「なんでこうなった!?」 開発した人を小一時間ほど問いただしてみたい、でも憎めない「ざんねん」なクルマたち、エピソードを集めた『ざんねんなクルマ事典』『ますます! ざんねんなクルマ事典』(小社刊)。
日本のクラシックカーや絶版車、珍車についての知識にも定評あるモータージャーナリスト、片岡英明氏監修による本書から、規格変更の憂き目、販売の意図が浸透せず、または出てくるのがあまりにも早すぎたか……志半ばで消えたスズキのクルマたち4台をご紹介!
カプチーノ スプラッシュ キザシ ツイン……志半ばで消えたスズキのクルマたち4選
監修/片岡英明、写真/スバル
■スポーツカー人気の低迷と軽規格変更のWパンチで1代限りという結果に スズキ カプチーノ(1991-1998年)
スズキ カプチーノ(1991-1998年)。マツダ AZ-1、ホンダ ビートとともに「ABCトリオ」と呼ばれた
●技術的には「新しいカプチーノ」も作れたが
スズキ カプチーノは、軽自動車規格でありながら、本格的なスポーツカーとほぼ同等のスペックを備えていた名作2シーターオープンです。
エンジンはアルトワークス用の657cc直3 DOHCインタークーラー付きターボを縦置き搭載。
車両重量は同世代のホンダ ビートより軽量な700kgで、それでいてサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式。ブレーキも四輪ディスクでした。
部品点数がどうしたって多くなる本格的な機構を採用しながらも、ライバルより圧倒的に軽い車重を実現していた点に、当時のスズキの技術者の“本気っぷり”が見て取れます。
しかし1998年10月、軽自動車のサイズに関する規定が変更されました。新規格に準拠する「新しいカプチーノ」を作ることも、技術的には可能だったでしょう。
しかしバブルが崩壊して以降、スズキにとって「ちょっと大きなカプチーノをまた新たに予算をかけて作る」という選択肢は、実質的には存在していませんでした。
・発売年月:1991年11月
・エンジン種類:直3 DOHCターボ
・総排気量:657cc
・最高出力/最大トルク:64ps/8.7kgm
・全長×全幅×全高:3295×1395×1185mm
・車両重量:700kg
・諸元記載グレード:1991年式 ベースグレード
●ざんねん度:★★★☆☆
■「欧州基準の走り」は当時の日本人ユーザーにはやや難解だったか スズキ スプラッシュ(2008-2014年)
●日本の常用速度域と足回りが合ってなかった?
「世界で通用するグローバルコンパクト」を目指したコンパクトカー。
欧州のチームがデザインを主導し、生産はハンガリーで行われました。車台のベースは2代目スイフトですが、全高以外はスプラッシュのほうがひと回り小さいというボディサイズ。
日本向けのパワーユニットは最高出力88psの可変バルブタイミング機構付き1.2LDOHCです。日本の常用速度域では足回りを「硬い」と感じる人が多かったからか、あまり売れませんでした。
・発売年月:2008年10月
・エンジン種類:直4 DOHC
・総排気量:1242cc
・最高出力/最大トルク:88ps/11.9kgm
・全長×全幅×全高:3715×1680×1590mm
・車両重量:1050kg
・諸元記載グレード:2008年式 ベースグレード
●ざんねん度:★★☆☆☆
■スズキ初のDセグ挑戦も売れる兆しは皆無 スズキ キザシ(2009-2015年)
スズキ キザシ(2009-2015年)。ヘッドランプからリアまで張りのあるショルダーラインが続く
●BMW 3シリーズ並みサイズのスズキ車だったが
2009年10月の東京モーターショーのプレスデー初日に何の兆しもなしにいきなり発表され、しかも同日いきなり発売されたDセグメント(BMW 3シリーズぐらいの車格)の4ドアセダン。それがスズキ キザシです。
キザシというなかなかしゃれた車名は、「世界の市場に向けてスズキが新しいクルマ作りに挑戦する“兆し”」という意味で付けられました。
搭載エンジンは、当時のエスクード譲りの2.4L直列4気筒DOHC。その最高出力はエスクードを22ps上回る188psです。
後輪サスペンションはマルチリンク式という立派な方式でしたが、キザシはボディサイズも立派でした。具体的には全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmで、この数字は同時期のBMW 3シリーズ(E90型)より「ちょっと大きい」といったニュアンスです。
キザシは装備類もなかなか充実している意欲作だったのですが、残念ながら売れる兆しはまったく現れず、2015年12月をもって販売終了となりました。
・発売年月:2009年10月
・エンジン種類:直4 DOHC
・総排気量:2393cc
・最高出力/最大トルク:188ps/23.5kgm
・全長×全幅×全高:4650×1820×1480mm
・車両重量:1490kg
・諸元記載グレード:2009年式 FF
●ざんねん度:★★★★☆
■「市販軽初のハイブリッドシステム」だったが スズキ ツイン(2003-2005年)
●「バッテリーは鉛電池」は原始的すぎた
全長2735mm×全幅1475mm×全高1450mmという超ミニマムな2人乗りの軽自動車。最小回転半径は、国内四輪乗用車では最小の3.6mでした。
パワーユニットは、最高出力44psの直3ガソリンを基本としつつ、「市販軽自動車初のハイブリッドシステム」も用意されました。
しかしこれは鉛電池を8個直列にしたブロックが2つ直列接続されるという形で、さすがにあまりにも原始的すぎて販売はまったく伸びず、2005年8月にはあっさり生産終了となりました。
・発売年月:2003年1月
・エンジン種類:直3 DOHC
・総排気量:658cc
・最高出力/最大トルク:44ps/5.8kgm
・全長×全幅×全高:2735×1475×1450mm
・車両重量:600kg
・諸元記載グレード:2003年式 ガソリンB
●ざんねん度:★★★★★
* * *
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みんなのコメント
志半ばどころか大願成就といっていいのではないだろうか。
フォグランプ無し仕様ばかりですが、、、
警察車両以外ほとんど見なかったね。