容赦ないスーパー・オフローダー
メルセデス・ベンツは、このG 63 4×4※(フォーバイフォー・スクエアード)も通常と変わらない走行テストをクリアしたと説明する。オーストリア・グラーツ郊外の過酷なオフロードコースはもちろん、手強いニュルブルクリンク・サーキットも走り込んでいる。
【画像】スーパー・オフローダー メルセデスAMG G 63 4x4² 過去の6x6 高性能SUVと比較 全131枚
量産版として仕上げられる前に、G 63 4×4は全長5.6kmのオフロードコースだけで300回も往復したそうだ。伝統あるゲレンデヴァーゲンから、極端なほど容赦のないスーパー・オフローダーへ進化させるために。
強力な4.0L V8ガソリン・ターボエンジンに可動域の広いサスペンション、1段高い最低地上高が与えられ、通常のGクラスとは一線を画す。それ例外のシリアスなオフロードモデルとも。
このG 63 4×4は、メルセデス・ベンツの高性能モデルを手掛けるAMGと緊密に連携しながら、Gクラス専任技術者によって開発された。G 500 4×4の後継モデルに相当し、G 63 4マティックがベース。生産はオーストリアのマグナ・シュタイヤー社が担当する。
メルセデス・ベンツは新たにGクラスというサブブランドを立ち上げたが、そのCEO、エメリッヒ・シラー氏によると先代は予想以上の人気を博したらしい。それが、今回の開発に至った理由だと説明する。
「2015年のG 500 4×4は、当初世界規模で150台ほどの生産を見込んでいました。ところがそれ以上の需要があり、最終的には2000台以上を販売しています。大成功といえる結果で、G 63 4×4への動機付けになっています」
圧倒される存在感 先代より131kg軽量
G 63 4×4を目の当たりにすると、その存在感に圧倒される。鮮やかなグリーンのボディカラーだけではない。G 63 4マティックより113mmもリフトアップされ、最低地上高は351mmになった。ほふく前進で反対側に抜けられるほど高い。
ピレリ・スコーピオン・タイヤは、22インチの325/55というファットなもの。幅9.5Jのワイドなホイールと組み合わされ、迫力は半端ない。抵抗を感じる人もいるであろうモンスタートラック的な容姿だが、インパクトの強さは間違いない。
ボディを見上げるように観察すると、アグレッシブさを増す要素もふんだん。ワイドなホイールアーチやスペアタイヤカバー、フェンダーとドアパネル、フロントガラス上のルーフスポイラーなどは、カーボンファイバー製となる。
LEDドライビングライトなどが統合された、90kgまで荷物を積めるルーフラックもオプションで用意。必要なら、テールゲート側にはしごも装備できる。
G 63 4×4の車体構造はラダーフレームに別体のボディを載せた旧来的なものだが、最新のG 63 4マティックと同様に新設計されている。フレームは、高強度スチールとアルミニウムで構成され、ねじり剛性は55%も向上したそうだ。
車重は、ひと回り小さかったG 500 4×4と比べると131kgも軽い。とはいえ、2865kgある。
ポータルアクスルで351mmの最低地上高
サスペンションは、従来はフロント側がリジッドアクスルだったが、G 63 4×4ではダブルウイッシュボーン式を採用。通常のG 63と同様に、よりストロークの長い足まわりを得ている。
リア側はリジッドアクスルのままながら、4本のリンクを左右へ配置。パナールロッドも追加し、剛性が高められた。ダンパーはツインチューブではなくシングルチューブで、磁性流体を封入しており、減衰力特性は連続的に調整される。
351mmの最低地上高は拡大したタイヤだけでなく、ドライブシャフトより下側にハブを配置する、ポータルアクスルによって叶えている。Gクラスでは2013年のG 63 6×6にも導入された技術だが、G 63 4×4ではギアを強化するなど開発し直されたという。
悪路の走破性に影響する、フロント側のアプローチとホイールベース部のランプ、リア側のデパーチャーという各アングルは、それぞれ41.3度、42.0度、36.8度を得た。G 63比で10度前後増している。渡河水深限界は210mmも増え、910mmある。
覗き込むのが大変なボンネット内には、AMGが手掛けた4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジンの進化版が収まる。最高出力585ps、最大トルク86.5kg-mを発揮し、G 500 4×4比で約163psと24.2kg-mも増強された。ただしこれは、通常のG 63と同様だ。
充分な道幅があれば運転は難しくない
駆動系は9速ATに、センターコンソール上のスイッチで個別にロックできる、前後と中央の3デフを備えた四輪駆動システムという組み合わせ。オフロード・モードには、トレイル、ロック、サンドの3種類がある。
メルセデス・ベンツがダイナミックセレクトと呼ぶドライブモードは、インディビジュアル、コンフォート、スポーツ、スポーツ+、スリッパリー(滑りやすい路面)という5種類。究極のGクラスといっても良さそうだ。
ここまでワイルドなGクラスの運転は、気がひけるという読者もいらっしゃると思う。だが実際は、充分な道幅さえあればさほど難しくない。1度大きさに慣れてしまえば、高速道路の長距離ドライブなら恐れる必要はないだろう。
それ以前に難しいのが、G 63 4×4へ乗り込むこと。フロアが高いため、太ももを持ち上げてサイドステップに足をかけ、ハンドルを掴んでよじ登るしかない。そうすれば、クッションが効いて座り心地の良いAMGスポーツシートが迎えてくれる。
シートの座面を1番下に調整しても、地面は遥かに下方。フラットなボンネット越しの、前方視界は優れている。テールゲートに固定されたスペアタイヤの影響で、後方視界は限定的。カメラ映像を用いたデジタルミラーが役に立つ。
インテリアの設えは、基本的には通常のG 63と変わらない。先代のG 500 4×4より横方向にかなり余裕が出ている。フロントガラスは直立し、ダッシュボードは浅く、クラシカルな雰囲気も漂う。
この続きは後編にて。
※AUTOCAR上では上付きの2が記載できないため、省略しています。
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