、出張先ではおいしいお寿司屋を探すのが楽しみ。
●聞き手/西川昇吾(にしかわ しょうご)
1997年静岡県裾野市(ウーブンシティの近隣)生まれ。大学時代から自動車ライターを始める。現在は自動車ジャーナリスト目指しWebや紙媒体で修行中。今年の目標はレースに出ること。
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みんなのコメント
メーカーは違いますが、マツダスピードアクセラくらい楽しくして欲しいところです。
ディーラーですら変態しか乗ってないと言われて居たので。
うーん、やっぱトヨタの型でスターレット復活してほしいよね。てか、かなり前から復活の噂あったけど発言して大丈夫か?