BENTLEY CONTINENTAL GT
ベントレー コンチネンタルGT
3世代目ベントレー コンチネンタルGT海外試乗:前編。山崎元裕が感じたスポーツGTの本質とは?【Playback GENROQ 2018】
グランドツアラーに与えられたスポーツ性能の秘密とは?
2003年のデビューから今作で3代目へと進化を果たしたコンチネンタルGT。ベントレーの意欲作となるだけに最新技術をふんだんに用いられているのが話題だ。しかも、そのコンセプトは“スポーツGT”としている。果たしてその真意とは? 国際試乗会に招かれた2名のジャーナリスト、山崎元裕氏と大谷達也氏の証言を前・後編に分けて紹介する。
大谷達也「グランドツアラーとしての資質は不変。それでいて素早くノーズの向きを変える!」
オーストリアン・アルプスの最難関、標高2504mのグロースグロックナー峠を新型コンチネンタルGTで攻める。軽い感触のステアリングを切り込んだ瞬間、ボリューム感のあるノーズがスッとイン側を向くのがわかる。その反応は、ボンネットの下に排気量6リッターのW12エンジンが潜んでいることが信じられないくらいほど。第一世代と第二世代のコンチネンタルGTとは明らかに異なる感触だ。
これまでのコンチネンタルGTは本来の意味でのグランドツアラーだった。すなわち、もっとも得意とするのはハイスピードのロングクルージング。もちろん、しっかりと腰のある足まわりのおかげでハードコーナリングでも不安は覚えなかったが、同じくW12エンジンを積んだノーズは明確に前に進もうとする意思を有しているかのようで、スポーツカーに比べればターンインの立ち上がりは穏やかだった。
「走り味は大工道具のカンナで路面を削り取ったような滑らかさ」
それが新型コンチネンタルGTは軽やかに、そして素早くノーズの向きを変える。クルマの中心を垂直に貫く仮想的な直線のことをZ軸といい、このZ軸を中心としてクルマを回転させる動作をヨーと呼ぶことは皆さんもご存じのとおり。もしもこのZ軸から離れた位置にエンジンのように重いコンポーネントを搭載すれば、クルマをヨー方向に回転させるのに大きな力が必要となり、俊敏なノーズの動きは期待できない。逆にいえば、新型コンチネンタルGTは重量物が揃ってZ軸に近いところにレイアウトされているようで、Z軸回りの動きが実に軽々としていて俊敏。全長48kmのグロースグロックナー峠には無数ともいえるカーブが連なっているが、それらを走り抜けても一切ストレスを感じなかったのは、新型コンチネンタルGTがドライバーの意のままにコーナーを駆け抜けてくれたからに他ならない。
ここで重要なのは、前述したように新型コンチネンタルGTはエンジンなどの基本レイアウトを工夫して軽快なノーズの動きを実現したのであって、サスペンションを硬めただけのお手軽な造りのスポーティカーとは一線を画す点にある。したがって乗り心地は極めて洗練されている。細かい凹凸が続く路面を走っていても、まるで大工道具のカンナでその表面をすっかり削り取ってしまったかのような滑らかな感触を堪能できる。同様にしてロードノイズも限りなくゼロに近い。こうした快適性は、従来のコンチネンタルGTと比べてもほとんど遜色がないほどである。
「ブレーキペダルのフィーリングがスポンジーになることは皆無」
もうひとつ、新型コンチネンタルGTで驚かされたのはブレーキの耐フェード性が極めて高いことにあった。頂上を越えてからのグロースグロックナー峠は下り勾配が10%を越すような急傾斜が少なくなかったが、ここを遠慮会釈なしにブレーキを使いながら下っていっても制動力の低下はおろか、ブレーキペダルのフィーリングがスポンジーになることも皆無だった。スチール製ブレーキローターを採用していながら、ここまで過酷な条件でも音を上げないとは驚異的でさえある。ちなみに、新型コンチネンタルGTのフロントブレーキは、直径420mmのディスクと10ピストン(!)キャリパーの組み合わせ。ベントレーによれば自動車業界最大のブレーキとのことなので、余裕ある性能を実現できたのも当然といえるかもしれない。
エンジンの仕上がりも秀逸だ。基本はベンテイガ用と同じ最新型で、ポート噴射と直噴を併用するダブルインジェクション形式だが、レスポンスが実にシャープで心地いいのである。エンジンサウンドも乾いた抜けのいいもので、よくできたスポーツカー用エンジンを彷彿とさせる。しかも、これに組み合わされるトランスミッションはスーパースポーツカー同様のDCTのため、スロットル操作で作り出した加減速がクルマの動きへとダイレクトに反映される。つまり、前後荷重のバランスをスロットルコントロールによって微調整できるわけで、これもスポーツドライビングを楽しむうえで極めて重要なポイントといえるだろう。
ワインディングロードでの走りがあまりに痛快で、ついついその話題ばかり書き連ねてしまったが、現行型譲りの快適性を備えていることは前述のとおり。また高速道路ではそれこそ矢のように突き進み、グランドツアラーとしての資質が不変であることを確認できた。しかも、世にあるスポーツカーと違って、無粋なノイズやバイブレーションがすべてフィルターにかけられてドライバーや乗員に伝わってこない点も如何にもベントレーらしい。
「想定される2台の強豪から見ても、コンチネンタルGTの魅力は大きい」
試乗会に先立つプレゼンテーションでは、アストンマーティンDB11と“フェラーリの一部モデル”が新型コンチネンタルGTの直接的な競合車になるとの説明があった。彼らは明言しなかったものの、フェラーリの一部モデルとはGTC4ルッソのことだろう。ここでは、私なりの解釈で3台のキャラクターの違いを説明したい。
まずはエクステリアデザインから。ルッソはフェラーリのなかではもっとも“おとなしい”位置づけのモデルだろうが、それでもフェラーリのオーラは隠しようもなく、いかにもイタリア的な色気をあたりに放っている。これに比べると、“控えめ”を旨とするイギリス人が造り上げたDB11とコンチネンタルGTは実に抑制が効いている。そのなかでもDB11のほうがいくぶん未来的でスポーツ色が濃い。コンチネンタルGTもスタンスが低くてスポーティだが、表現されている世界観はオーセンティックで品がいい。
「基本となるインテリアカラーは重厚感あふれる色合い」
インテリアに目を移せば、ルッソは極めてカラフルで華やか。セクシーという言葉さえ使いたくなる。DB11もカラーコーディネートが巧みだが、ルッソに比べれば明らかに落ち着いている。一方のコンチネンタルGTは、ビスポーク・プログラムでほとんど無限ともいえる選択肢があるとはいえ、基本となるインテリアカラーは重厚感あふれる色合いが中心。たとえカーボンやピアノブラックといった素材を選んだとしても、キャビンがシックな雰囲気で包まれていることに変わりはないはずだ。
ドライバーズシートに腰掛けた印象も大きく異なる。ルッソとDB11はキャビンが天地方向に浅いため、スポーツカーのようなクルマとの強い一体感が味わえるが、コンチネンタルGTは着座姿勢がアップライト気味でヘッドルームにも余裕がある。長距離を走っても疲れにくい室内空間といえるだろう。
「次世代のラグジュアリー・スポーツGTと呼ぶに相応しい存在」
ここに挙げた3台はいずれも軽快なコーナリングを楽しめるが、なかでもルッソとDB11はエンジン音や路面からのバイブレーションを忠実に伝える傾向が認められる。それだけにインフォメーションが豊富でスポーツカー的と説明できる。これに対してコンチネンタルGTは不要な騒音や振動はできるだけ除去し、ドライビングに必要な情報のみをドライバーに伝えようとしている。つまり、乗員を不用意に刺激する要素が的確に排除されているわけで、それだけに洗練されていて疲れにくく、ロングクルーズ向きと評価できる。
つまり、どちらかといえばクルマに強い刺激を求める向きにはルッソかDB11がオススメだし、反対になるべく心穏やかにクルージングを楽しみたい方にはコンチネンタルGTが理想的といえる。それでもコンチネンタルGTがスポーツカー並みのパフォーマンスを備えていることは先に述べたとおり。もっとも、これほど高度なスポーツ性能を徹底的に洗練された手触りと両立させたグランドツアラーを私はほかに知らない。その意味において新型コンチネンタルGTは次世代のラグジュアリー・スポーツGTと呼ぶに相応しい存在である。
REPORT/大谷達也(Tatusya OTANI)
PHOTO/BENTLEY MOTORS
【SPECIFICATIONS】
ベントレー コンチネンタルGT
ボディサイズ:全長4850 全幅1954 全高1405mm
ホイールベース:2851mm
車両重量:2244kg
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:5950cc
ボア×ストローク:84×89.5mm
圧縮比:10.5
最高出力:467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク:900Nm(91.8kgm)/1350-4500rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前265/40ZR21 後305/35ZR21
最高速度:333km/h
0-100km/h加速:3.7秒
CO2排出量:278g/km
車両本体価格:2568万円(税込)
※GENROQ 2018年 7月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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