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【超速攻試乗】アルファロメオ・ジュリアを中谷明彦がイタリアで全開!(超稀少インカー動画付き)

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【超速攻試乗】アルファロメオ・ジュリアを中谷明彦がイタリアで全開!(超稀少インカー動画付き)

ジュリアは小型乗用車ではなくスーパースポーツだった!

アルファロメオの最新モデル、「ジュリア」にイタリアで試乗した。早速インプレッションをお届けしたい。

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僕らの世代にはアルファロメオと言うとフェラーリやマセラッティに居並びイタリアを代表するスポーツカーメーカーという印象が強い。1970~80年代にはF1を初め世界スポーツカー選手権で活躍しフェラーリと2強の時代を築いていた時期もあった。

しかし市販車においてはスーパースポーツの類いは少なく、ジュリエッタやジュリア、スッド、スパイダーなど小型乗用車がメインだった。1990年に小型セダン「156」をヒットさせ、日本国内で飛躍的に販売台数を伸ばしたこともある。この頃はイタリアを訪れるとパトカーもタクシーも乗用車も皆「156」だったほどで、世界的にもっとも売れたアルファロメオとなったことだろう。

※写真はアルファロメオ156

だが「156」と、それに続く「147」があまりにヒットしたせいか、近年ではアルファロメオ=スポーツカーのブランドイメージが軟弱化し、存在感が希薄になっていたことは否めない。アルファ4Cや8Cなど、本格的なスポーツカーのラインアップは一応あるものの、アルファロメオF1やP33レーシングの活躍に胸を踊らせた世代としては、近年のアルファロメオの状況は寂しいばかりだった。

※写真はアルファロメオ147

ところが今年。2月に北欧のスウェーデンを訪れると、1台の覆面テストカーがマイナス30℃以下の環境下で走行テストしている場面に出くわした。近寄ってみると車体の各部から異様なスポーツカーオーラを放っていた。

見た目では、数カ月前の2015年9月にフランクフルト・モーターショーでワールドプレミアされた新型ジュリアに違いなかった。しかし156や166の後継の小型セダンだろう、と思っていたのとは完全にかけ離れたスーパースポーツの雰囲気を漂わせていたのだ。

寒冷地なのにカーボン製フローティングディスクを4輪に装備し、100φはあるのではと思われるほど太いエキゾーストパイプが4本も導き出されていた。その姿を目の当たりにしたときから強烈に引き込まれ、テストドライブを待ち望んでいた。そして今回、ついにその日が巡って来た。

次ページ:最強モデルのクアドリフォリオがサーキットで待っていた

軽量化を狙ってシートもステアリングも位置調整は手動

新型アルファロメオ「ジュリア」の国際試乗会は、イタリア本国バロッコにあるアルファロメオ社プルービンググランド内テストコースにて行われた。フェラーリのフィオラノテストトラックを思わせるような本格的なレーシングトラックで、僕自身も走るのは初めてだ。

到着し、パドックへ向かうといきなり「さあどうぞ」とクルマに乗せられた。エンジンの掛け方も仕様も何もわからず、コースの右左もわからないのにいきなり「全開走行OK」と言われたのだ。逆に慎重にならざるを得ない状況。

ドアを開けるとまずシートに驚いた。シートサポートは全体がカーボンで覆われ軽量かつホールドのよさそうなバケットタイプなのだ。リクライニングももちろん調節可能で、ベストポジションが得られる。シートアジャストは電動化されておらず、これは軽量化を図ってのもののようだ。ステアリングのチルト・テレスコピックも同様に手動だ。

エンジンを始動しようとしばらくイグニッションボタンを探したが見つからない。するとステアリングの左スポークに赤い「START/STOP」ボタンを発見。無事始動に成功した。足もとのペダルはアルミ製で、アクセルペダルはオルガン式。見栄えも操作性もよくフットレストも同様に備えている。 このクルマはジュリアのトップパフォーマンスグレードである「QUADRIFOGLIO(クアドリフォリオ)」で8速オートマティックトランスミッションを備える2ペダル仕様だ。クアドリフォリオはイタリア語で四つ葉を示し、そのバッヂが誇らしげに飾られる。

Dレンジに入れて走り出し、ステアリングコラム固定式のパドルでシフトアップしていくと、変速は速いがやや変速ショックが強く感じる。初めはてっきりDCT(デュアルクラッチ)とばかり思っていたが、じつはトルコン式オートマティックで、変速ショックはロックアップの強さを示しているのだと確信した。

ZF製8速トランスミッションは、クロスレシオのステップギヤ比となっていて小気味いい加速を示す。パドル操作に対する応答性もよくスポーティだ。じつはジュリア・クワドリフォリオには6速マニュアルトランスミッションモデルも用意されているが、走らせた印象は8速オートマティックトランスミッションの方がエンジンの出力特性を上手く引き出せ速くて好印象だった。メーカー公表値では0~100km/h発進加速は8速オートマ、6速マニュアルともに3.9秒とされていて、動力性能的な差はつけられていないが、実際のトラックでは8速のほうが選択できるギヤが最適化でき走りやすいのだ。

次ページ:強烈なコーナリングスピードに痺れる!

ライバルはBMW M3やメルセデスAMG C63などのスーパースポーツ

センターコンソールにはドライブモードを選択できるダイアルが備わり、E(エフィシェンシ)、N(ノーマル)、D(ダイナミック)、RACE(レース)と4モードから選択できる。レースモードではエンジンマネージメントやスロットルレスポンス、電動ステアリングフィールがクイックに変化し、横滑りなどを抑制するESC(電子スタビリティコントロール)が解除されて極限域での走行が可能になる。

電動パワーステアリングは日産スカイラインのように、低速域では遊びが大きく60km/h以上の高速域になるとダイレクト感が強まり操舵力も増して安定した操作感が得られる。市街地レベルのフィールはまだ改善が必要だが、高速域では極めて正確なライントレースが可能だった。とくにハイグリップタイヤのピレリ・Pゼロが発揮するコーナリングフォースの反力やダンピングをドライバーに伝えてくれるので、タイヤのグリップ限界を掴みやすい。

そのハイグリップタイヤの効果もありコーナリングスピードは圧倒的に速い。シャーシ剛性はもはやドイツ車レベルに高く、カーボンルーフやカーボンフードの採用などで低められた重心も効いて、レーシングカーレベルの速さに達している。それでも遮音性の高さやエンジンマウントやドライブトレインのマウントなども容量が大きく、方向性を持って剛性が高められており、快適性を損なわずに高い剛性と剛結感を両立していた。 シャーシはアルミダイキャスト製のフロントストラット砲筒キャリアや、アルミダイキャスト製前後クロスメンバーなどコストのかかった芸術的な作り込みがみられる。

さらにリアデファレンシャルにTVD(トルクベクタリングデフ)が搭載されているのにも驚かされる。これはデファレンシャルの左右にクラッチを装備して電子制御し、駆動力の左右配分を最適化するもの。レクサスGS FのTVDと酷似しているが、ユニット自体はひと回り小型化しているように見えた。その効果の高さは言うまでもなく、クイックなハンドリングをアシストしつつ、トラクションを有効にかけてスライド時にはLSD効果も発揮してコントロール性を高めている。

ブレーキのパフォーマンスも高い。試乗車はオプションのカーボンディスクブレーキが装着。フロントにはモノブロックの6ポッドキャリパーが備えられていて、高いブレーキ容量と剛性感のあるブレーキペダルフィールが実現されている。このブレーキペダルフィールは電磁式マスターバックにより作り出されるもので、開発サイドがブレーキフィールの重要性をよく認識していることの表れだ。

この強力な走りを支えるパワーユニットはアルファ・ロメオ社が強く主張する完全自社開発のエンジンだという。2.9リッター90度V型6気筒のツインターボエンジンで、最高出力510馬力/6500rpm。最大トルクは600N・m/2500rpmと発表されているのだ。最高速度はなんと309km/hに達する。

最高レベルのパフォーマンスを手に入れたジュリア・クアドリフォリオ。マーケットではBMW M3やAMG C63そしてレクサスGS Fとも競合することになりそうだ。日本国内への導入は2017年度中。その時はこの4モデルでライバル対決として筑波サーキットにおいても雌雄を決したい!

中谷明彦の動画インプレッション(ATモデル)

https://youtu.be/sT9aNKUVGOA

中谷明彦の動画インプレッション(MTモデル)

https://youtu.be/sUMchAHLEOQ

(文:中谷明彦)

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