一台のクルマには、縁あってオーナーになった人との歴史や思い出があり、物語になるほどのエピソードが生まれることもある。
そんなクルマと人との関わりを、オーナーさんに直接取材して、リアルな生の声を紹介していきたいと思います。はたして、どんな生の声が聞けるのでしょうか?
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購入した動機から、愛車に対するこだわりのポイント、年間の維持費、故障箇所、愛車の主治医まで、これからそのクルマを購入しようと思っている人にも役に立つ情報満載でお届けします。
文・写真/松村透
【画像ギャラリー】オーナーの価値観を変えた愛車、セリカ GT-FOURを画像でチェック!
■セリカGT-FOURとともに新車から26年間歩んできたオーナーの生の声
オーナーの石井 勉さん。愛車であるセリカ GT-FOURとは26年の付き合い
一台のクルマが自分自身の価値観を変えてしまうとしたら…。それはまさに身銭を切ったからこそ味わえる「プライスレスな体験」。
その中身は人それぞれではありますが、今回取材させていただいた石井さんの場合、20代の時に手に入れたセリカGT-FOURがきっかけとなり「自動車という工業製品の成り立ち」を、仕事とは関係なく通信制の自動車整備で基礎を学び、自らクルマいじりをすることで理解を深めていったそうです。
気づけば人生の半分をともに過ごしてきたセリカGT-FOUR。愛車への想いとは…?
■プロフィール&愛車紹介
・お名前:石井 勉さん
・ご年齢:52歳
・ご職業:会社員
・所有しているクルマ(年式、グレード名):1994年式セリカGT-FOUR(ST205型)
・購入時期:1994年8月
・所有年数:26年
・購入時の走行距離:新車購入
・現在の走行距離:約8万3000キロ
・購入時の金額:324万円
■愛車を手に入れようと思ったきっかけを教えてください
セリカGT-FOURのリアビュー。大型のリアウィングが目を惹く
親のクルマの用事でトヨタディーラーに行った時、ふと目に留まったパンフレットに載っていたのがセリカGT-FOURでした。
見た目に惹かれて即決…したかったのですが、パンフレットに載っていたのは黄色のWRC仕様(全世界2500台の限定モデルであるRC)だったんです。
GT-FOUR RCのボディカラーにはホワイトの設定もあったんですが、リアウィングの台座の部分が未塗装でブラックのままだったんです。もちろんあとから塗ればいいことではあるのですが、もしこの部分がボディ同色だったら買っていたと思います。
セールスの方から半年後にカタログモデルのセリカGT-FOURが発売されると聞き、好みのボディカラーの設定があったのでこちらを選びました。
ボディカラー名は「ディープティールメタリック」といいます。当時は20代でしたし、セリカ GT-FOURの新車を買うとセールスの方に伝えたら「本当に買うんですか?」驚かれました(笑)。この時、メーカーオプションでフロントのLSDを装着しておけばよかったといまでも悔やんでいます。
■愛車との濃いエピソードを教えてください
整備&修理マニュアルや、TTE製カーボンミラー、1/43ミニカーなど、石井さんの大切なコレクション
予備知識なしでセリカを手に入れたことが功を奏したのか、探究心が芽生えまして…。整備&修理マニュアルを取り寄せてクルマの仕組みを調べたり、WRCについて勉強したり、TTE(Toyota Team Europe)の部品やグッズを買い集めたりしました。
その後、より本格的にクルマのことを学んでみようと、自動車整備に関する通信教育を受講してみたんです。基本は通信ですが、数ヶ月に1度実習もありました。仕事にするつもりはなかったので、整備士の資格は取りませんでした。
結果として、自動車産業やクルマが何たるかが少し理解できたように思います。1台のクルマができあがるまでに何十人、何千人が携わっているんだと知ることができたり、モノの見方や装着されているパーツにも必ず意味があると知ることができたのは意義がありましたね。
■愛車に対するこだわりを教えてください
TRD製に交換した各部品のノーマルパーツを今でも大切に保有している石井さん
基本的にオリジナル志向なのと、コンディション維持を優先しています。オリジナル志向なのは、このセリカができあがるまでにたくさんの人の想いが詰まっているのに、私ひとりの考えでパーツを替えるわけにはいかないなと悟ったからです。純正部品って本当に馬鹿にできないなと感じています。
ということもあり、モディファイは最小限に留めているつもりです。ホイールをラリーカーのイメージであるSpeedline製に交換したくらいで、あとはLSD、ブレーキローター&パッド、クイックシフト、エアフィルター、プラグをTRD製に交換(3年経過時)してあります。
愛車の保管方法もできるかぎり気を配り、ボディカバーを被せてあります。購入当時は毎月1000キロを目途に出かけていました。
現在は自宅に「プリウスPHV」と「TANK」、バイクの「XRVアフリカツイン」があるので、セリカの出番は減りました。乗らなくなった代わりに洗車ばかりしていますね。最近はワックスを掛けたあと、水分を落とすためにドライブしている程度です。
■大まかな年間の維持費を教えてください(自動車税、オイル関係、ガソリン代などを含めた概算)
・総額:約9万円(車検時はプラス13万円。ディーラーに依頼)
・自動車税:4万5400円
・6ヶ月・12ヶ月点検:約2万円(デイーラーに依頼)
・ガソリン代:年間で約2万円
取材時、オドメーターの距離は約8万3000キロを刻んでいた
■失礼ながら、これまで大小の故障はありましたか?
●故障について
・クラッチレリーズホーク動作不良(3年経過時TRD製強化クラッチ取りつけ後)
・左フロントサスペンションのガス抜け(10年経過時)
……くらいです。故障というよりは経年劣化によるものだと考えています。トヨタ車は基本的に丈夫ですね。
「ディープティールメタリック」のボディカラーが実に鮮やか。26年前のクルマとは思えない
●経年劣化での交換部品は、(バッテリー・オイル等消耗品は除きます)
・プーリー・ベルト類適時交換(タイミングベルト未交換)
・プラグ(純正品→TRD製イリジウムプラグに交換)
・メインのラジエター交換(24年経過時/社外の新品/付属パイプ類新品交換、サブラジエター・オイルクーラーは未交換)
・エアコン・コンプレッサー交換(24年経過時/リビルト品)
・ブレーキホース一式交換(21年経過時)
・ドライブシャフトブーツ交換(25年経過時/純正品)
エンジンルームのすみずみまでピカピカ。可能な限り手作業できれいにしているそう
■純正部品の入手に苦労していますか?(欠品・製造廃止している部品など、ご存知でしたら教えてください)
ドアミラーの自動開閉部品が欠品しているので、手動でドアミラーを開閉しているところです。あまり壊れないので、どの純正品に欠品があるのか、よくわからないですね(笑)。
室内もフルノーマルを維持。純正カセットデッキも健在
■愛車の主治医のどのようなお店ですか?(ディーラー or 専門店等)
プリウスやTANKを購入したトヨタディーラーにセリカのメンテナンスをお願いしています。法定1年点検だけでなく、6ヶ月点検もきっちり出します。整備保証が付く点も心強いですね。
これまでの整備記録が残っていますし「次回はここを交換しましょう」といった具合に、いたずらにお金が掛からないようユーザーのことを気に掛けてくれている点もありがたいです。
古いクルマなので整備も面倒かなぁと思うんですが、新車を2台購入してディーラーの売上げにも貢献していますから(笑)。
本来であれば痛みやすいはずの運転席のシートもご覧のとおり!
■これからも乗り続けるご予定ですか?
セリカGT-FOURオーナーの石井 勉さん
運転免許を返納するまで乗りたいです。セリカGT-FOURが人生初の愛車であり、アガリの1台となりそうです。私の地元に旧車が集まるスポットがあるのですが、セリカGT-FOURは新しい部類に入るんです。いつか、ここでお披露目したいです。
■未来のオーナーのために購入時のチェックポイントや愛車のウイークポイントを教えてください
●購入時
「ファーストインスピレーション」でビビッときたら“即買い”でいいと思います。まるでジャケ買いのような感覚ですね(笑)。それに、クルマは運転してナンボです。
眺めているだけでは“良いか・悪いか”はわかりませんから、運転してみていいなと思ったら思い切って手に入れてみてください。
「ファーストインスピレーション」でビビッときたら“即買い”でいいと語る石井さん
●ウイークポイント
・後部座席は窮屈です。お世辞でも乗り心地がいいとはいえません
・公道で走行するスポーツカーとして完成されたクルマなので、改造不要なのがいいのか・悪いのか、社外品パーツも少ないです
・指定タイヤサイズが特殊なのでタイヤチョイスが限定的(215/50 16サイズ)。スタッドレスタイヤはどのタイヤメーカーも販売していない点も注意です
石井さん曰く、社外品のパーツが少ないというセリカGT-FOUR
■あなたにとって愛車はどんな存在ですか?
「相棒」ですね。このクルマを通じて、あらゆる面で「成長」させてもらいましたから。
現役の路線バスの運転手でもある石井さん。セリカ GT-FOURを運転するときも丁寧
■取材後記
人生初の愛車を手放すことなく所有し、結果として「アガリのクルマ」となる。多くのクルマ好きにとってできるようで実はかなり実現が困難なことでもあります。
人生初の愛車をきっかけにクルマへの知識と理解を深めた石井さん。メーカーからラインオフした状態(つまりフルノーマル車)に込められた創り手の意思を知ることで、あえて「モディファイしたい」という自分のエゴを最小限に抑え、コンディション維持に重点を置いたようです。
実は路線バスの運転手を務めているという石井さん。その模範的なドライブは、プライベートでセリカ GT-FOURに乗っている時も変わらず、周囲の状況を素早く把握し、決して乱暴かつ無理な運転はしません。
その結果、26年前に作られたクルマとは思えないほど素晴らしいコンディションを保っているのかもしれません。
当時活躍したセリカGT-FOURのミニカー
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みんなのコメント
他人事なのに、ため息が出てしまった。
既にコレクターズアイテムなんだなぁ。と。