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ライバル勢に押され気味の「プリウス」 それでもブランド力を維持するワケ

掲載 更新 8
ライバル勢に押され気味の「プリウス」 それでもブランド力を維持するワケ

■2020年夏もトップ20入りする「プリウス」のブランド力はまだまだ健在?

 世界初の量産ハイブリッド乗用車として現在もなお人気を集めるトヨタ「プリウス」は、自動車販売協会連合会が発表する2020年7月の月間販売台数が4654台となりました。軽自動車をのぞく普通車のなかでは、14番目に売れているクルマです。

【なぜ燃費でプリウスがランク外!?】燃費トップ5にアクア、ノートも無し! 国産車の最新燃費ランキング

 現行プリウスは、2015年に登場した4代目です。発売当時にトヨタが新しく開発したプラットフォーム「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」をはじめて採用したモデルになります。

 その結果、これまでのモデルとは比べ物にならないくらいの乗り心地や走行性能を実現し、大きな躍進を遂げました。

 現行モデルが発表された当初、「歌舞伎顔」と呼ばれるフロントマスクデザインに不評が募り、販売台数が伸び悩んでいました。

 しかし、2019年のマイナーチェンジを機に外観デザインを大きく一新したことで、2019年の年間販売台数ランキングにて首位を獲得します。また、2020年7月1日には一部改良を受けました。

 直近の販売動向は、2020年1月から5月の販売台数順位が7位から9位となるものの、同年6月は11位、7月は14位となり、トップ10を逃す結果となりました。

 かつて、2019年の年間販売台数首位に位置づけたプリウスですが、現在は「ヤリス」、「ライズ」、「カローラ」などのトヨタ内の新型モデルに押され、販売台数ランキングを徐々に落としています。

 数多くのライバル車が登場するなか、2020年夏もトップ20を死守し続けるプリウスですが、この順位はそのブランド力がいまもなお健在している証拠といえるのでしょうか。トヨタ販売店の担当者は次のように話します。

「プリウスは、現行モデルを含めて4代にわたる息の長いクルマなので、現在もプリウスブランドとして充分に確立されています。

 したがって、質感や性能、乗り味などを総合的に気に入って、今もなおプリウスを検討されるお客さまは一定数存在します。

 実際に購入されるお客さまの大半は、比較的高齢層が多く、なかでも40代から50代が目立ちます。田舎に帰省する際の長距離利用や通勤時など、燃費性能を踏まえたうえでの使い勝手で選ばれることが多いです」

※ ※ ※

 プリウスは、ハイブリッドシステムの効率化、小型軽量、低損失化など、低燃費を実現するためにあらゆる開発努力が注がれています。

 その結果、「E」グレードをのぞく2WD車(15インチタイヤ装着車)の燃費は、WLTCモードで30.8km/Lを実現しました。

 また、先述したTNGAの採用により、低重心ボディを実現したことで、安定性や快適な乗り心地を楽しめます。

 このように、プリウスは1997年に初代モデルが登場以来、23年もの長い歴史の中で築き上げてきた知名度やクルマの持つ性能により、現在もなお高齢者を中心に人気を集めていることは確かなようです。

■2020年7月の一部改良が販売動向に影響?

 前述の2020年7月1日に実施された一部改良では、「Toyota Safety Sense」において、「プリクラッシュセーフティ」の検知範囲拡大や「レーダークルーズコントロール」の機能向上がおこなわれました。

 さらに、新しく追加された機能には、道路標識の見落としを減らすための「ロードサインアシスト(RSA)」、先行車の発進を知らせる「先行車発進告知機能」が挙げられます。そのほか、「インテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ)」も全車に標準装備されました。

 そして、トヨタで初めての採用となる「プラスサポート(急アクセル時加速抑制)」も追加されています。

 これは、右折時や一時停止後の急加速をする状況をのぞいて、アクセルの踏み間違いとされる急加速時に障害物がなくても加速を制限し、踏み間違い事故の軽減を図る機能です。

 同時に、今回の一部改良と合わせて、さらなる安全・安心機能を充実させた特別仕様車「S“Safety PlusII”」も新設定されています。

 今回の一部改良によってプリウスの直近販売動向に影響を及ぼしていることはあるのでしょうか。前出したトヨタ販売店の担当者は次のように話します。

「一部改良を遂げたことで、より安全性の高いクルマへと生まれ変わり、これまでのプリウスよりも問い合わせの数は増えている状況です。

 ただし、実際の納車台数については、まだ数少ない状況になります。したがって、一部改良モデルが直近の販売台数に大きな影響を与えているということは考えられません。

 また、6月から7月にかけて台数が伸びた背景には、工場の生産ストップが関係しています。今回の一部改良に向け、5月末からプリウスの工場では生産をストップしており、一部改良モデルが販売開始された7月1日から再び稼働しました。約1か月間生産ストップしていたことで納車のズレが生じ、7月の販売台数に影響が出ているのです」

 日本自動車販売協会連合会の販売台数ランキングは、納車(登録)後の台数が反映されており、いまだ納車台数の少ない一部改良モデルによる7月の月間販売台数への影響は非常に少ないことが分かりました。

 国内市場でのプリウスは、数多くのライバル勢に押されて販売台数が伸び悩んでいました。

 一方で、中国やヨーロッパ圏などの排出ガス規制の厳しい地域では、ガソリンと電気を使ったハイブリッド車として非常に高い需要を集めているとようです。

 したがって、一部改良ではトヨタ初の先進技術を真っ先に採用するなど、メーカー側がプリウスに力を入れている姿勢はいまだ変わりません。

 さまざまなライバル車の登場により、販売台数ランキングの順位下落が目立っていたプリウスですが、2020年もなおトップ20以内には位置づけています。

 その大きな要因は、初代モデルから培ってきた知名度や安定した性能性が大きく関係しているほか、一部改良により安全性や先進性にさらなる磨きがかけられたことで、今後の販売動向にも目が離せません。

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みんなのコメント

8件
  • ライバル勢に押されてるわけじゃなくカローラやヤリスの新型登場で分散しただけ。
    他車の影響なんて受けていないし及ぼすような車も他社から出ていないよね。

  • 1-6月累計
    プリウス      2万9770台
    カローラツーリング 2万6790台
    全マツダ3       9958台
    カローラ        9460台
    全インプレッサ     9187台
    カローラスポーツ    5700台
    プリウスα       3750台
    全シビック       3210台
    プリウスPHV      3120台
    インサイト       1846台

    プリウスとカローラをタイプ別に分けてみると、
    上手く棲み分けができている事が解ります。
    プリウスよりホンダの心配をした方がいいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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