昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。
豪快、痛快、最後のクラシック・スポーツカー
ダットサン フェアレディ2000:昭和42年(1967年)3月発売
フェアレディの源流は1959(昭和34年)年6月にデビューし、翌60年1月に太平洋を渡ったFRPボディのS211(ダットサンスポーツ)だが、62年10月にはSP310(フェアレディ1500)へと変身、それがSP311(フェアレディ1600)へと強化された後、67年3月に、いわば“費用対効果”抜群といってよいSR311(フェアレディ2000)へと進化した。
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フェアレディは、言ってみれば本場イギリスのどちらかというとスパルタンな(ラフな乗り心地と言ってもよい)スポーツカーの味を再現してくれたモデルで、世界的にもユニークな存在だったと言えるだろう。
第4回日本GPを目前にして登場したSR311は、シャシ関係はほぼSP310/311のそれを踏襲していたが、エンジンは思い切った強化が行われていた。
エンジンはセドリックに搭載されていた直4 SOHCのH20型をベースにしたU20型で、排気量は1982cc。圧縮比9.5とソレックスのツインチョーク気化器を2連装して、最高出力は145ps/6000rpm、最大トルクは18kgm/4800rpmを発生した。
車重は910kgで、馬力当たり重量は6.3kg/psと一挙に10kg/psを割り込み(SP311は車重920kg、最高出力90psで、10.2kg/ps)、0-400mが15.4秒、最高速205km/hと、日本車として初めてカタログデータだが200km/hの大台を超えた。ギアボックスはポルシェタイプの5速フルシンクロである。
SP311と同じくラダーフレームを持ち、前輪はダブルウイッシュボーン/コイル独立懸架、後輪は半楕円リーフ/リジッドアクスルの組み合わせだが、高出力化に対応して、リアのリーフにトルクロッドを組み合わせ、スタート時や制動時のスプリングのワインドアップを防ぐようになっていた。
ブレーキは前がディスク/後がドラム、ステアリングはカム&レバー・タイプである。
最大の市場がアメリカだったため、アメリカの安全基準をパスする対策が施され、ダッシュボードもSP311とはデザインが異っていた。またレース向きの豊富なスポーツキットが用意されていたのも特徴のひとつだった。
SR311は発表翌年の68年1月の第37回モンテカルロ・ラリーでクラス3位の好成績を収め、年間販売台数は1万台を超え、老舗ヨーロッパ(特にイギリス)のスポーツカーをアメリカ市場から駆逐する勢いを示した。
その最高速をヨーロッパの本格的スポーツカーと比較して見ると、王者ポルシェのベースモデル911Lの210km/hにほぼ匹敵(上級グレードの911Sは225km/h)。
MGBの160km/hをはるかに超えていたし、3Lの直6エンジンを搭載したMGC(DINで147ps)の202km/hとほぼ同レベルにあった。
最高速のみで性能比較をするのは少し乱暴すぎることは分かっているが、性能の指標としてかなり重要な意味を持っていることは言うまでもない。
フェアレディ2000は、国内価格が88万円ときわめて安価で、アメリカ市場ではポルシェの低価格モデルのほぼ3分の1だった。しかもアマチュア・モーターレーシングの世界でも抜群の強味を発揮したから、安くて速いスポーツカーとして人気を集めたのも、むしろ当然の話だった。
当時の日産は、合併したプリンスから受け継いだレーシング・プロトタイプ、ニッサンR380IIがレースで活躍し(日本GPでは66年優勝、67年は2位など)、谷田部での国際スピード記録への挑戦を行うなど、きわめて意欲的なモータースポーツ活動を続けていたが、このフェアレディ2000もそうした熱っぽい雰囲気をバックにしたユニークな古典的スポーツカーだった。
しかし69年にクローズドボディのフェアレディZが登場するに及んで、フェアレディ2000は惜しまれつつ姿を消した。
フェアレディ2000 主要諸元
●全長×全幅×全高:3910×1495×1325mm
●ホイールベース:2280mm
●重量:930kg(後期型)
●エンジン型式・種類:U20型・直4・SOHC
●排気量:1982cc
●最高出力:145ps/6000rpm
●最大トルク:18.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:5.60-14-4PR
●価格:88万円
[ アルバム : ダットサン フェアレディ2000 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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