バイクの燃料は「レギュラー」か「ハイオク」
「使用燃料」とは、文字通りそのバイクが使用する燃料の種類を表しています。日本のガソリンスタンドでは「レギュラー(無鉛レギュラー)」、「ハイオク(無鉛プレミアム)」、「軽油」の3種類の燃料を販売していますが、バイクの場合は「レギュラー(無鉛レギュラー)」か「ハイオク(無鉛プレミアム)」のどちらかになります。
なにこのエンジン!? 1978年発売のホンダ「WING GL400」は新時代に向けたスポーツツーリングモデルだった
ちなみにスペック表を見ると、ホンダは「主要緒元」の表に無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)を使用する機種のみ記載があり、レギュラーガソリン使用車は記載がありません。しかし「環境仕様」の表(ホームページのスペック・サイズのページをスクロールした下方)には、どちらの燃料かの記載があります。
ヤマハはスペック表の「燃料タンク容量」の欄に使用燃料の種類を併記しています。スズキではスペック表(主要緒元)に記載がありませんが、ホームページの各車両のトップページの「環境情報」をクリックすると、車種別環境情報の表が開き、そこに記載されています。そしてカワサキはスペック表に使用燃料の欄があります。
また無鉛プレミアムガソリンを使用する車両は、バイクの燃料タンクの燃料キャップの付近にその旨を記したステッカーが貼られています(レギュラーガソリン使用車はステッカー表記等が無いのが一般的)。
レギュラーとハイオクはナニが違う?
それではレギュラーとハイオク(無鉛プレミアム)は何が違うのでしょうか? ハイオクとは「ハイ(高い)」と「オクタン価」を合わせた造語で、「オクタン価の高いガソリン」という意味です。そしてオクタン価とは「ガソリンに含まれる、自己着火しにくいイソオクタンの比率」を指します。簡単に言うと、ハイオクはレギュラーよりも自己着火しにくいガソリンなのです。
そのため国産バイクは、エンジンの圧縮比が高く最高出力が大きなバイクにハイオク(無鉛プレミアム)指定となる場合が多いです。圧縮比が高いエンジンは、吸い込んだ混合気(ガソリンと空気が混ざったガス)が高負荷や高温時に、点火プラグの火花ではなく勝手に燃え始めてしまう現象(自己着火)があります。これが「ノッキング」と呼ばれ、エンジンからカリカリという異音や振動が発生し、エンジンを傷める原因になります。そのため、高圧縮で高出力のエンジンは、自己着火しにくいハイオク(無鉛プレミアム)を使う前提で設計しているのです。
海外製はスクーターもハイオク指定なのはナゼ?
ところが、海外製のバイクは高出力のスーパースポーツ車に限らず小~中排気量のスクーターでも、車両のジャンルに限らずハイオク(無鉛プレミアム)指定のバイクが多いようです。また国産車の場合も、スタンダードなネイキッドモデルなのにハイオク(無鉛プレミアム)指定のモデルがあります。ちょっと不思議ですが、これは日本と海外のガソリンでは「オクタン価」に違いがあるからです。
日本のガソリンはJIS規格によって「レギュラー=オクタン価89以上」、「ハイオク(無鉛プレミアム)=オクタン価96以上」と決まっています。そして実際に販売されているガソリンは、レギュラーがオクタン価90で(全ブランド共通)、ハイオクはブランドによって異なりますが、98~100になります。
対する欧州では、ガソリンのオクタン価が92/95/98の3種類あります(北米は87/89/91の3種類で欧州と比べるとかなり低いが、これはオクタン価の計測方法が異なるため。欧州と同じ計測方法で換算すると、おおむね92/95/98になり、欧州と変わらない)。ちなみに最も低い92は農業機械用などが主で、販売していない地域も多いそうです。
そのため、欧州はオクタン価95が日本のレギュラー、98が日本のハイオク(無鉛プレミアム)に相当します。そして欧州では多くのバイクのエンジンが、オクタン価95を基準に設計しているため、日本のレギュラーだとオクタン価が足りず、ハイオク指定になるというワケです。
国産車でも輸出に力を入れているモデルなどは、海外のオクタン価95を基準に設計している車両も少なくありません。そのためスタンダードなモデルでもハイオク(無鉛プレミアム)指定となる場合があるのです。
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みんなのコメント
鉛ガソリン用エンジンをどのように変更して無鉛に対応するのかなんかが話題になっていた。
新車への変更回転が速い日本と違い、低いオクタン価という選択肢がなかったのだろう。