日本のコンパクトカーの現行モデルはこれまでの日本車史にないほど長く作り続けられている。ほぼ日本マーケットの専売モデルである軽自動車が4~5年サイクルで新型に切り替わっているのとは大きく違う。
日本のコンパクトカーのグローバル化が推進されている証拠である、という指摘もあるがユーザーとしてみればちょっと物足りなさは否定できない。
【あの人気車の後継じゃない!?】市販前提!! 日産 IMkが大ヒット間違いない理由とは?
そんななか、トヨタはヴィッツを刷新して新型ヤリスを公開した。コンパクトカーの人気モデルのホンダフィットも東京モーターショーで新型を公開し、ヤリス、フィットとも2月から販売を開始する。
そこで気になるのは日産ノートの次期型モデルだ。日産の最量販コンパクトカーとして失敗の許されない新型モデルがいつ登場し、どのような進化を遂げるのかについて最新情報をお届けする。
文:ベストカーWeb編集部/写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】ノートから始まる日産の第2世代e-POWER搭載車のデビュー予想
気になるデビュー時期は?
新型ヤリスは内外装の質感が大幅に高まっている。さらトヨタは楽しい走りの実現にもかなり自信を持っているようで期待感が高い。2019年2月販売開始
強力なライバルである、2020年2月にトヨタヤリス、新型ホンダフィットが発売を開始する。両モデルともすでに市販モデル(プロトタイプ)は公開ずみで、かなり魅力的なクルマに仕上げられている。
ヤリスは質感が大幅に向上している点、フィットはいろいろなボディタイプを用意してきた点にそれぞれ注目が集まっている。
東京モーターショー2019で世界初公開したフィットは5タイプを用意する力作。より細かく設定することでニーズに合わせていく。2019年2月販売開始
それに対抗すべく日産は両ライバルから遅れること約半年の2020年夏に新型ノートをデビューさせる、という情報がある。
2020年夏と言えば、1年を切っている。その情報の信憑性やいかに!?
日産の販社に取材をしたところ、2019年11月の段階ではまだ新型登場の確定情報は入っていないという。販社に新型登場の話が下りてくるのは遅くても3カ月前ということだから、2020年春デビューはないだろう。
その販社では、確定情報は得ていないものの、新型ノートのデビューは2020年で間違いないという。開発は順調に進んでいるという話を耳にしているようだ。大きなトラブル、設計変更などがなければ2021年にずれ込む可能性はないだろうとも付け加えた。
販社の証言からも新型ノートは早ければ2020年夏頃にデビューすると思われる。
ただし、2020年夏は『東京2020オリンピック・パラリンピック』が開催されるため、夏に発表・秋に発売開始または、発表・発売開始とも秋にずれ込む可能性もある。
ノートと言えばe-POWER!!
現行ノートe-POWERはモーターによる加速が気持ちよく、特に発進時の鋭い加速はストレスフリーでユーザーの満足度も高い。航続距離を気にしなくていいEVというのが最大の魅力
現行のノートは2012年のデビューだから、2019年の段階で7年が経過する。この7年で最も大きなトピックが、2016年のe-POWERの追加で、航続距離を気にすることなく普通のガソリンエンジンと同じ感覚でドライブできるEVとして大人気となった。
新型ノートも大人気のe-POWERは必須となるのは言うまでもない。
新型に搭載されるe-POWERは特に発電用エンジンの質感向上がポイント。熱効率のアップにより燃費性能を15%程度高めていると思われる。モーターのパワーはほぼ据え置きか
日産はe-POWERの熱効率を上げることに開発を注力していて、50%に近い熱効率の実現も見えてきたと技術発表した。
日産は電動化のひとつの方策としてe-POWERを登場させたが、ノート、セレナでの成功により、リーフなどのEV専用車を除き、フルラインe-POWERへとかじを切った。実際に新開発の1.5Lの発電専用エンジンにはVCR(バリアブル・コンプレッション・レシオ)が組み合わせられる。
ただ、これは2021年以降に登場する日産上級モデル、インフィニティモデルに搭載される予定で、2020年夏にデビューする新型ノートでは、そこまで進化したe-POWERは間に合わない。
新型ノートでは、現状のシステムをリファインすることで性能アップさせてくる。当然現行モデルよりも発電専用エンジンの熱効率を上げてくるはずだ。かつてほど燃費至上主義ではなくなっているが、この熱効率のアップ=燃費の向上となるため必須となる。
新開発の1.5Lの発電専用エンジンに VCR(バリアブル・コンプレッション・レシオ)を組み合わせインフィニティ、日産の上級車にもe-POWERを設定していく
現行ノートe-POWERのJC08モード燃費は34.0~37.2km/Lとなっているが、リファインにより15%程度向上させた39.0~42.0km/Lの期待も持てる。
発電専用の1.2L、直3DOHC(HR12DE)のスペックは79ps/10.3kgmで、これに109ps/25.9kgmのモーターが組み合わされる現行モデルは加速性能、動力性能ともユーザーの満足度は高いので、新型で大きく変更されることはない。
満足度の高いe-POWERではあるが、発電用エンジンの音、振動については少々うるさいという意見もユーザーから出ているようで、音振動の低減は新型ノートでは対策をしてくるはず。
いっぽう、e-POWERに主役を奪われてしまったが、ガソリンモデルも従来どおりラインナップされ、e-POWER同様にエンジンのリファイン、CVTの刷新により魅力を高める。
販売のメインはe-POWERだが、新型ではガソリンエンジンモデルもリファインされ、両モデル合わせてコンパクトカーの販売ナンバーワンを狙う
ライバルにないスライドドアを新規採用
新型ノートはe-POWERの進化が目玉ではあるが、コンパクトカーとして使い勝手をさらに高めて登場するのも見逃せないポイントとなる。
エクステリアデザインは現在の日産のファミリーフェイスであるVモーショングリルを取り入れたもので同じだが、より大型化され、シャープな形状のヘッドランプとの組み合わせで新しさを演出している。
新型ノートは大型化されたVモーショングリル、シャープなヘッドライトでイメージ刷新。スライドドアの新規採用が最大のセールスポイントとなる
新型に与えられる一番のセールスポイントはスライドドアの新規採用で、リアシートの乗降性の利便性を高めている。スライドドアの採用により開口部が広くなるだけでなく、サイドシルの高さも低くすることができバリアフリーという点でも大きな魅力となるはずだ。
ボディサイズは全長4150×全高1695×全高1500mmと予想。現行ノートが全長4100×全高1695×全高1520mmだから、基本的にサイズは同じと見ていいだろう。
ホイールベースも2600mmで同じだが、新型ではラゲッジの容量が拡大されるという。
新型ノートのボディサイズは現行と同じながら、室内スペースの拡大、ラゲッジの容量アップが図られ、快適性と実用性を追求(写真は現行ノート)
新型ノートはe-POWERという飛び道具でさらに魅力を高め、コンパクトカーとして質実剛健なまでの快適性、使い勝手を追求してくる。
プロポーションもスライドドアの採用により、ごく一般的にな2ボックスコンパクトカーである現行ノートに対し、ワンモーションフォルムが強調されたものになりかなり新鮮。
プロパイロット2.0は搭載される?
安全装備の充実は今や新型車では当たり前で、日産が推進するプロパイロットも搭載される。スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0のノートへの搭載が期待されるところだ。
しかし、このプロパイロット2.0はどんなクルマにも拡大採用できるシロモノではない。スカイラインに搭載できたのは、ダイレクトアダプティブステアリングがあったから。
ダイレクトアダプティブステアリングは、ステアリングが機械的にステアリングユニットから切り離されていて緻密に制御できるが、ノートクラスのコンパクトカーにこのシステムを搭載するのはコスト的に難しいため、新型ノートにプロパイロット2.0の搭載は難しいだろう。
残念ながらスカイラインのプロパイロット2.0が新型ノートに搭載される可能性は低いが、最新バージョンのプロパイロットが搭載される(写真はセレナ)
しかし、プロパイロット自体は日々進化し、その進化バージョンが新型ノートに搭載されるため、安全面での安心感は大きい。
価格はe-POWERの進化、スライドドアの新規採用はあるが、ライバルに対する競争力を失わないためにも現行モデルからの据え置きとなるはずだ。
ガソリンモデルが150万~190万円、e-POWERモデルが190万~250万円程度となると予想。
なお、現行モデルでも人気の高いNISMO、オーテックの両モデルについての情報は現状では入ってきていないが、新型にも設定されるというのが有力だ。
現行ノートで人気の高い走行性能を高めたNISMO、プレミアム性を高めたオーテックともに新型にも設定されるはず
【画像ギャラリー】ノートから始まる日産の第2世代e-POWER搭載車のデビュー予想
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