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2018年の新車販売はどうなる? 注目の10の焦点

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2018年の新車販売はどうなる? 注目の10の焦点

 2018年もあと11カ月を切りましたね……。なんだか身が引き締まる感じがしちゃいますが、トヨタからビッグニュースが舞い込んできました。純利益見通しを前期比31%増の2兆4000億円に上方修正するということだ。「純利益」が小国の国家予算並みというのがまた凄い。そんな順調なトヨタをはじめ、国内自動車販売各社の2018年の業績はどうなるのか!? 自動車販売に詳しい遠藤徹氏と、渡辺陽一郎氏に2018年の10の焦点を聞いてみました。

文:遠藤徹、渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部、Shuttestock.com
ベストカー2018年2月10日号

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■焦点1 トヨタは今年も堅調だが昨年比では!?

 基本的にはトヨタの強さは今年も続きますが、昨年に比べると勢いにブレーキがかかる可能性があります。トヨタが昨年12月20日に発表した2018年の国内販売計画は155万台程度で2017年実績見込みに対して5%のマイナスとしています。2017年の実績見込みは163万台程度で、前年実績比3%増とまずまずでした。

 プラス実績だったのが、一転して2018年は5%減と予想しているのは、前年に対して販売を牽引する戦略ニューモデルが少ないことが挙げられます。昨年、トヨタの新車販売を盛り上げたニューモデルは2016年11~12月発売のルーミー/タンク、C-HR、昨年1月発売のプリウスPHV、7月発売のカムリの各新型車、それに中盤までにマイナーチェンジ&改良したヴィッツ、ハリアーなど、そのモデル数は極めて多くあります。

クラウンの登場も大きなトピックだが大勢に影響なしか!?

 ところが今年は昨年末にマイナーチェンジしたアルファード/ヴェルファイア、中盤にフルモデルチェンジするクラウン、オーリス、同じ頃マイナーチェンジするシエンタ、後半一新するカローラ、その程度で少ないのです。販売体制はトヨタの4系列店体制を残しながら、全国7地域に分けた販売部制をスタートさせますが、その成果が表われるのは数年先になるので、大勢に変化はあまりないと予想されます。(遠藤)

■焦点2 レクサスは新設計のLSで巻き返しを図る

 本稿の執筆時点で明らかな2017年1~11月における国内登録台数を見ると、レクサスの対前年比は17%の減少だ。昨年10月に一新したLSは、販売実績には反映されない。LCは昨年3月の発売だが、昨年6月までは1カ月の登録台数が100台以下だった。7月以降は400~500台に増えたが、ほかの車種の設計が古くレクサス全体では売れゆきが伸び悩んだ。

都心でも見かけるようになったLS。フラッグシップの売れ行きやいかに?

 売れ筋はSUVだが、NXは発売から3年以上、RXも2年以上を経過して新鮮味が薄れた。レクサスの販売店舗数は相変わらず約170店舗にかぎられ、トヨタ店やトヨペット店(各約1000店舗)の17%だから大量に売るのは難しい。

 トヨタは今年の国内販売を昨年の95%と想定する。しかしレクサスにかぎれば15~20%は増える可能性がある。LSはボディを拡大して価格も980万円以上だから大量には売れないが、先代型を10年以上も販売したから乗り替え需要が当分の間は維持される。今年中盤に車内の広い前輪駆動セダンの新型ES(ウィンダムの後継)が加われば30%の上乗せもあり得る。(渡辺)

■焦点3 日産は不正問題からの回復なるか?

 日産は完成検査の不正が発覚し、それに対処するため、昨年10月下旬に一時出荷停止を行いました。見とおしがつき11月から再開したものの、いまだにその後遺症に悩まされています。これによる受注済車のキャンセルは10%程度発生したといいます。

 昨年12月下旬現在でも、成約車の納期は遅れ、これが新車販売台数の大幅なマイナスにつながっています。主力モデルであるノート、セレナ、エクストレイルだと2カ月、リーフは3カ月待ちと、出荷停止前より、約1カ月前後の遅れとなっています。

セレナe-POWERでいよいよe-POWERの真価が問われそうだ

 今後、徐々に生産販売体制が正常化すれば、回復方向に向かうのは間違いありませんが、完全に軌道に乗るのは2018年度がスタートする4月以降になりそうです。したがって、今年は昨年に対して10%程度のマイナス成長になる見とおしです。

 期待のニューモデルは新型リーフのフル販売と秋までに追加モデルの設定、3月にセレナe-POWERの発売、今年中盤にジュークのフルモデルチェンジが予想されます。いずれも量販モデルですから、これらがどこまで全体を牽引できるかで、マイナス幅が左右されると思われます。(遠藤)

■焦点4 ホンダはN-BOXだのみの1年になる?

 昨年11月にN-BOXNは2万992台届け出され、1車種でホンダの国内販売総数の35%に達した。この売れゆきは時間が経過すれば落ち着くが、軽自動車中心の売り方に変わりはない。昨年1~11月はホンダの国内販売総数の47%を軽自動車が占め、今年も同等の比率と台数を保つ。

 N-BOXが売れゆきを伸ばすのに、軽自動車全体の比率が増えないのは、他車が減るからだ。N-BOXでは先進安全装備のホンダセンシングが人気の柱だが、この機能は設計を抜本的に改めないと装着できない。N-WGNには2019年以降のフルモデルチェンジまでこの最新機能が備わらない。

大人気車種のN-BOXに今年は依存することにもなりそうだ

 従って売れゆきが下がり(昨年11月の対前年比は33%の減少)、ホンダの軽自動車は実質N-BOXのみになる。だから軽自動車比率はあまり増えない。そのいっぽうで小型/普通車が増える見込みも乏しい。ステップワゴンは改良とハイブリッドの追加で登録台数が昨年の1.5倍になったが、フリードとヴェゼルは減っている。

 今年登場するCR-Vはサイズも大きいのであまり売れゆきは期待できない。そのために今年のホンダの国内販売は、軽自動車比率を含めて昨年と同程度だ。(渡辺)

■焦点5 三菱はエクリプスクロスでブランドイメージの回復を狙う

 三菱の昨年1~11月の月販平均販売台数は7770台だ。大雑把にいえば三菱全体でヴィッツやアルト1車種ぶんに相当する。販売網は約620店舗だから、1店舗当たりの月販平均は約13台。この内の61%を安価な軽自動車が占めるから、国内販売会社の立場は辛い。

 三菱の世界生産台数に占める国内比率は約8%だ。アジアで支持が高くタイ生産も活発だから、メーカーは海外に活路を見いだせるが日本国内は厳しい。三菱直営の販売会社は存続しても、地場資本は違う。同じ資本が輸入車の販売店なども経営するから選択と集中を進める。店舗が閉鎖されれば、三菱車のユーザーが不便を強いられてしまう。

エクリプスクロスの登場は販売店にはビッグニュースだが、価格面でライバルより優位ではなくこれがどう響くか

 そこで注目されるのが今年3月に発売されるエクリプスクロスだ。三菱はSUVが得意で、流行のカテゴリーだから期待される。成功するには、2016年に発覚した燃費不正問題をもう少しわかりやすく解説する必要がある。ホームページに読みやすい解説が掲載されるが、国交省に向けた報告内容をもう少し平易にして載せるといい。 今年はデリカD:5が大幅改良し、2019年には次期eKシリーズも発売される。今後の三菱に期待したい。(渡辺)

■焦点6 完成検査問題の影響を払拭するのは次期フォレスター

 昨年のスバルの新車販売は前年に比べて約15%の伸びと好調でした。リード役を果たしたのは、2016年10月にインプレッサ、昨年4月にXV、それぞれがフルモデルチェンジしてフルに寄与したことが挙げられます。インプレッサはXVと同一モデル群にカウントされ、1~11月の販売累計では前年同期比80%増と驚異的な伸びとなりました。一時は登録車名称別販売ランキングのトップ10に浮上するほどでした。

 しかしながら、昨年11月以降、10%以上のマイナスに転じています。完成検査の不正発覚とそれに伴うリコール発生の対処で販売にブレーキがかかっているためです。対象モデルにはキャッシュバックの対応などでカバーしていますが、これが今年の新車販売の足かせになる可能性があります。そのため、年間では10%前後のマイナスになることが予想されます。

 これをカバーするのは秋口までにフルモデルチェンジする次期型フォレスターです。新開発のスバルグローバルプラットフォームにパワーユニット&足回りのクォリティアップ、安全パッケージではアイサイト・ツーリングアシストを装備します。(遠藤)

■焦点7 好調なものの勢い失ったか、マツダ!?

 マツダの2018年は試練の年になります。昨年はようやく前年並みを確保しましたが、今年は15%程度のマイナスが予想されます。販売を牽引する新規&フルモデルチェンジ車の投入が少ないからです。昨年12月に発売した3列シートの新型SUV「CX-8」は計画を上回る受注のスタートを切っていますが、絶対的な台数が月販1000台そこそこですから、パンチ力にかけます。

 スズキからOEM供給を受けている「フレアワゴン」は昨年12月下旬にフルモデルチェンジし、2月上旬から発売開始します。こちらも増加しますが、月販1000台そこそこにとどまる見通しで、全体をリードする力にはなれないと思われます。最も期待が持てそうなのは2016年12月に一新、昨年2月に発売した新型CX-5です。

アテンザのマイチェンも予定されているが欧州の2.5Lターボの国内導入はない模様

 多数のバックオーダーを解消するため、昨年10月に増産したことで以降の登録台数は急増傾向にあり、これが今年前半の新車販売にフルに寄与するはずです。昨年末にデミオ、今年は2月にCX-5が一部改良、春にはアテンザがビッグマイナーチェンジするので、これらが多少は今年の新車販売の回復に貢献しそうです。(遠藤)

■焦点8&9 ダイハツ、スズキの軽自動車2トップの行方はいかに? 

 昨年1~11月の軽自動車届け出台数は、ダイハツが1位で56万台、スズキが52万台、ホンダは32万台だ。ホンダは先代N-BOXを2011年に発売して、2012年に対前年比が257%になり、その後の5年間は安定的に成長してきた。

 ダイハツとスズキが意識するのはトップ2社同士の販売合戦だ。スズキは軽自動車販売の1位奪回を狙う。ダイハツは将来的な軽自動車税制の変更と販売縮小を視野に入れ、小型車販売の基盤も固めたい。ダイハツは軽自動車では1位でも、小型/普通車を含めた販売総数はトヨタ/ホンダ/スズキに次ぐ4位になる(日産は5位)。今後は総台数でもスズキを超えたい。

 それでもホンダのことは気になる。特に埼玉県や三重県では、ホンダの軽自動車が最も多く売れている。またスライドドアを備えた車種では、N-BOXが圧倒的な売れ筋だ。今はこのタイプが急増して、2011年は軽自動車全体の21%だったが、2017年は41%まで増える見込み。

 そのためN-BOXの比率がいっそう高まる可能性が強い。2019年には新型N─WGNがN─BOXと同等の機能を備えるから、ダイハツやスズキも車間距離を制御できるクルーズコントロールなどで商品力を高めてくる。

■焦点10 三菱、日産の軽自動車は最新トレンドに乗れるか?

 また三菱と日産は2011年に合弁会社のNMKVを設立して、軽自動車の共同開発を開始した。開発と製造は三菱、日産は企画や原材料の調達で参画して2013年にeKワゴンとデイズ、2014年にはeKスペースとデイズルークスを発売した。この協業は今も続くが次期型の開発は日産が行っている。

 次期型の登場は2018年末~2019年とされるが、遅れる可能性もある。ダイハツ/スズキ/ホンダの軽自動車が、燃費、安全装備、走行性能、乗り心地などを急速に向上させたからだ。中途半端に発売すれば販売不振に陥り、軽自動車は薄利多売な商品だから大損する。開発にも時間を要する。

NMKVの次期モデルは2019年デビューか!?

 なお今はトヨタを中核にダイハツ/スバル/マツダ/スズキの5社が提携を行う。残りは日産&三菱、独自路線のホンダだから提携の枠組みは固まった(残るは日本連合だけ)。今後は必要に応じて連携するが、NMKVのような姉妹車やOEM関係に大きな動きはない。これも煮詰まったからだ。

 きっとマツダの販売店は「プレマシーの顧客を繋ぐためにヴォクシーのOEM車が欲しい」というが、今のマツダは「魂動デザインとSKYACTIV技術」に執着するから可能性はないだろう。(渡辺)

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