ジープ小型SUV「コンパス」 2.0ℓディーゼル搭載車 英国試乗

もくじ

どんなクルマ？
ー 普段使いもできるジープ

どんな感じ？
ー オフロードを意識した作り
ー 必要十分なトルク

「買い」か？
ー 他の選択肢も見るべき

スペック
ー ジープ・コンパス2.0 マルチジェット2 4WD リミテッドのスペック

どんなクルマ？

普段使いもできるジープ

「ジープ」と言えばオフロードだ。すなわち、コンパスはライバルよりもオフロード性能が高いことが想像できる。しかし、この特徴がこのクルマ自身の足を引っ張っている部分も否定できない。

このクルマはオフロード性能を高めるため、リアにチャップマン式のストラットサスペンションや高強度鋼のリンクが装備されている。だが、このせいで「ソフトローダー」と呼ばれるライバルたちに比べると、無骨な印象をもたらすこともある。

このセグメントのオーナーたちは、岩場を登るような場面よりも日常の買い物で使う方がはるかに多いのが現実だ。

いっぽう、われわれはこのコンパス・リミテッドはより多くの層に受けるだろうと考えている。

プレミアムレザーインテリア、Apple Carplay付きの8.4インチタッチスクリーンなどの公道向き装備が多く追加されている。そして流行りの運転支援装備も満載だ。

デュアルゾーンの空調、キーレスエントリー、ヒーター付きの電動シートなどが備わる。そしてこの試乗車には700ポンド（10万円）の19インチホイール、1200ポンド（18万円）のパノラミックサンルーフ、600ポンド（9万円）のパッケージに含まれるHIDヘッドライトなどのオプションが追加されていた。

どんな感じ？

オフロードを意識した作り

キャビンに乗り込むと、この豪華仕様ですらライバルたちよりも古典的SUVらしい雰囲気を感じられるだろう。このクラスをリードするセアト・アテカはフォルクスワーゲングループの内装を引き継ぐが、コンパスの内装は少なくとも1度は泥の中を走ることを想定したような作りになっている。

ロータリー式ダイヤルは滑りにくくなっており、ダッシュボードは丈夫そうな柔らかいビニールで覆われている。ボタンはグローブをはめていても操作しやすい大きさで、シートもしっかりとしてサポート性が高い。

これなら荒れた路面でも体をホールドしてくれる。

フロントに搭載されるフィアット・クライスラー製の2.0ℓディーゼルターボは、とりわけ低回転域で特有の音が車内に入ってくるものの、高速道路での速度域での静粛性は高い。

必要十分なトルク

140psの最高出力は3750rpmで発生するが、より重要なのは35.7kg-mの最大トルクがわずか1750rpmから得られるということだ。0-100km/hの加速が10.1秒という数値からもわかるが、コンパスは特段速いわけではない。

しかし、郊外の道での追い越しには十分なトルクがある。6速MTとの組み合わせでは、113km/hにおける回転数は2000rpmだ。

乗り心地はすこぶる良好だ。市街地のやや荒れた路面ではキャビンに振動が入り込んできてしまう傾向があるものの、段差や凹みを超えてもボディは落ち着いており、急なハンドル操作にも対応できる。

街乗りでの取り回しも容易。この限定車に標準装備されるリアビューカメラやブラインドスポットアシストなどの助けもあって良好な視界が確保されている。縦列や直角の駐車アシスト機能も熟練ドライバーよりはゆっくりだがきちんと動作した。

「買い」か？

他の選択肢も見るべき

力強い見た目の4×4であるコンパスはそのイメージを裏切らない実力を持っている。それに加えて、この限定車は豊富な装備が揃っている。

ただし、他のソフトローダーと比べると一般道での快適性は劣る部分もある。多くのひとはオフロードを走る機会などめったにないことを考慮すると、手放しに勧めるのは難しい。

コンパスが魅力的な選択肢であることは間違いないが、日常使いをする上ではソフトローダーにかなわないということは理解しておくべきだ。

しかし、SUVらしいキャラクターを好む向きには、コンパスの力強さが魅力的に映るだろう。「あえて選ぶ」クルマこそ、個性があり、買った際の満足度が高いと判断する。

ジープ・コンパス2.0 マルチジェット2 4WD リミテッドのスペック

■価格　3万1495ポンド（469万円）
■全長×全幅×全高　–
■最高速度　190km/h
■0-100km/h加速　10.1秒
■燃費　19.2km/ℓ
■CO2排出量　138g/km
■乾燥重量　1540kg
■パワートレイン　ターボ付き直列4気筒1956cc
■使用燃料　ディーゼル
■最高出力　140ps/3750rpm
■最大トルク　35.7kg-m/1750rpm
■ギアボックス　6速マニュアル