現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > アメ車の常識を打ち破る世界基準のラグジュアリー。CT6にキャデラックの真髄を見る【Playback GENROQ 2016】

ここから本文です

アメ車の常識を打ち破る世界基準のラグジュアリー。CT6にキャデラックの真髄を見る【Playback GENROQ 2016】

掲載 更新 1
アメ車の常識を打ち破る世界基準のラグジュアリー。CT6にキャデラックの真髄を見る【Playback GENROQ 2016】

CADILLAC CT6

キャデラック CT6

アメ車の常識を打ち破る世界基準のラグジュアリー。CT6にキャデラックの真髄を見る【Playback GENROQ 2016】

キャデラックの真髄

アメリカ車を代表するブランドといえば、キャデラックであろう。しかしその存在はここ数年薄れていた印象だが、遂に本気モードに突入。このフルサイズサルーン“CT6”に乗れば誰もが納得するはずだ。欧州勢をも蹴ちらす、優れた完成度を実現していたのである。

「予想を超える高い完成度は脱帽もの。まさに欧州狙いのアメリカ車である」

ラグジュアリーカーといえば、真っ先に思い浮かぶのはヨーロッパ車。特に今の日本においては常識化していると言ってもいいだろう。しかし、アメリカにも古くから用意されているのもまた事実。1970年代の日本は、むしろ北米からの影響が強かっただけに、高級車=アメリカ車と認識されていたこともあって、今のベテランドライバーならキャデラックやリンカーンこそ最上と思っている人も少なくないはずだ。

とはいえ、オイルショックやバブルを経験したことから、いつの間にかアメリカ車の存在感は薄れていき、気付けば北米市場をターゲットにしたヨーロッパ製の高級車が好調という結果に──。もちろん、これには流行りすたりもその背景にあるのだが、決してアメリカ車がなくなったわけではない。ましてや、自覚もしていたのだろう、今目の前にある上陸したばかりの「キャデラック CT6」は、その昔のような緩さは消え失せ、完全にヨーロッパ市場も視野に入れて開発が進められたというだけあって、欧州勢にも引けを取らない風格と完成度が見て取れる。

「世界中のラグジュアリーカーを相手にするキャデラックの頂点」

このキャデラック CT6、わかりやすく例えるなら、ライバルはSクラスや7シリーズ、A8やクアトロポルテ。世界中のラグジュアリーカーを相手にするキャデラックの頂点に位置するビックサルーンである。その佇まいもさすがに立派だ。エッジの効いたラインが功を奏し、緊張感を演出していることもあり、歴史ある建物の前におけば、今にでも大統領が降りてきそうな雰囲気に圧倒されそうになる。かといって人を寄せ付けないような、ある種の危うさはないから絶妙だ。この辺りは、欧州車を意識した跡がうかがえる。

もちろん、今のキャデラックは知的要素も満載だ。パワートレインは、環境保全を意識して、意図して3.6リッターV6ユニットを搭載。直噴システムや可変バルブタイミング、さらにはアイドリングストップ機構などを採用して、燃費効率の改善にも寄与、その結果、従来のV6ユニットと比較して約9%の燃費向上を実現したというから、その昔のアメリカ車とは違う。さらに日本仕様は8速ATに4WDが標準となることもあり、走行性能にも期待がもてる。

「“S”や“7”と比較しても遜色なしの質感に驚かされる」

という前置きスペックを意識しながら乗り込もうとドアを開けると、その印象に驚かされたのは意外だった。まるで欧州車。しかも、その出来が良い。これなら“S”や“7”と比較しても遜色なしだ。本革とウッドの質感も上出来である。駐車時に役立つ360度を映し出すサラウンドビジョンや歩行者対応ブレーキ、さらにはナイトビジョンを装備するだけでなく、今や高級車の常識ともいえるACCやレーンキープアシスト(直進のみなのは残念だが)も備えるとあって、先進技術も最新レベルに仕上げられている。

これだけ揃えば、走行性にも期待してしまうのは当然。すでにCTS-VやATS-Vに乗った時、好印象だったから尚さらだ。もちろん、その期待は裏切られることはなかった。むしろ感心したのは、そのドライバビリティ。340ps&386Nmというパワー&トルクは、数値的にはやや力不足に思われそうだが、実際には必要にして十分。というのも、実のところCT6最大の特徴は、軽量仕立てという点にある。だから、この出力値でも不満は残らないのだろう。しかも、フュージョンフレームと呼ばれる革新的なボディ構造により、剛性感が半端なく高い。自ら“金庫”のような強靭性と豪語するだけのことは確かにある。

「例えメルセデスやBMWから乗り換えたとしても、さほど違和感はないだろう」

それでいて足まわりの出来がいい。例えば石畳のようなピッチングが細かく起こるシーンでも確実に吸収し、振動を見事に抑え込むことに成功している。かといって、かつてのアメリカ車のような浮ついた感じは一切なく、逆にやや硬めという印象を残すほど。だから、カーブを曲がるにしても安心感だけでなく信頼がおける。ステアフィールもインフォメーション性が高いこともあって、純粋にドライブを楽しめる。さすがはマグネティックライドだ。もっともショーファー的な使い方を望むユーザーもいるかもしれないが、それも期待して良さそうだ。逆に安心してもらえるかもしれない。この辺りは、おそらく“S”や“7”を見習ったように思う。それほど欧州的なシャシー性能をもっているから、例えメルセデスやBMWから乗り換えたとしても、さほど違和感はないだろう。

ただし、スポーツモードを装備しているものの、その差が実感できなかったのは少々残念。シャシー性能が高いから、“やる気”になってしまうことに対して、その期待に応えてくれない印象を残した。しかし、アッパークラスのサルーンだから、必要ないといえばそれまでの話。完成度が高い故のネガである。

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

キャデラック CT6 プラチナム

ボディサイズ:全長5190 全幅1885 全高1495mm
ホイールベース:3110mm
車両重量:1920kg
エンジン:V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量:3649cc
最高出力:250kW(340ps)/6900rpm
最大トルク:386Nm(39.4kgm)/5300rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後245/40R20
車両本体価格:998万円

※GENROQ 2016年 11月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
乗りものニュース
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
トヨタWRCラトバラ代表、母国戦の勝田貴元に望むのは“表彰台”獲得。今季は1戦欠場の判断も「彼が本当に速いのは分かっている」
motorsport.com 日本版
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
メルセデスAMGが待望のWEC&ル・マン参入! アイアン・リンクスと提携、2025年LMGT3に2台をエントリーへ
AUTOSPORT web
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
TCD、モータースポーツ事業を承継する新会社『TGR-D』を2024年12月に設立へ
AUTOSPORT web
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
ウイリアムズとアメリカの電池メーカー『デュラセル』がパートナーシップを複数年延長
AUTOSPORT web
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
くるまのニュース
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
フェラーリ育成のシュワルツマンが陣営を離脱。2025年はプレマからインディカーに挑戦
AUTOSPORT web
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
スバルBRZに新たな命を吹き込む 退役軍人のセカンドキャリアを支援する英国慈善団体
AUTOCAR JAPAN
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
オープンカー世界最速はブガッティ!「ヴェイロン」より45キロも速い「453.91km/h」を樹立した「W16ミストラル ワールドレコードカー」とは?
Auto Messe Web
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
『ローラT92/10(1992年)』“賃貸住宅ニュース”で強いインパクトを残した新規定グループCカー【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
リバティ・メディアCEOマッフェイの退任、背景にあるのはアンドレッティとのトラブルか
AUTOSPORT web
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
約10年ぶりに“メイド・イン・イングランド”に!? 新型「ミニ・コンバーチブル」が“ミニの聖地”で生産開始
VAGUE

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1026.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

383.2598.0万円

中古車を検索
CT6の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1026.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

383.2598.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村